やがて仄かのアリステラ(女性版)
やがて仄かのアリステラ(0:2版)

左藤ほのか(さとうほのか):高校二年生。18歳。
佐藤アカリ(さとうあかり):高校二年生。17歳。

あらすじ。
高校二年生、秋。教室に入る事が出来なくなった。
不登校生徒への措置として特別な保健室登校を教師に促された私は、初めてそこに先客が居るのを知った。
左藤ほのか。揺らげば消えてしまいそうな程、儚げな彼女を。

●十一月。保健室。教員不在。アカリはスマホを見ている。ほのかは勉強中。
 アカリは保健室二日目。ほのかにある質問を投げかけ、ほのかのセリフから劇スタート。

ほのか 人を殺したの。
アカリ へ?
ほのか ……なんでもない。忘れて。
アカリ えっと……ねぇ、私の質問ちゃんと聞いてた?
ほのか さぁ。なんだっけ?
アカリ 同じクラスの左藤ほのかさんは~なんでここに……なんで、保健室に登校してるんですか~?って。
ほのか ……ごめんなさい、聞き間違えたみたい。
アカリ え、なにと?
ほのか 進級出来るから。授業に出なくてもテストの点数さえ良ければ進級出来るから。だから。
アカリ へぇ、うちの学校ってそんな緩いんだぁ……私もそうしよっかなぁ。
ほのか 条件付きだけどね。教科ごとに提示された点数を下回ったら、提出物が一つでも足りなかったら即留年。
アカリ うえ……それじゃ普通に授業出る方が楽そう。
ほのか どうでしょうね。あなたにとってはそっちの方が楽なんじゃない?
アカリ ふぅん……あ、じゃあさ。何でほのかは保健室登校してるの?
ほのか ……あなたさぁ、バカなの?
アカリ は?
ほのか さっき言った以上の理由、話す必要ある?
アカリ ……そんな怒らなくてもいいじゃん。
ほのか じゃあなんであなたは昨日から此処に来てるの?そのヘラヘラした顔で言える?
アカリ ……。
ほのか ほら。
アカリ ~~、……ごめん。
ほのか (小さく溜息)あと名前で呼ぶのも辞めて。左藤でいいから……馴れ馴れしいのは嫌い。
アカリ ……それはさぁ、だって
ほのか なに。
アカリ ……何でもないです。
ほのか (勉強の続きを始める)
アカリ ねぇ。……ねぇってば。
ほのか ……。
アカリ ほのか。
ほのか (舌打ち)なに。
アカリ こわ……ねぇ、ご飯どこで食べてるの?
ほのか はぁ?
アカリ 居なかったから、昨日。……昼休み。
ほのか ……お昼は結構人が来るから、ベッドで寝てるか違う場所で食べてる。
アカリ へぇ……どこ?
ほのか ……言う必要ある?
アカリ まぁ……。……一学期からずっと?
ほのか ……。
アカリ あ。私もね、気になってはいたんだよね。二年の登校初日から前の席のクラスメイトずっと来てないなぁって。
    誰もその子の事知らないって言うし、どんな子なんだろうっ~て。左藤ほのかさん。
ほのか ねぇ(小さく呼びかける)
アカリ いや、でもずっと保健室にいたなら気付かないよねぇ~、私怪我とかしないからここ来たのなんて昨日が初めてで
ほのか ねぇ!
アカリ ……なに。
ほのか あのさぁ、そんなに喋りたいなら教室戻ったら?
    お仲間がたくさん居るわよ。どうでもいい話をしたり、詮索するの好きなバカが。
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