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「急患」

　急患

　田中ひとみ
　医者
　後藤（ゾンビ）

医者　それでは風邪薬を出しておきますね。一日三回、食後に飲んでください。
田中　あの
医者　どうしました？他にも調子の悪いところがあるんですか？
田中　私の話を聞いていたんですか？
医者　え？あぁ、はい。熱っぽい、体がだるい、なんとなくボーっとする、でしたよね？
田中　はい、その通りです。
医者　でしたら、風邪薬で十分だと思います。安心してください。
田中　あの、ちゃんと説明しましたよね？
医者　え？どういう事ですか？

　　　田中、ゾンビの噛まれたあとを医者に見せる。

田中　私、ゾンビに噛まれたんですよ！？
医者　はい。（笑顔）
田中　私、ゾンビに噛まれたんですよ！？
医者　申し訳ありませんが、ゾンビは専門外でして
田中　そうだとしても風邪薬ってどうなんですか
医者　基本的には症状的が、ほぼ一緒だったので
田中　判断が雑すぎませんか！？
医者　えっと、田中さん。先ほども申しましたが、ゾンビは専門外でして。まぁ、世の何は変な
　　　病気が多く存在し、それを専門に扱っている医者もいますが、しかし、それでもゾンビっ
　　　て（ごにょごにょ）・・・
田中　信じてないんですか？（睨む）
医者　だって、そんなのバカバカし

　　　田中、睨む。

医者　で、でしたら、もう一度、そのゾンビ？に噛まれた状況を説明していただけますか？
田中　わかりました。昨日の夜、青葉通りのあたりを歩いていたんです。そしたら、急に物陰か
　　　ら襲われたんです。私、必死にバックでどうにか応戦しました。もう、必死でした。で
　　　も、その時に・・・ガブッと。
医者　はぁ、昨日の夜に噛まれたんですよね？
田中　はい。
医者　本当にゾンビだったんですか？
田中　え、どういう事ですか？
医者　ただの変態に襲われたとか
田中　いえ、あれは間違いなくゾンビでした！ビジュアル的にも
医者　あ！
田中　な、なんですか！？何か心あたりがあるんですか！？
医者　もしかしたら、妖怪のせいかもしれません！！！
田中　先生、ふざけないでもらえますか？
医者　あ、すみません。
田中　先生、これだけ言っても信じてもらえないんですか？
医者　ま、まぁ。それに仮にもゾンビに噛まれたのなら、すぐゾンビになるものじゃないです
　　　か？昨日の夜、少なくとも、もう６時間は経過しています。今、ゾンビになっていないの
　　　なら、あなたはゾンビに噛まれても大丈夫な体質か、そもそもゾンビに噛まれてないん
　　　じゃないんですか？
田中　いえ、あれはゾンビです
医者　いや、ゾンビに噛まれたら数十分もしないうちにゾンビになるものです！
田中　なんですか急に自信満々になって！何か根拠でもあるんですか？
医者　もちろんです。いやぁ、すっかり忘れていました。
田中　本当ですか！何を思い出したんですか？
医者　まぁ、今となっては古典のようなもので、年々技術が進歩しているので確実性には欠けて
　　　しまう気がしますが・・・

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