歯ブラシ仮面

交通安全劇

(はぶらしかめん)
初演日:-1990/5 作者:森島永年
歯ブラシ仮面
……交通安全劇


登場人物
・歯ブラシ仮面
・司会者
・藤丸
・男
・あれさえ将軍
・魔王なすりつけ
・その他大勢の悪の手先

MC「この世に悪のある限り、正義の滅びることはない。しかし、正かるべき正義も時として過ちを犯すことがある。はたまたしかし、結果には必ず原因があり、また結果のあとには恐るべき後始末というものも残っているのだ。
遊んだあとに後かたづけをしなければ必ず後悔がやってくるだろう。これは大人にも子供にも共通する普遍の真理である。さて、私はここに一人の正義の味方を紹介しよう。この世紀末の世に正義のために自らの命を投げ出してまで、正義のために戦おうという男。そう、世紀末伝説のヒーローを。この男は悲しい運命を悲しい運命を背負って生まれてきた。これはあらゆることに共通する事なのだが、マルクスは最初は思想として生まれ、次には喜劇のマルクス兄弟として誕生したのだ。60年代のヒーローはかっこよかったが、次に現れるヒーローはしょせんパロディでしかありえないという悲しき宿命を背負って彼は誕生した。ここまでの話はよいこのみんなにはとっても難しかっただろう。しかし、私はそんなことは知ったことではないのだ。私が今まで言ったことを分かろうと思ったら、そばにいるお父さんお母さんに、どういう意味なのかを教えてもらいなさい。・もしかしたら、お父さんも分からないかもしれないが、その時は勉強しろ、塾へ行け、とばかり言うくせになにも分かっていないんだな、と心の中でそっと軽蔑するのだ。
さあ、あまりにも前置きが長くなりすぎた。それでは、我らが正義の味方、世紀末伝説のヒーロー歯ブラシ仮面を紹介しよう。さあ、みんな声をそろえて歯ブラシ仮面を呼ぶのだ」

何度か歯ブラシ仮面を呼ぶ。するとけたたましい笑い声とともに、歯ブラシ仮面登場。

歯ブラシ仮面「この世に正義のある限り、悪の栄えた試しはない。ご存じ歯ブラシ仮面登場」

そこへ司会者(MCと同一人物でいい)が登場。

司会者「あのー、すみませんが、だーれも、おたくのこと知らないんですよ。本当におたく正義の味方なんですか?」

歯ブラシ仮面「もちろんだ」

司会者「でも、誰も知らないっていうんですよ。せめて、仮面ライダーとかスピルバンとかなら、みんな知っているけど。歯ブラシ仮面なんて、……歯ブラシ仮面って、みんな知ってるかーい?(会場に聞く)」

歯ブラシ仮面「莫迦にしたな、お前、莫迦にしただろう」

司会者「誰も莫迦にはしてませんけど……知らないものは、知らないんだから」

歯ブラシ仮面「正義の味方にも、松竹梅とあってな、松、これはアメリカのスーパーマンクラスを指すわけだ。竹、これは仮面ライダーとかゴレンジャーというような日本でしか通用しない正義の味方。そして、梅、はメーカーの協賛で名前の付いている正義の味方だ、たとえば、マクドナルドのドナルドとか、古くは松下電器のナショナルキッドとか、まあ、…そういうわけだ」

司会者「なにが、まあ、そういうわけなんですか」

歯ブラシ仮面「私は本当は、よい子の歯を守る正義の味方なのだ。つまりは、歯ブラシメーカーのおかかえで、宣伝担当の正義の味方なの。どうせ、梅ですよ。梅、今日は予算がないっていうから、シャイダーとかメタルダーとか、竹クラスも雇えないというから、仕方なしに来てやったんじゃないか。どうせ、梅ですよ。梅で悪かったね」

司会者「まあ、まあ、そんなことおっしゃらずに、なんといっても、水戸は梅の都、梅でいいじゃあ、ありませんか(注;初演は水戸の千波湖野外ステージ)そう、なんたって水戸は梅なんだから梅でなくちゃ(独白)とりあえず他にいないんだし、まあ、まあ、このさいみなさんにも我慢していただくことにして、……ということで、まあ、これで、いかせていただきますか」

歯ブラシ仮面「(それをしっかり聞いて)やっぱりお前俺を莫迦にしているだろ」

司会者「梅はいいな、俺偕楽園大好き、夜の第二公園なんてもっと好き」


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