YOU

()
初演日:2001/10 作者:中島清志
 YOU  中島清志 作

〔キャスト〕♀4人 ♂1人              
♀ アオヤママイ(中学1年生)
♂ アオヤマユウ(マイの義兄)
♀ クロキヨウコ(マイの実母)
♀ シライサチ(ヨウコの助手)
♀ サイオンジレイカ(女子アナ)

開幕 クロキ生化学研究所の研究室である クロキヨウコ、ファイルをながめながら    
                                          
ヨウコ「被験体ナンバ−93は、Aが62、Bが25、Cが13・・・ナンバ−94は、Aが56、Bが37、Cが70?・・・おかしいわねえ。」                      
                                                 
サチ、紙を持って入って来ると、紙をヨウコに渡して                  
                                          
 サチ「ナンバ−95のデ−タが取れました。」                     

ヨウコ「ご苦労さま。ねえ、ここの数字、間違いない?」                

 サチ「あっ!・・・これ70じゃなくて7です。」                   

ヨウコ「そうじゃないかと思ったわ。」                        

 サチ「申し訳ありません。」                            

ヨウコ「ナンバ−95は?」                              

 サチ「もう死んでいました。」                           

ヨウコ「やっぱり・・・後でまとめて実験動物のお墓に入れてあげてね。」        

 サチ「先生。お疲れのようですが・・・」                      

ヨウコ「大丈夫よ。それより、これでデ−タは揃ったから急いで打ち込んでちょうだい。アオヤギ製薬のプレゼン、あさってだから。」                    

 サチ「はい。」                                  
                                        
サチ、パソコンに何か打ち込み始めるが、すぐに困った様子               
                                         
 サチ「すみません。ちょっとここの操作が・・・」                  

ヨウコ「いいわよ。替わって。」                           
                                        
サチ、席をヨウコに譲る ヨウコ慣れた手付きでパソコンを操作している         
                                         
 サチ「うわあ、すごい!マウスが動いてる・・・あ、死んじゃった。」         

ヨウコ「最近のプレゼンは、CG画面でやるのが常識だから、面倒なのよね・・・」    

 サチ「ごめんなさい。役に立たなくて・・・」                    

ヨウコ「いいわよ・・・はい、後は大丈夫ね。」                    
                                        
ヨウコ、席をサチに替わる                              
                                          
 サチ「私、ホントに先生尊敬してます。」                      

ヨウコ「私だって駆け出しの頃は、先輩に迷惑かけてばかりだったわ。」         

 サチ「何でもお出来になるし、この若さで独立して自分の研究所を持ってるなんて・・・」

ヨウコ「独立って言えば恰好いいけど、プレゼン、プレゼンに追われて、一体自分が何やってるのかわからなくなる時があるわ・・・まあ、企業に売り込まなきゃやってけないから、仕方ないんだけどね。(深呼吸)」                      

