2001年宇宙の旅

  <キャスト>

   小沢 典子(女子寮の住人)<BR>

   橘 みゆき(女子寮の住人)<BR>

   藤原あゆみ(女子寮の住人)<BR>

   鈴木菜々子(あゆみの友人)<BR>

   中谷タエコ(あゆみの友人)<BR>

   長谷川健太郎(女子寮の管理人)<BR>




      暗闇の中に、『ツァラトゥストラかく語りき』の荘重なメ
      ロディーが鳴り響く。<BR>
      ゆっくりと舞台が明るくなってくると、その音楽の荘重さ
      を裏切るがごとく、ひなびたアパートの一室がうっすらと
      浮かび上がってくる。<BR>
      中央にコタツ。下手にテレビ。家具らしきものは、それだ
      けである。<BR>
      室内には五人の女。トレーナーにジーパンスタイル、ジャ
      ンバーを着てる者、綿入れを羽織っている者など、それぞ
      れが気ままな格好をしている。また、みかんをひたすら食
      っている者、本を読んでいる者、ねころんでいる者など、
      行動も気ままである。ただ、一人がテレビの前に座ってか
      じりついて見ている。
      『ツァラトゥストラ‥‥』が鳴り止むと、今度はそのテレ
      ビから、なぜか『蛍の光』が聞こえてくるのであった。

典子   ちょっと。(テレビを見ているみゆきに呼びかける)
みゆき  ‥‥‥。
典子   ねえ。(同前)
みゆき  ‥‥‥。(無視しているのではない。のめり込んでいるのだ。
     少し涙ぐんだりもしている)
典子   テレビ‥‥、もう、いいかげんにしたら?
みゆき  うん‥‥もう少しやから‥‥。(生返事)
典子   もう少しって‥‥。もう、いいじゃない。
みゆき  うん‥‥。(やはり生返事)
あゆみ  ほっといたら?
典子   だめよ。くせになるから。
あゆみ  もう、とっくになってるよ。
典子   だから‥‥。
あゆみ  もう除夜の鐘がなるから‥‥。

      テレビから除夜の鐘が鳴り始める。『紅白歌合戦』が終わ
      って、『ゆく年くる年』が始まったのだ。
      みゆき、ようやくテレビを消す。

あゆみ  ほら。

      みゆきが、テレビの前から戻ってくる。

典子   あなた、何考えてんの?
みゆき  やっぱり、紅白はええわあ。
典子   どこが?
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