色は匂えど、
色は匂えど、
    
  
   樹(いつき) 1年
   朔(さく) 1年
   梢(こずえ) 3年
   陽(はる) 2年
  
   女性
   桜  ※人数は自由
    
    
    
    参考・引用
    坂口安吾 『暗い青春』『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』
    梶井基次郎 『桜の樹の下には』
    
    
    
    
    
    風と鈴の音。中央に樹。
    
    樹  美しさは、暴力だ。
    
    桜の笑い声
    
    樹  美しさは僕を狂わせる。美は理性を狂わせる。僕を悩殺する。本当なんだよ。
    あの日…。もともと僕は大量の桜のせいでおかしくなってしまったのかもしれない、ふらふらと吸い寄せられた一面の桜の中に一本だけ紅く咲く山桜を見つけた。
    神様、そう呟きながら、その美しさの永遠を望んでしまったんだ。
    その瞬間、
    
    桜が舞いながら周りを囲む
    
    桜   知ってる?
    知らない。
    桜の咲く並木道の下に来ると、人間は突然。
    轟々と風が鳴っているような気になって。
    自分の姿と足音ばかりが響いて、
    動かない風に包まれて。
    花びらがぽそぽそ散るように魂が散って、
    命を風に攫われて。
    命がだんだん衰えていくようで、
    目を瞑って叫んで逃げたくなる。
    おかしいね。
    をかしいね。
    おかしくなってしまうね。
    あ、鬼だ。
    鬼さんこちら!
    鈴の鳴る方へ!
    呼んだら捕まっちゃうね。
    捕まったら匂いが移る。
    匂いが移ったら鬼になってしまう。
    つまずいて転んでほころんで、
    匂いが消えるギリギリまで
    きりきり舞いをして、
    その場で草臥れて、
    ソメイヨシノじゃなくなっちゃう。
    考えたらお腹がキリキリ痛いね。
    怖いね。
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