 サチ「先生、少しお休みになられては・・・」                    

ヨウコ「あなたが帰ってから、仮眠とるわ。」                     

 サチ「あまり無理はなさらないで下さい。」                     

ヨウコ「シライさんこそ、彼とはうまくいってるの?」                 

 サチ「え・・・は、はい。」                            

ヨウコ「結婚に失敗した人間が言う事じゃないんだけど、しっかりシッポ捕まえとかなきゃ・・・仕事もいいけど、ほどほどにしてね・・・」                 
                                                     
呼鈴が鳴ったので、サチ隣の部屋に引っ込んで玄関に出る しばらくしてサチ戻る     
                                       
 サチ「先生、お客様です。」                            
                                         
中学校の制服を着た女の子が入って来る マイである                  
                                         
 マイ「こんにちは、ママ。」                            

ヨウコ「マイ!?・・・一体、どうしたの?」                     

 マイ「ママに相談があって・・・」                         

 サチ「娘さんですか?」                              

ヨウコ「ええ。」                                  

 サチ「(マイに)何年生なの?」                          

 マイ「中学1年です。」                              

ヨウコ「マイ。研究所に来ちゃ駄目って言ったでしょ。」                

 マイ「だってママ、いつも家にいないから。」                    

 サチ「先生はこの頃お忙しいんですよ。」                      

ヨウコ「しょうがないわね。何、相談って?」                     

 マイ「パパが・・・知らない女の人と結婚するの。」                 

ヨウコ「そう・・・新しいお母さんと仲良くしなくちゃね。」              

 マイ「うん・・・でも男の子がいるみたいなの。マイより1つ上だって。」       

ヨウコ「じゃあお兄ちゃんになるのね。お兄ちゃんとも仲良くしなくちゃ。」       

 マイ「私、男の子って嫌い。」                           

ヨウコ「マイ。その子どういう名前?」                        

 マイ「ユウだって。」                               

ヨウコ「ユウ君か・・・お兄ちゃんが出来たら、寂しくなくっていいじゃない。」     

 マイ「でも嫌な子だったらどうしよう?・・・男の子って乱暴だし。」         

ヨウコ「大丈夫よ。すぐに慣れるんだから。」                     

 マイ「そうかなあ?」                               

ヨウコ「そうですよ。もしどうしても嫌な事があったら父さんに相談なさい。」      

 マイ「ねえ、ママの所に又相談しに来てもいい?」                  

ヨウコ「いいわよ・・・だから新しいお母さんやお兄ちゃんと仲良くするのよ。」     

 マイ「うん。わかった。」                             

ヨウコ「じゃ、約束しましょ。」                           
                                          
マイとヨウコ、指切りげんまん                            
                                         
ヨウコ「それじゃ、気をつけて帰るのよ。」                      

 マイ「うん。ママ、ありがとう。」                         
                                          
マイ、帰っていく                                  

ヨウコ「大きくなったようでも、まだまだ子供ね。」                  

 サチ「わかります。私もあのくらいの頃は、男の子が嫌いでしたから。」        

ヨウコ「シライさん。あなたも、もう帰っちゃっていいわよ。」             

 サチ「でも、まだこんな時間ですが・・・」                     

ヨウコ「いいわよ。今晩彼と会うんでしょ?」                     

 サチ「先生!?」                                 

ヨウコ「あれだけ大きな声で電話してたらわかるわよ。いいわね、若いって。」      

 サチ「あの、デ−タの打ち込みがまだ・・・」                    

ヨウコ「後はやっとくから、早く帰って、服を着替えて、お化粧もちゃんとして、行ってあげなきゃ。彼氏がかわいそうよ。」                        

 サチ「すみません。それじゃあ、失礼します。」                   
                                         
サチ、そそくさと帰って行く 1人残されたヨウコは大きく深呼吸            
                                         
ヨウコ「今日は、徹夜か・・・」                           
                                          
研究所は夜がふけていく マイの家 マイ帰って来るとテ−ブルに座って勉強を始める すると、ユウがやって来る
                                          
 ユウ「マイ、何やってんだ?・・・シカトするなよ。」                

 マイ「会ったばかりなのに、名前を呼び捨てにするのはどうかと思うわ。」       

 ユウ「もう1週間たつんだぜ。」                          

 マイ「まだ1週間。」                               

 ユウ「いい天気だから、勉強なんかやってないで外に遊びに行こうぜ。」        
                                        
マイとりあわない                                  
                                          
 ユウ「虫取りに行かないか。バッタとか、トンボとか。」               

 マイ「私、虫嫌い。」                               

 ユウ「あ、じゃあさ、俺だけの秘密の場所教えてやるよ。もうすぐ暗くなったら、星がいっぱい見えるんだぜ。」                             

 マイ「子供みたい。」                               

 ユウ「バカにするなよ。」                             
                                       
ユウ、マイのやっているプリントを取り上げる                     
                                          
 マイ「何すんのよ!」                               

 ユウ「俺が教えてやるよ。」                            

 マイ「宿題なんだから、返して!」                         

 ユウ「漢字の読みか・・・彼と彼女は、え−っと、へんじん同士だった。」       

 マイ「それこいびと。」                              

 ユウ「え?・・・あ、ああ、ジョ−ク、ジョ−ク。」                 

 マイ「私、そういうつまらない冗談嫌いなの。」                   

 ユウ「次は真面目に読んでやるから。え−っと、ががいえの・・・」          

 マイ「それ、わがやよ。」                             

 ユウ「てんどんはたかい。」                            

 マイ「ふざけないでよ!」                             

 ユウ「又、間違えたかな?」                            

 マイ「それてんじょうだよ。てんどんが高くてどうすんのよ!」            

 ユウ「い、いやあ・・・そうだ、マイ、天丼って好きか?」              

 マイ「嫌い。」                                  

 ユウ「そうだろ!俺も、カツ丼の方が好きなんだ。」                 

 マイ「何言ってるの?」                              

 ユウ「学校の裏にかがやって食べ物屋があるだろ。あそこ、カツ丼は五百円なのに、天丼は六百五十円なんだよ。だから、かがやの、天丼は、高い。どうだ!座布団1枚。」  

 マイ「もういいから、邪魔しないで。」                       

 ユウ「あ、でもかがやって、結構おいしいんだぜ。それに学割きくし。俺、サッカ−部なんだけど、部活の帰りとか、みんなで食べに行ったりするんだ。今度、マイにおごってやるよ。おすすめはお好み焼きだな。俺、マイのために焼いてやるから。」      
                                                     
マイ、ユウを無視して勉強している                          
                                         
 ユウ「どうして、そんな悲しそうな顔するんだよ。」                 

 マイ「あきれてるの。」                              

 ユウ「女の子は勉強ばかりしてちゃ駄目なんだぞ!」                 

 マイ「男でも女でも一緒よ。」                           

 ユウ「違うさ。男の子は女の子を守ってやらなくちゃいけないんだからな。」      

 マイ「誰がそんな事言ったの?」                          

 ユウ「母さんさ。」                                

 マイ「ママはそんな事言わなかった。女の子もしっかり勉強して、将来1人でも生活出来るようにしなくちゃって。」                           

 ユウ「なるほどね。」                               

 マイ「何よ。」                                  

 ユウ「そんな事言ってるから、お前の父さん、お前の母さんと別れたんだ。」      

 マイ「ママは仕事が忙し過ぎたから・・・」                     

 ユウ「だろ?だから、女は仕事なんかしてないで、家に居た方がいいんだよ。」     
                                         
マイ、シクシク泣き始める                              
                                         
 ユウ「お、おい、お前すぐ泣くんだな・・・ごめん、俺が悪かったから泣かないでくれよ。」

 マイ「私、将来ママみたいな科学者になるの。ママをバカにしたら承知しないんだから。」

 ユウ「わかったよ。謝るからさ、もう泣くのやめてくれよ。俺がいじめてるみたいじゃないか。」                                    

 マイ「どうして、そんなにしつこく私につきまとうの?」               

 ユウ「俺、マイと仲良くしたいんだ。だから、お願いだから俺の話も聞いてくれよ。」  

 マイ「何よ。」                                  

 ユウ「俺さあ、生まれた時から、父さんいないんだ。」                

 マイ「えっ?」                                  

 ユウ「そういうのシングルマザ−って言うんだって。それに1人っ子だから、ずっと母さんと2人きりだったんだ。」                           

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム