エア抑止
『エア抑止』

推奨キャスト数:6-7名

登場人物:
・コールマン(男)─大陸の弱小国、セイボリー王国の宰相。物語のナレーターも務める。
・ウィルフレッド6世(男)─セイボリー王国の国王。
・アルノー(男)─大陸の大国、シュクレ帝国の宰相。
・ヴァレーゼ(女)─大陸の大国、ピッカンテ帝国の宰相。
・ヒルシュベルガー(女)─大陸の新興国、ザルツィッヒ共和国の大統領。
・シルベストレ─大陸の弱小国、アシド共和国の軍人。エッダとの兼役可能。
・エッダ(女)─ヒルシュベルガーの部下。シルベストレとの兼役可能。


○セイボリー王城・執務室

   セイボリー王城にあるウィルフレッドの執務室。
   舞台中央にテーブルと2脚の椅子がある。
   ウィルフレッド、コールマン、それぞれ椅子に座っている。
   舞台中央前方に武器を持ったシルベストレが立っている。
 
シルベストレ「同胞よ、立ち上がれ!今こそ大陸に真の平和をもたらす時!」

   スポットライト点灯、舞台中央前方のシルベストレを照らす。
   武器の音と兵士たちの雄叫びが響く。シルベストレ、音に合わせて武器を振るう。

コールマン「シュクレ暦1682年、弱小国アシドの軍人・シルベストレが突如クーデターを断行し、政権を掌握。旧宗主国シュクレ帝国への宣戦布告を行った。」
シルベストレ「既得権益にしがみつく腐った2大帝国を排除し、自由を勝ち取るのだ!」

   兵士たちの雄叫び。シルベストレ、後退しスポットライトの範囲外に出る。

コールマン「瞬く間に戦火は広がり、大陸全土を巻き込む事態へと発展した。」

   アルノー、ヴァレーゼ、入場しスポットライトの範囲内に立つ。

ヴァレーゼ「どどど、どうしましょうアルノーさん!このままでは我々の、我々の既得権益がああ!」
アルノー「まあ落ち着きなよ、ヴァレーゼ君。いくらクーデターが起きたとはいえ、しょせん相手はアシドだろう?我々の強大な軍事力を前に敵うはずもないさ。」
ヴァレーゼ「ででで、でもっ、まもなく最終防衛線が突破されるとの情報がああ!」
アルノー「…え、嘘だろ。」
ヴァレーゼ「どどど、どうしますか!?」
アルノー「あー…どうしようか。」
ヴァレーゼ「やっぱりノープランなんじゃないですかああもおお!」
   
   シルベストレ、前進しスポットライトの範囲内に立つ。

シルベストレ「突き進め、同胞たちよ!平和に慣れ切った帝国など恐るるに足らず!」
アルノー「うわあああ!」
ヴァレーゼ「出たあああ!」
コールマン「突然の戦に防衛もままならず、次々と陥落していく各国。善戦していた2大帝国も限界に達し、大陸全土がシルベストレの手に落ちようとした、その時──」
ヒルシュベルガー(声)「全軍、構え!」
アルノー、ヴァレーゼ「えっ?」

   ヒルシュベルガー、入場しアルノーとヴァレーゼの間に立つ。

ヒルシュベルガー「撃ち方始め!」

   砲撃の轟音と強いフラッシュ。

シルベストレ「ぐわあああ!」

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