鬼〜編集版〜

桃太郎ができたわけ

(おにへんしゅうばん)
初演日:0/0 作者:ながみねひとみ
「鬼」vo1.5 〜桃太郎ができたわけ〜   作・ながみねひとみ

一真    …物語の中から抜け出した鬼。自分が鬼であることを忘れている。
博也   ・桃太郎 …一真の友達。悩んでる一真を心配している。
眞子   ・影1  …一真の友達。利恵が一真のことが好きなことを知っている。     
利恵   ・影2  …一真のことが好きな女の子。内気でもじもじしていることが多い。
生徒A   ・犬円   ・影(いぬまる)…落ち着いてるようで気が短い。
生徒B   ・猿輔   ・影(さるすけ)…冷静沈着にものをみてるが二匹のいいなり。
生徒C   ・雉麿   ・影(きじまろ)…三匹の中で一番えらそうな感じ。


























プロローグ

     場所はある島、海の音がする。中央奥には巨大な岩が
     ある。あとはちらほらとゴツゴツした地面が広がる。(箱で対応)
     争う騒々しい音が鳴り響く。燃えたがる山々。
     満月の夜。

桃太郎  鬼はどこだ!鬼はどこだ!この桃太郎が成敗してくれる!

     岩の後ろから3匹現れて。

影1   侵入者だ!侵入者だー!
猿輔(影)小僧!ここがどこかわかってきたのだろうな?
桃太郎  でたな、化け物めっ!
犬円(影)答えろ小僧!たかが人間の一匹で何をしにきた?
桃太郎  この鬼が島に住む邪な妖怪をすべて退治しにきたのだっ!
雉麿(影) 人間の分際で我々を退治するだと?笑わせてくれる!
桃太郎  黙れ!鬼はどこだ!答えろ雑魚どもめっ!
猿輔(影)その汚い口を慎めっ!
犬円(影)生きたまま食いちぎるぞ!
桃太郎  やれるものならやってみろ!
雉麿(影)貴様ごときおかしらがいなくとも我々だけで十分だっ!はぁっ!

     術を使う音。それをはじく刀の音。

桃太郎  はぁっ!貴様らの、まやかしなど、この桃太郎には通用せんわっ!
     口ほどにもない。
雉麿(影) なんだとっ!?
桃太郎  さぁ、鬼を出せ!
犬円(影)おのれぇ!黙ってみておればいい気になりおってぇ!
影1   犬円様、落ち着いてください。もうすぐお頭が参ります!
犬円(影)だまれ!止めるなぁ!
猿輔(影)気をしずめろぉ!犬円!!
影2   た、大変でございます!大変でございます!
雉麿(影)なんだ!騒々しいぞ!?
犬円(影)気がたっておるのだ!早々に話をすめせんと貴様も殺すぞ!
影2   お頭がっ…!
一同   何だと!?
桃太郎  どうした鬼を出せ!
影    鬼!
桃太郎  鬼!
一同   鬼はどこだっ!

     音響、大きくなっていく。暗転。
     中央のサスペンションに弱しい
     一真がたっている。その他は影。

一真   あ…ごめん。
博也(影)…気をつけろよ。
一真   うん…。
眞子(影)どうしたの?
博也   ん?ぶつかったんだよ。
眞子(影)あんた、謝ったの?
一真   あ、うん。謝ったよ。

     博也と眞子が話しを進めていく中で影は
     一真をみてひそひろ話をしている、もちろん一真の
     ことについて、決していいことを話しているようには見えない。

