はりぼて

〜We're here at last(いやマジで)〜

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初演日:2000/3 作者:玄崎 尭
「はりぼて〜We're here at last(いやマジで)〜」
作 玄崎 尭(げんざき ぎょう)

登場人物

青木……メイン(リード)ボケ。言い出しっぺ。脚本担当。
岡野……メインツッコミ。青木の後輩。
倉島……サブ(ノリ)ボケ。青木とタメ。
荒川……ストーリーのつなぎ担当キャラ。青木とタメ。
妻沼……ストーリーと関係なく、ボケ、ネタの為のキャラ。青木とタメ。

男……ミッキー。
男2……男の相方。
(この2人は、5人のメンバーから出してもよい。)
女(声のみ出演)……誰かに声を録ってもらってください。生声だとなお可。



        B・G「エレクトリカルパレード」のOPが流れる。
        緞帳の前。スポットつく。
        Mマウスの耳付きサングラスバイザーをかけたスーツ姿の男が立っている。
        と、突然男の携帯がなる。「Mマウスマーチ」の着メロ。

  男 (携帯に出る。あの声で)やあ、僕ミッキーだよ。何だ、どうしたの?えっ?
    今度のショーはドナルド主役でいくって?(やらしく)…え?何ぃ?聞こえな〜い。
    僕には君の言っていることがわからないな〜。
    …本気なのかい?ちっ、あんなカモごときに何が出来る!
    いいかい、ディズニーランドは『僕で』もってるんだよ!
    僕じゃなきゃサンリオに勝てねえんだよ!
    …ああそうかい!君があくまでそういうことを言うのなら、僕も出るところに出るからな!
    (携帯を切り、バイザーを取る。ドス黒い声で)ちっ、ゲス共が足を引っ張りやがって……。

        再び男の携帯がなる(今度は「ゴッドファーザーのテーマ」)。

  男 (バイザーをつけ、あの声で電話に出る)やあ、僕ミッキーだよ。……何ぃ!
    ドナルドが株を買い占めた!?(冷淡に)買い戻せ。十倍の値段だ。そうだ、
    そうすれば奴も手は出せまい。構わん、それぐらいの損害はやむをえん。絶対死守しろ。もちこたえるのだ。
    くれぐれも手放すんじゃないぞ。よし、僕もそちらへ向かう!ガンバッテくれ!
    (携帯を切り、バイザーを取る。ドス黒く)くっ、ドナルドめ…!

        暗転。再びスポット。
        さっきと同様、バイザーをつけた男が立っている。
        また携帯が鳴る(Mマウスマーチ)。

  男 (さっきと同じようにしてから)やあ、僕ミッキーだよ。おや、ミニーじゃないかぁ。
    え…、今夜?ゴメン!仕事で週末まで会えそうにない。ホントにゴメン!
    …えっ?浮気?ハッハッハッ。バカだなァ。そんなことしてないよ。ホントホント。
    君だってよく知ってるだろ?僕が好きなのは君だけなんだよ。わかってくれた?うん。
    …えっ?はっ、はずかしいなぁ。わかったよ。愛してるよミニー。これでいい?うん。
    今夜は、ホントゴメン。それじゃあ週末に。うん、うん、じゃ。
    (携帯を切ってバイザーを取り、ドス黒く)フン、おもちゃ売り場ではオバちゃんに
    「ミッキーのメスください。」とか言われてるくせにこの私の奥さん気取りか。
    いい気なものだ。

  女 (袖から声のみで)ミッキー!

  男 (すぐにバイザーをつけて声を変え)ああ、今行くよ。

        間。

  男 (バイザーを取り、態度を改め)いつの時も、バカな奴はいるものだ。
    そんなアホなことをそこまでやって、一体何になるというのか。

        上手から男2が登場。

 男2 でも、そのアホさ加減が、そいつらにとっては結構大切だったりする。
    たとえそれが、ぐだぐだなものであったとしても。

 二人 そして「はりぼて」は始まる。この話は、今日より十日前の出来事である。

        スポット消え、B・G。
        緞帳が上がる。
        長机が2つ程並べてあり、そこに赤い服の男(岡野)、青い服の男(倉島)、
        黄色の服の男(荒川)、桃色の服の男(妻沼)の4人が、
        各自悩んでいるような、考え込んでいるような複雑な面持ちで、
        席に着いている。

 倉島 で、どうするんだよ。

 荒川 どうするって言われてもなぁ。うーむ。

 倉島 うーむじゃないよ!あと十日だぞ十日!

