イチゴイチエ

(いちごいちえ)
初演日:2005/3 作者:にゃがえ
題名:イチゴイチエ
作者:にゃがえ(元シアターちょこざい)

登場人物
ヒガシ(東 由典)
ゴウ(高田 豪)
マヤ(松井 真夜)
ショッチ(谷川 晶子)
ヒロポン(小野 裕子)
モモタロー(桃井 太郎)
アケミ(佐藤 明美)

       1

        冬。夕暮れ。
        大学の屋上。
        空を見上げているゴウ。
        そこへ、ヒガシがやってくる。

ヒガシ:ゴウ!

ゴウ:…ヒガシか…。

ヒガシ:やっぱり、ここにいたんだ。寒いでしょ?風邪引くよ。

ゴウ:まあ、な…。

ヒガシ:とか言いつつ、僕も来てるけどね。

ゴウ:俺らの原点だからな、屋上は…。

ヒガシ:原点…か…。あの頃はここも寒くなかったしね。

ゴウ:若かったしな。

ヒガシ:ははは…そんな何年も経ってないって。

ゴウ:で、ヒガシはなんでこんな寒空の下、屋上なんかに来たんだ?

ヒガシ:多分…ゴウと同じ…かな…。暇つぶしっていうか、なんていうか…。

ゴウ:おいおい、暇つぶしって…就活で大忙しじゃないのかよ。

ヒガシ:それはそうだけど…。サークル引退したら急に時間が余っちゃってさ。

ゴウ:だから、その余った時間は就職活動にあてろよ。

ヒガシ:はいはい。それと、ここにきた理由はもう一つあるんだ。

ゴウ:もう一つ?何?

ヒガシ:ゴウに会いに来た。

ゴウ:えっ!?…ヒガシ…やっぱり俺のこと…。

ヒガシ:バーカ、変な意味じゃないよ。

ゴウ:バーカ、分かってるよ。

ヒガシ:…変わらないな、ゴウは。

ゴウ:変わらないのはヒガシもだろ?サークル結成した日のまんま。変わったのは…体力の衰えを感じるようになったくらいかな…。

ヒガシ:それが、大人になるってことさ!

ゴウ:訳わかんねぇよ…。

ヒガシ:訳わかんないのはいつものことだっただろ?…「いつものこと『だった』」か…。
    もうサークルのみんなと会うことも減るだろうな。

ゴウ:…そうだな…そしてみんなだんだんと忘れていくんだ…。

ヒガシ:バーカ、そんなことないよ。思い出はいつまでも僕たちの心の中にあるのさ。なんと言っても、僕たち、

二人:「イチゴ仲間の集い」(ポーズ)ですから!!

        間。
        冷たい風が吹く。

ゴウ:…なんか、いろんな意味で寒いな…。

ヒガシ:…うん…って言うか、サークル名考える時に「イチゴ」ってのを提案したのはゴウでしょ!?
    それに、少なくともゴウが提案したのよりは「イチゴ仲間の集い」の方がはるかにマシ!

ゴウ:ま、まあな…。でも、そのポーズを考えたのはヒガシだ!

ヒガシ:…やっぱり二人とも若かったんだね…。

ゴウ:でも、「イチゴ」の活動の中にも、いろんなことがあったよな。
   春はお花見にお団子、夏は登山に海水浴、秋は紅葉にキノコで、冬はスキーに雪合戦…。その一つ一つにドラマがあった。

ヒガシ:ド、ドラマ?う、うん、ドラマね…。…ゴウって…こんなにクサイ男だったっけ…?

ゴウ:んっ?

ヒガシ:いやいや、こっちの話。なんでもないです。

ゴウ:…まあいいや。とにかく、この三年間はいろいろあったってことだよ。

ヒガシ:…うん…。

ゴウ:な、この三年間の中で、どのイベントのことが一番記憶に残ってる?

ヒガシ:えっ…なんだろうな。急に言われても…えっと…。

ゴウ:おれはやっぱりサークル結成の日だな。ほら、屋上でヒガシと出会って意気投合してさ。

ヒガシ:あー、覚えてるよ。確か、大学の構内を探検してて屋上行ったら、ぼーっと空見てるゴウがいたんだよね。
    なんか危なげな人って第一印象だったよ。

ゴウ:そ、そんなふうに思ってたのか。

ヒガシ:しかも、「青い空って、なんだか吸い込まれそうですよね。」とか言ってくるし。

ゴウ:げっ、俺ってそんなに変なヤツだったっけ。

ヒガシ:でも、実際いろいろ話してみるとそんなに変なヤツでは…あったかな。
    けど、まあまあ面白いヤツで、なぜか一緒にサークルをつくろうって話になったんだよね。

ゴウ:あれっ?俺は初めからサークルの仲間を捕まえるべく、同じニオイのする人を求めて屋上にいたんだけど…。

ヒガシ:…ってことは、僕はそのクモの巣にひっかかったチョウチョだったのか…。

ゴウ:それにしても、よく人が集まったよな。あの頃は五人いればサークルが結成できたから良かったものの…。

ヒガシ:そうだったねー。あの頃…懐かしいよね…。今でも思い出すよ…。

       2

        回想シーン。
        サークル結成の日。(四月)昼間。
        同じく屋上。
        ヒガシとゴウ、マヤとショッチがそれぞれ話している。
        しばらくして、モモタローが走ってくる。

モモタ:ゴメンゴメン、遅くなっちゃった。

ショッチ:遅いよ、モモタロー。

モモタ:そ、そんなこと言ったって…授業長引いちゃって…。

ショッチ:あら、言い訳?

モモタ:そ、そんなー。

ショッチ:ったく、あんたは昔から…

マヤ:(話すタイミングがつかめないでいるゴウに気づいて)ちょっと、ショッチ。

ゴウ:あの、話してもいいかな?

ショッチ:あ、ゴメンゴメン、どうぞ。

ゴウ:え、えー、では話を始めます。えっと、俺がみんなに集まってもらった…首謀者です。

ヒガシ:ゴウ…硬くなりすぎ…。

ゴウ:えっと、集まってもらったのは、みんな分かってると思うけど、このメンバーでサークルをつくろうってことで…。
   ここまではいいよね?

ヒガシ:分かってるよ。ほら、話続けて。

モモタ:えっ、サークルをつくるんですか?

ショッチ:そうそう、そういうことだから。

モモタ:えっ、ええっ?

ショッチ:話続けて。

ゴウ:…えっと、サークルの目的は、何て言うか、様々な交流活動を通して、大学生活を共に楽しむ仲間をつくる…と言うか…。

ショッチ:ふ〜ん、結構真面目に考えてんだー。

モモタ:…えっ?でもそれって、わざわざサークルをつくってやるようなことですか?

ゴウ:うっ…そ、それは…。

ヒガシ:で、でも、サークルにすれば、いろんな方面の人たちが集まれるんじゃない?

ショッチ:そうだよね。ウチにしても、モモタローとゴウ君とマヤはまだしも、えっと…。

ヒガシ:あ、ヒガシです。

ショッチ:ヒガシ君とは会わなかっただろうし。

ゴウ:だからやっぱり、このサークルをつくるのには、大きな意義があるのです!


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