ゴミため と 老人 と 少女 と ワタシ

(ごみためとろうじんとしょうじょとわたし)
初演日:0/0 作者:ちるね
ゴミため と 老人 と 少女 と ワタシ  作:ちるね

出演:老人(男)少女(女)

・構成
1.ゴミため 老人と少女の会話
2.くもの話
3.老人が少年だった頃
4.夕陽

1.ゴミため 老人と少女の会話 

幕が開く。
明転(F.I.)。明るくなっても8割くらいの明かり。
舞台の所々にごみ(に見える切り出し等)がうずたかく積んである。
見通しが悪くならない程度。
舞台中央やや下手側 老人がぼろ切れを着てメモを取っている。
ゴミを選り分けながら、メモを取っているため、ゴミの在庫を数えているかのよう。
しかし、その姿を後ろから見ると探し物をしている様にも見える。

上手より少女走り登場。完全に明転。

少女「おじいさん!」
老人「(驚いて)うわわ。」
少女「何をやってるの。」
老人「(とまどって)・・・。」
少女「ねえ。」
老人「わしは・・」
少女「わし?」
老人「ああ、メモをとってたところだった・・」
少女「探し物・・?」
老人「探し物?」
少女「探し物をしてるの?」
老人「え・・いや・・・メモを・・」
少女「メモを探しているの?」
老人「・・・探して・・?」
少女「あ、メモね。」
老人「え・・?」
少女「メモをとっていたんでしょ。」
老人「メモ・・そうメモをとってたんじゃ。」
少女「メモ・・ね。」
老人「ああ・・。」

老人、冷静さを取り戻し、再びメモを取り始める。
少女は老人の行動を推察するかのように、老人の動向と辺りの状況を歩き比較しながら、

少女「ねえ!」
老人「(狼狽して)ええ・・」
少女「おじいさん。」
老人「(とまどって)・・。」
少女「おじいさん!」
老人「(まだとまどって)はい・・。」
少女「おじいさん。」
老人「(落ち着きながら)はい。」
少女「(目をみつめながら)・・・。」
老人「ええ・・と・・。」
少女「メモ。」
老人「メモ・・?」
少女「そう。」
老人「そう・・?」
少女「だから、メモよ。」
老人「ええ・・?」

少女は突然老人からメモを取り上げる。しかもスムーズに。さも当然に。
メモを取られた老人、明らかに狼狽の色が伺えるが、狼狽することが許されていないかの様に、
その狼狽の色を隠して、しかし、取り返そうともできず、困っている様子。

少女「おじいさん。」
老人「(狼狽しながら)・・・?」
少女「おじいさんのことよ。」
老人「(観念したかの様に)はい・・。」
少女「これが探し物?」
老人「探し物?」
少女「メモのことよ。」
老人「メモ?」
少女「ちがう!メモじゃなくて、探し物のこと。」
老人「・・?」
少女「おじいさんは探し物をしてたんじゃないの?」
老人「探し物・・。」

少女はメモを老人に返す。また、さも当然の様にスムーズに。
老人はあわてて取り返したい気持ちを抑えきれないが、表面上はおさえてゆっくりとあわてて取り返す。
少女はじっと老人の目を見つめている。
老人はメモを取り返して安心した矢先だったが、少女の行動を理解出来ず狼狽しつつも、しかし、
少女に見つめられ、いたたまれずに再びゴミを選り分けながらメモを取り出す。
やや間があって。