 荒川 いや、それはわかってるよ。だからこうやってみんな集まったんじゃないか。
    …っていうか、俺を責めないで欲しいなぁ。

 岡野 そうですよ。まだ来ない青木さんが悪いんですよ。

 倉島 そうだな。ったく人を集めといて自分が遅れんなよなぁ。
    本当にやる気あんのかよ、頼むぜ。

        すると、下手袖から青木の声がする。

 青木 (せっぱ詰まった感じで)おーい!

 岡野 ああ、やっと来た。

        下手から黒い服を着た男(青木)が走って登場。

 青木 (息が上がりつつ)たっ、大変だぁっ!

 岡野 えっ?どっ、どうしたんですか!

 青木 じっ、実は…。照明スタンバイ!音響さんお願いします!

        すると、「哀・戦士」が流れてくる。
        青木、事情を説明するジェスチャーをする(声は出さずに)。
        他のメンバー、驚いたり、興奮している青木を落ち着かせたりするリアクションをとる(もちろん声はなし)。
        だんだん音楽が高まってゆく。
        すると、なぜか舞台の両端にいる青木、妻沼から踊り始め、続いて荒川、倉島が踊り出し、
        やがて中央にいる岡野もダンスに加わり、
        曲の最高潮でシルエットになる。
        いきなりB・G、C・O。照明も地明かりに戻る。

 青木 …というワケなんだよ。

        全員、思いっきりすっ転ぶ(ROCKET DIVE)。

 岡野 どういうワケなんですか!?

 倉島 うん、そういうことか…。

 岡野 わかったんですか!?

 倉島 …まだ、脚本できてないんだろ。

 青木 やん、バレたん?

 岡野 バレたん?って、公演まであと十日しかないんですよ!一体どうするんですか!

 倉島 ったく、いつもいつもワケわからんやり方で人をけむに巻きやがって…。
    で、どうするんだよ。

        各々タメ息をついたり、グチったりしつつ、とりあえず全員席につく。

 荒川 で、どうすんの?脚本まだできてないんでしょ?

 岡野 どうするんですか、青木さん!

 倉島 青木!

 荒川 青木さん!

 3人 青木!

        突然立ち上がる青木。驚く一同。
        青木、おもむろにCDラジカセを机の上に置く。
        わけがわからない一同。

 岡野 青木さん?

        それに合わせて、今までずっと黙っていた妻沼も立ち上がって歩き、
        上手前まで行ってそこで止まる。
        青木、ラジカセのスイッチを入れる。
        流れてくる「EVAの次回予告」(※1)。
        それに合わせて妻沼も喋り始める。

 妻沼 上演十日前なのにもかかわらず、いまだ完成しない脚本。
    出演者達は、次第に苛立ちを募らせていく。
    窮地に立たされた青木は、何を目論むのか。
    次回、第二十三回、「青木、逃亡。」次回も、サービスサー…。

        とかなんとか妻沼が言っている間に、下手へ逃げようとする青木。
        岡野がラジカセを止める。

 3人 逃げるなぁっ!(と青木を捕まえる)

 岡野 なんだ、次回へ持ち越しか!

 倉島 そうやってお前は逃げるんか!

        と、一同、捕まってもまだ逃げようとジタバタする青木を席に戻して座らせる。
        全員席に着く。
        観念する青木。

 青木 だってさー、どうすりゃいいのさー。

 倉島 それを考えるのがお前の仕事だろうが。それとお前、テーマとかはどうするんだよ。

 青木 いや、テーマはもう浮かんでるんだ。

 岡野 そうなんですか。だったら早く教えてくださいよ。

 青木 うん。

        と、青木、書類の封筒から大きな紙を取り出して広げる。
        紙いっぱいに縦に「適当」と書いてある。

 岡野 パクリじゃないですか!

        青木、再び紙を出す。「生きろ。」

岡・倉 やっぱりパクリじゃねぇか!

        青木、また紙を出す。「じゃあ死ね。」

 4人 ミもフタもねえよ!!

 青木 ダメ?

 4人 (間髪入れず)ダメ!!