眞子(影)ちゃんと、前むいて歩いてよね。
一真   ご、ごめん。
眞子(影)はぁ?聞こえないよ。声、小さい。
一真   ごめん!
眞子(影)は?なに大声でいってんの?
博也(影)おいおい、あんまり派手にやんなって。
眞子   だってさぁ。
博也(影)学校きて何が楽しいんだかな。
眞子(影)ほーんと、誰にもされてないんだもんね。お気の毒。
博也(影)居場所がねぇってキツイよな。
眞子(影)あはは、いえてる。
博也(影)なんだよ。何みてるんだよ。
一真   居場所…。
眞子(影)何?
一真   見つけなくちゃいけないんだ…。
一同   はぁ?
一真   見つけなくちゃいけないんだ…。僕にはもう…帰る場所がないから…。

     影が全員ゆっくり真正面をむくと、照明がかわり
     一真のサスペンションが消える。

一同     昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが、おりました。おじいさん
       は、山へしばかりに、おばあさんは、川へ洗濯にいきました。おばあさん   
       が川で洗濯をしていると大きな桃がどうぶらこっこ、どうぶらこっこと流
       れてきました。おばあさんはその桃を持ち帰り、おじいさんはそのももを
       割ってみると、なんということでしょう。桃の中から元気な男の子が出て
       きたのです。

     セリフをいいながら、箱を動かして場所を作っていく影たち。
     図書館、頭を抱えながら本を読みふける一真。

博也   進んでますか?補習の勉強は?
一真   おぉ!びっくりしたぁ。
博也   「幼児の心の成長と童話について」だっけ?
一真   ええ、まぁ。
博也   家庭科の一番簡単な単元じゃん。
一真   むろん、補習はボクだけですが。
博也   それで、その童話の題材に選んだのは何?
一真   か、関係ないだろ。
博也   何だよ。いいだろ。あっ!あれはなんだ?
一真   おっ!なんだなんだ!

     そのまま本をとりあげる。

博也   バーカ。
一真   あっ。
博也   典型的な手にひっかかりすぎなんだよ。お前は。
一真   ちょ、返せよ!
博也   「桃太郎」。
一真   なんだよ、単純とでもいいたいのか?童話といえば「桃太郎」
     ああ、単純だよ。単純そのもんだよ。
博也   以外だな。
一真   なんで、ただの昔話だろ。
博也   ただの昔話!?お前ってそんな頭いいの?
一真   いや、ごめん。バカだよ。オレ。
博也   老夫婦が愛してやまない青年が3匹の凶悪な妖怪を惨殺するっていう
     ものずごーいバイオレンスなお話だよ。
一真   …そうなの?
博也   そうですよ。
一真   (ペラペラとページをめくる)…。おかしいな。
博也   おかしいか?っていうか、こんなの題材にしたら確実にお前
     家庭科の単位もらえねぇよ。
一真   マジ?
博也   マジだって…。「幼児の心の成長」になんでこんなバイオレンスな
     話を持ち出しちゃうんだよ。お前は…。もっと、さぁ、平和なの
     いこうよ。平和なの。
一真   …「桃太郎」って「桃太郎」だよな。
博也   大丈夫?
一真   鬼が島にさ犬、猿、雉を連れてさ。鬼を退治しにいく話でしょ?
博也   …一寸法師とかと間違えてんじゃないの?そもそも、桃太郎には鬼
     なんて出てこないから。よく読めよ。「桃太郎」この部分。
一真   …(本を読んで)あれ…ほんとだ…。俺、間違ってるなぁ…。変だな。
博也   そうだろ。一真バカだもんな。
一真   うん、オレ、バカだから。
二人   あはははは。
博也   泣いてるの?
一真   俺はちっとも悲しくなんてぇ…。(悲しそう。)

