とある金色の昼下がりに
6人版
とある金色(こんじき)の昼下がりに(6人バージョン)

登場人物
 チヨ(女)  アリス。真面目。主人公兼脚本。
 オトハ(女) チェシャ猫。不真面目。仲間大好き。
 ミユ(男)  白ウサギ。常識人。でも多分腹黒。
 リオ(女)  帽子屋。天然。演技では別人のよう。
 マサヒロ(男) 芋虫。ナルシスト。いじられ役。
 サヤカ(女) 女王。部長。頼りになるしっかり者。


チヨ  ふぅ、なんて不思議な世界なんでしょう! 大きくなったり小さくなったり……もううんざりだわ!
マサヒロ お前は誰だ?
チヨ  きゃっ!
マサヒロ お前は誰だ、と聞いている
チヨ  アリスよ。でも一日にこう何度も大きさが変わるとまるで自分が自分じゃないみたい! 今だって、芋虫さんと同じ大きさになるくらい小さくなってしまっただなんて、びっくりだわ!
マサヒロ どうして困ることがある?
チヨ  いつかあなたも、サナギやチョウに変わる時には少しばかり奇妙に思うでしょう
マサヒロ そんなことがあるものか
チヨ  そうね、あなたの感じ方は少し違っているかもしれないわ。でも私としてはとても奇妙でなんとも言い難い感じなの
マサヒロ それで、どのくらいの大きさになりたいんだ?
チヨ  あら、私寸法にはうるさくないわ。ただ何度も大きさが変わるのが嫌なの
マサヒロ 今のところはそれで満足かね
チヨ  ええ……あの、もし構わないんだったら、もう少し大きくなりたいわ。三インチしかないなんて少し惨めだもの
マサヒロ それで十分じゃないか!
チヨ  でも、私は慣れていないの!
マサヒロ そのうち慣れる。どうしても元の大きさに戻りたいならこのキニョ、キノコを食べることだね。片方は大きくなりもう片方は――
(明るくなり部員が入ってくる)
サヤカ ストップストップ。マサヒロ今噛んだよね
オトハ はーい! 罰として早口言葉三回~
マサヒロ 罰ゲーム⁉ そんなの聞いてないぞ!
サヤカ 甘いね、私なら十回させる
マサヒロ よーしわかった! この演劇部副部長マサヒロ様にかかれば早口言葉の三回なんて朝飯前だ!
リオ  あれやってよ! かえる!
マサヒロ 受けて立とう! (かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ…………どうだ!って誰も聞いてない‼)
サヤカ それとチヨ、演技が堅い
チヨ  え、ホント?
ミユ  確かに。もっと、こう、自然な感じで……
オトハ ちゃんとアリスになりきらないと~
チヨ  だって訳わかんないんだもん! なにこの会話頭沸いてんの?
ミユ  まあアリスってそういうもんでしょ、深く考えても仕方ないよ
サヤカ いやミユくんはもっと考えて
ミユ  あっごめんなさい
オトハ でも、正直親近感は湧かないよなぁ
リオ  夢の世界だもんね
サヤカ はいはいそんな事言わない。本番まで時間ないんだからさっさと練習再開するよ
リオ  りょーかい!
オトハ えー私サボっちゃおっかなぁー
ミユ  ちょ、オトハちゃん? 監督の目の前でよくそんなことが言えたね?
オトハ だってめんどくさい~
マサヒロ 駄目だ。オトハは主役の次に出番が多いんだぞ
チヨ  サボるなんて公演一週間前で許される訳ないでしょ
オトハ ねぇチヨりん~今からでも私の出番減らせない~?
チヨ  無理
オトハ そこをなんとか! よっ天才脚本家!
サヤカ そろそろ練習再開したいんだけど
ミユ  ほら監督おこだから! 持ち場に戻って!
オトハ はいはーい
リオ  次どのシーンからだっけー
サヤカ あ、じゃあチェシャ猫の登場からやろうか
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