老人「(分かってほしい気持ちで)探し物ではないんじゃ。メモをとっているんだよ。」
少女「分かってるわよ。」
老人「え・・?」
少女「メモをとっていたんでしょ。」
老人「はい。」
少女「何のメモ。」
老人「何の・・?」
少女「もう、何のメモ?」
老人「(観念して)あ、ああ・・これはゴミの目録じゃ。」
少女「(いぶかしそうに)目録・・?」
老人「目録。」
少女「(もっといぶかしそうに)ゴミの・・?」
老人「ゴミの。」
少女「ゴミの目録・・?」
老人「ゴミの目録。」
少女「もう!あなたオウム?人の言うこと繰り返さないでよ!」
老人「(圧倒されて)・・・。」
少女「(少し落ち着いて)ゴミの目録をメモに取ってるの?」
老人「・・・(だまってうなずく)。」
少女「それで。」
老人「(困って)それで。」
少女「それで、で。」
老人「(まだ困ってて)それで、で。」
少女「それで、で、で。」
老人「(困っててしかたなく)それで、で、で。」
少女「もうオウムしないでっていってるでしょ!・・(やや落ち着きながら)・・だから、ゴミの目録をメモ
   にとって、ノーベル賞かエコロジー大賞かでももらえる訳?・・もらえないでしょう。・・だからメモして
   何をしているか聞いているのよ。もう、ほんと分かんないんだから。これだから年寄りは困るわ。」
老人「(悲しそうに)・・・。」
少女「(しかたなく)私ね、時間がないの。」
老人「(突然の展開に)は、あ、・・?」
少女「時間がないのよ。」
老人「時間・・?」
少女「忙しいのよ。」
老人「・・・?」
少女「教えてくれない。」
老人「え・・・?」
少女「なぜ、ゴミの目録をとっているのかということ・・。」

老人はしばらくとまどっている様子だったが、ある空中の一点を見つめた後、観客席の特定の一席にまるで
だれか知り合いが座っているかの様に

老人「(話しかけるかの様に)いいかの?」
少女「え・・?!何かいった?」
老人「・・いや。こちらの話じゃ。・・(思い直して)君は年はいくつなのかな?」
少女「あたし・・?」
老人「・・ああ、いや、いや・・。このメモじゃろ・・?」
少女「・・・。」
老人「わしにとっては大事なメモじゃ・・。」
少女「・・・。」
老人「聞いてくれるかの・・・。このゴミの山じゃが・・。」
少女「うん。」
老人「ゴミの山じゃが、例えば、その雑誌・・。それはどこからきたか分かるかの・・?」
少女「どこから?」
老人「ああ・・。」
少女「出版社の名前?」
老人「いや、そうではない・・。」
少女「どこから?」
老人「(雑誌を手に取って)そうじゃ・・・この雑誌、この雑誌がどこからこのゴミためへ運ばれてきたか、
   もっと言えば・・・。」
少女「うん。」
老人「誰が、この雑誌を捨てて、誰が、ここまで運んできたのか。」
少女「・・・。」
老人「わかるかい?」
少女「・・わかんない・・」
老人「わからんじゃろ・・・」
少女「・・・」
老人「・・わからんか?」
少女「・・おじいさん・・わかるの・・?」
老人「・・・わしにもわからんのじゃ。」
少女「(ズルッ)」
老人「(ちょっと気まずい)・・・。」
少女「(かなりあほくさい)・・・。」
老人「あの・・」
少女「なに?」
老人「お・・。おなかすいとらんか?」
少女「おなか?」
老人「ああ。」
少女「(しかたなく)・・ちょっとだけすいた。」
老人「・・・」

老人は何事もなかったかの様にゴミの山から、やかんや鍋、カセットコンロを見つけて調理の準備をする。
これもゴミの中からだが、袋ラーメンが出てきて、また割り箸を見つけたりして調理をしながら、なにやか
や言っている。「ああ、あった・・」とか「水は水筒があったかの・・」とか。
少女はいぶかしがりながらも、しかたなく調理が終わるのをまっていたが、すぐに。

老人「できたぞ。」
少女「ええ!もう?」
老人「ああ、できたできた。」
少女「ええ!?このラーメンまだぬるそうなんだけど・・」
老人「ああ、はあ、まあ食べてみるといいよ・・」
少女「(しかたなく箸をつけ)いただきます・・」
老人「(感心して)ほお・・」
少女「(少しはずかしく)何よ。」
老人「いやいや。」
少女「なによ?」
老人「・・・」
少女「(食べてみて)・・・ちょっと、おいしくないんだけど・・」
老人「は、は・・」
少女「しかもぬるいんだけど・・」
老人「ほ、ほ・・」
少女「もう!」

少女しかたなくぬるいラーメンを食べる。
ちょっと気がついて。

少女「おじいさん!」
老人「は・・!?」
少女「おじいさんは食べないの・・?」
老人「わ・・」
少女「わ?」
老人「わしは・・たべないんじゃ。」
少女「・・おなか・・すくんじゃない。」
老人「ま・・」

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