     眞子、利恵がやってくる。

眞子   そんでさ、あたしがバイト先の先輩にいってやったの!
利恵   眞子は気が強いからなぁ…。
眞子   そんなことないって、言うときにはビシっといってやんないとさ。
利恵   うん…そうだけど。
眞子   利恵はおとなしすぎるんだよ。なんか、みてても、うじうじ、もじもじ
     だし、見てるこっちが、きぃぃぃぃ!って。
利恵   眞子、ちょ、落ち着いて!は、恥ずかしいから、見てるこっちが
     恥ずかしいから!
博也   何をやってるのお前は。
眞子   おぉ。ヒロさんではないですかぁ〜。
博也   みろよ。かわいそうに、おろおろして。
利恵   あ、もう、ごめん、ほんと、あたしがね…。うん!
眞子   え…あたしって、一緒にいるとそんなに恥ずかしい?
利恵   そんなことないよ!
博也   心のそこではすんごい、いやだと思ってるぞ。
眞子   うわぁ。どうしよぉ〜。慰めて。
博也   はーい、近づかないでくださーい。

     「桃太郎」の本を読んで悩んでいる一真。

眞子   …どうしたのアレ?
博也   一寸法師と桃太郎の違いがわからなくて悩んでるの。
眞子   は?全然違うじゃない。
博也   桃太郎に「鬼」がでてくると思ってんだよ。バカだろ。
眞子   あ、そりゃバカ以外の何者でもないねぇ。
利恵   …。
博也   どうしたの?
利恵   え、あ、うん?なんでもないよ。
眞子   ほら、利恵はさ。
博也   ああ、利恵さんはさ?
眞子   (なにかしらのサインを送る。)
博也   あー。かなり、なっとくぅ。
眞子   かわいいだろ?
博也   かわいいな。
利恵   え?なに?なにいったの?やめてよ!そういうこというのやめてよぉ!
博也   かわいいな。
眞子   でも、相手はヒロさんじゃないのよ。残念ね。
博也   うるさいよ、キミは。

     眞子、一真に近づいて。

眞子   か・ず・ま・くん。
一真   え!なに?
眞子   タッチ☆さぁ。次はあなたが鬼よ。私を捕まえてごらんなさーい♪
一真   オレが鬼?
眞子   そう、あなたが鬼っ!
博也   いつも、あんな暴走に付き合ってるの?
利恵   うん。眞子の存在自体が暴走そのものっていうか。
博也   結構、毒はくね。
利恵   でも、楽しいよ。

     静かに見つめる二人。

一真   オレが…鬼…。
眞子   ちょっと!ちょっと!もしもし??
一真   え?
眞子   え?じゃない。なんか悩んでるみたいだから元気つけようと
     思ったのに、なによ、それ。
一真   ああ、悪い。
眞子   「悪い」じゃないっつーの!一真らしくないじゃん。
一真   オレらしく…ない…?
眞子   あー…もうっ!なに、自分探しの旅にでも出たい気分なの?
一真   いや、そういうわけじゃないけどさ。
眞子   あーでもない、こーでもないって考えてもしかたないじゃん。
一真   ま、まぁな。
眞子   確かにもう、受験生だよ。勉強、勉強、勉強、明日もあさっても勉強
     だよ。自分の目標にむかって好きでもない勉強をしなきゃいけないさ。
     だけど、今ごろそんな悩んでてもしかたないでしょ?やるだけやんなきゃ 
     とにかく進むしか道はほかにないのよ!
一真   そ、そうですよね…。
眞子   それしかないのですよ!
博也   なんか悩んでるなら聞いてやるよ。
一真   いや、別に…悩んでるわけじゃないけどさ。
博也   悩んでるわけないじゃないけど、なんだよ。
一真   う―――
博也   …。
一真   ――ん。
博也   なげぇよっ!
一真   オレは一体なんなんだろうな。
博也   …熱があるのかい?
利恵   大丈夫?
一真   いや。
眞子   あー。もう、イライラするっ!
一真   あぁ!もう悪かったよ!

     一真、「桃太郎」の本を落としてしまう。

一真   あっ!

     光が散らばる。博也と眞子はストップモーション。

一真   え?な、なんだっ!
博也   なに?なんかあったの?
一真   みただろ!本から光がでて!
博也   本から光だぁ?
眞子   どう思うよ。
博也   どう思うってよ。
眞子   重症だわよ。

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