微笑みの空へ
「微笑の空へ」

登場人物
春奈 はるな(17歳)
夏 なつ(16歳)
秋人 あきひと(16歳)
冬次 とうじ(17歳)
桜 さくら(15歳)
鈴 りん(27歳)
夏の母親
現代の桜



場面1 現代 墓地
 ―桜が一つの墓の前にいる。お参り…
 ―セミの鳴き声、ゆるやかに流れる時間
 ―遠くから子供の笑い声が聞こえている

場面2 あの時代 神社
 ―春奈、夏、桜が走って入ってくる
 ―春奈は服にりんごを乗せている
 ―桜はなにか紙筒をもっている

春奈「おっしゃ〜成功〜〜」
夏 「盗りすぎじゃない?」
春奈「育ち盛りですから」
夏 「わけてわけて」

 ―りんごをわたしていく春奈

桜 「…姉さん、いつもこんなことしてるんですか?」
春奈「ん、まあ…ね」
桜 「それは人としてどうなんですか?良心が傷まないのですか?」
春奈「じゃあ桜はいらないのね〜」
桜 「母さんに言いましょうか…姉さんがやっていることを」
春奈「…ああん、それはいやん」(りんごをわたす)
桜 「例えこの事実が他に知られようと、私の罪にはなりません。盗み自体には参加してま
   せんから」
夏 「桜ちゃんの将来が不安だわ」
春奈「まったく、誰に似たのかしら。おねえ様は悲しいわ」
桜 「少なくとも姉さんにだけは似ないように気をつけてます」
春奈「…こ、この……」(わなわなと)
夏 「まあまあ、りんごで黙ってくれてるんだしいいじゃん」
春奈「…で、桜」
桜 「はい」(紙を広げる)
夏 「神社の周辺の地図?」
桜 「ええ。なにせ秘密裏に起こす事ですから、ちゃんと企画と段取りを練らないと」
春奈「秋人の方はどう?準備進んでるって?」
夏 「まあね、おじさんも手を貸してくれてるらしいよ。まあ、ばれたら大変だからなかな
   か捗らないみたいだけど」
春奈「うむ」
夏 「で、この×印が?」
桜 「設置場所の予定です。樹木も多いですから、なるべくひらけた場所じゃないとならな
   いので」
春奈「う〜〜ん、でも川岸じゃない?これ」
桜 「水も近いですし」
春奈「ばれない?」
桜 「…そこですね、問題は」
夏 「結構人通るもんね〜」
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