セルフ・コントロール
プロローグ

          おもむろに音楽。
          『惑星--木星--』
          舞台上には数人の人。
          はるか遠くを見つめる目。
          感動的なシーンだ。
          音楽クライマックス。
          あわせるように溶暗。
          幕。

          明かりが付くとカーテンコール。
          全員並んでいる。
代表「えー、本日は、劇団○○公演『セルフコントロール』に御来場いただきましてありがとうございます。僭越ながら、キャストの紹介をいたしたいと思います。」
          キャスト紹介。
代表「本日は、本当にありがとうございました。」
全員「ありがとうございました。」
          暗転。

          客電の明かりがつく客電の明かりがつく。
          しばし、間。
          観客、どうしたものか。
          (この間、ちゃんと客だしの音楽もなっているものとする。)
          突如、二人の男乱入。
A「ふざけるなー!」
B「そうだー!」
A「これで終わりか!?」
B「責任者出てこい!」
          などなど叫びながら舞台上へ。
          (客いじり可)
          責任者、出てくる。
責任者「はい、何でしょう。」
A「お前が責任者か。」
B「責任者か。」
責任者「そうですけど、何か。」
A「今のは何なんだ、今のは。」
B「そうだ、今のだ。」
責任者「今の、、、芝居のことですか?」
A「芝居だあ、ふざけんな!」
B「そうだ、ふざけんな、バカ!」
A「あんなんが芝居なもんか。客をなめんなよ。」
B「なめるな、バカ!」
責任者「感動的なラストだったじゃないですか。」
A「何が、感動的だ。まだ始まって、、、10分もたってねえじゃねえか。」
B「そうだ、バカ。」
責任者「そんな、長けりゃ良いってもんじゃないでしょう。」
A「そりゃ、そうかもしれねえけど、10分はねえんじゃねえか、10分は。」
B「そうだ、10分だ。」
責任者「昔から言うでしょう、はじめ良ければ終わり良し、終わり良ければ全て良しって、終わり、良かったじゃないですか、感動的で。」
A「終わりって、終わりしかねえじゃねえか。」
B「そうだ、終わりだ。」
責任者「わかんない人たちだなあ。最近はね、どこが終わりだかわかんないような芝居だってあるんだよ。いつ終わったか、わかんないから、客帰って良いのかどうかわかんない芝居だってあるんだよ。それに比べたらあんた、こんだけ終わりのはっきりした芝居もないんじゃないの。」
A「く、たかし!」
B「おう!」
A「ばきっ!」
          A、Bを殴る。
B「いてーよー。」
A「いいか、俺はな、人ができてるから、手を挙げたりするような真似はしねえ。しかしな、良く聞け、お前が屁理屈を言えば、言う程、罪の無い人間が被害を被るんだ、わかったか。」
責任者「な、何言ってるんですか?!」
A「たかし!」
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