蒼夜曲
蒼夜曲(セレナーデ) 中島清志 作
〔初演〕2004年(呉市立呉高校演劇部)
〔上演時間〕60分
〔キャスト〕♂2 ♀3
♂中野洋一・・・慶早大経済学部2年生
♀中野聡子・・・慶早大附属病院研修医
♀島尾百合・・・慶早大文学部1年生
♂吉田栄二・・・慶早大法学部2年生
♀朝比奈恵・・・慶早大附属高校2年生
場末の汚い居酒屋の座敷。
何も置いてないテーブルに女性が座っている。
15年後の聡子である。
そこへ男がやってくる。
15年後の洋一である。
洋一「聡子さん、お久しぶりです。」
聡子「洋一・・・
全然変わってないのね。」
洋一「聡子さんも相変わらずお綺麗で。(聡子の向かいに座る)」
聡子「カメラマンの仕事はどう?」
洋一「昨日バグダッドの取材から帰国したばかりなんですよ。
今度、『週間未来』に記事が載りますから読んでください。」
聡子「もちろん洋一の記事は全部読んでるわよ。
大活躍みたいね。」
洋一「聡子さんの方こそ医者の仕事はどうですか?」
聡子「順調よ。
こうして医者を続けていられるのも、考えてみればあの時の経験のおかげかも知れないわ。」
洋一「百合ちゃんのことですか?
今、お墓に参って来ましたよ。」
聡子「ええ・・・
私、本当のこと言うと、医者になるかどうか迷ってたの。
だけど、現実から目を反らしちゃいけない、医者の自分が逃げたら患者はどうなるんだって、あの時始めて医者としての使命感を感じてね・・・」
洋一「僕もです。
僕も百合ちゃんと出会っていなければ、平凡なサラリ-マンで一生終えていたでしょう。」
聡子「そしたら、私の運命も変わっていたかも知れないわ。」
洋一「彼女と始めて出会ったのは、ちょうど15年前のこんな夜でした。
聡子さんとここで飲んだこともよく覚えていますよ。」
聡子「それは忘れてくれてもいいのに。」
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