 倉島 なんだ、テーマすらできてねぇのか。

 荒川 まっ、まぁ、こういうテーマみたいなものは、話ができていけば自然と浮かび
    上がってくるもんだろうから。

 倉島 それじゃどの道脚本ができなきゃダメってことか…。

 岡野 青木さん、本当にどうするつもりなんですか?

 青木 …実は、一度やってみたかったものがあるんだけどね。

 荒川 え…、それは何?

 青木 …秘密結社。

 岡野 秘密結社すか!?

 青木 うん。

 倉島 ……で、できるのか?

 岡野 えっ?

 青木 何が?

 倉島 だから、このメンツで、その秘密結社ってのはできるのかって聞いてるんだ。

 青木 できるでしょ。よし、それじゃ一度やってみよう。

 岡野 えー…。

 青木 えーじゃない!とりあえずやってみよ。悪いけど本当に時間がないんだ。
    もうこうなったら、色々やってみるしかないよ。ね!

 岡野 …わかりました。やってみましょ!

 青木 みんなもいいね!

        他の3人もうなずく。

 青木 よし、じゃあ始めよう!

        暗転。
        その間に、長机をはけさせ、吊ってあった鳥の彫像のパネルが下りてくる。
        ちなみにこの時の配役は、
        青木……首領(影マイクで声のみ出演)
        岡野……ライダー
        倉島……大幹部
        荒川……怪人製作班班長
        妻沼……ナレーション
        である。
        岡野、倉島、荒川の3人はそれぞれの役の衣装に着替え、
        着替えた倉島が舞台中央へ行き、他ははけている。

 青木 それじゃいくよ!3、2、1!(パン!と手を叩く)

        暗い中、鳥の像の目の電球が赤く点滅し始める。
        青いシルエット。鳥の彫像のある中央付近にスポット。
        悪っぽいB・G。

 青木 (声のみ)フッハッハッハッハ。我が秘密結社日本支部の動き出す日が
    遂に来たのだ!
    大幹部ホテル将軍よ、我々の記念すべき作戦第一弾について説明するのだ。

 倉島 はっ!我々秘密結社日本支部は、まず怪人による破壊工作を行い、
    日本社会を混乱させ、その混乱に乗じて日本を乗っ取る作戦にございます。

 青木 ウム。上出来だ。
    …だが、その前にひとつ言っておくことがある。

 倉島 なんでしょうか?

 青木 実は、今回の作戦、なんとしてでも成功させねばならんのだ。

 倉島 …どうしてですか?

 青木 日本支部ができてそうそう大変なのだが、この秘密結社も不況のあおりをまともに
    くらって、合併吸収の話が持ち上がってきている。

 倉島 …本当ですか?

 青木 ああ、本当だ。

 倉島 ちなみに、どこと合併になるんですか?

 青木 それがだな…。英知出版(※2)だ。

 倉島 英知出版ですって!

 青木 ああ。それで組織名も変わって、「デラしょっかー(株)」になる。

 倉島 株公開するんだ!?…えっ、それで名前も「でらショッカー」ですか!?

 青木 違う違う。「でらショッカー」ではなく、「デラしょっかー」だ。
    「ラ」ではなく「デ」のほうにアクセント。「デラしょっかー」だ。
    そして怪人はいつも素人ばっかりで、なんかCとかDとかランクがつくらしい。
    それだけじゃないぞ、必殺技は常に「四十八手」だ!!

 倉島 最悪だ…。

 青木 そうだ。だからなんとしてでも成功させねばならん。もし失敗してみろ、
    ホテル将軍よ、失敗の責任は全て貴様にとってもらうぞ。

 倉島 えっ、左遷ですか。それとも解雇?

 青木 …いや、ナマコを素手でねじ切ってもらう。

 倉島 …、いやだーーっ!!

 青木 しかもとれたてだ!

 倉島 ますますいやだ!そ、そんなの首領がやればいいじゃないですか!

 青木 えっ、あっ、いや…、わ、ワシは、ダメだ…。だって、ワシ、ワシ……、
    危険日なんだもん!

 倉島 危険日なんですか!?

 青木 ええい、と、とにかく、なんとしてでも作戦を遂行させるのだ!
    では、今回の作戦に使う怪人をここに連れて参れ!


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