みんな猫だと思ってた。
タイトル「みんな猫だと思ってた。」
作・うゐ春菜

■あらすじ
舞台はある予備校、7人の受験生たちの英語のクラス。文理系・公私立の垣根を超え、彼らには、受験を控えた憂鬱な気分もあるが、学校より気楽に過ごせる空気もある。しかし、それぞれの悩みや弱さが、少しずつ表層化していく。そんな中、『シュレディンガーの猫』という噂が流れる。『箱』の中の『猫』たちの生死が観測された瞬間に決まる、その実験になぞらえた残酷な『運命』とは・・・・・・


■メッセージ
『運命を変える力なんてないから』、その言葉の持つすべての余韻を贈ります。

■登場人物
サヨ・・・・・女子。志望校は国立A大 生物学部。高校には通っていない。
セナ・・・・・女子。志望校は国立A大 経済学部。有名な進学校に通っている。
ゴロー・・・・男子。志望校は国立A大 法学部。エイトとユキの高校の卒業生。
エイト・・・・男子。志望校は私立B大 薬学部。ユキと同じ高校で同じクラス。
ユキ・・・・・女子。志望校は私立C大 建築学部。エイトと同じ高校で同じクラス。
アオイ・・・・男子。志望校は私立C大 建築学部。クルミの妹と同じ高校。
クルミ・・・・女子。志望校は私立C大 教育学部。7人の中で最も偏差値の低い高校に通っている。



■本編■

Scene 0 『運命を変えよう』

舞台は、夜空に包まれたどこか。
誰が発話しているのか、よく見えない方が良い。

サヨ   「一度だけ運命を変えられるとしたら、あなたはいつ使う?」
クルミ   「どうしよう」
エイト   「今は別にいいかな」
セナ   「じゃあ、とっておく?」
サヨ   「明日死ぬとしても?」
アオイ   「明日死ぬの?」
サヨ   「わからないけど」
ゴロー   「確率はゼロじゃない」
クルミ   「せっかくだし、早く使っちゃうのもいい」
アオイ   「そのきっかけを境目に、人生が思いっ切り変わるかも」
エイト   「夢があるね」
セナ   「変えたい?」
エイト   「え?」
セナ   「人生、変えたい?」
アオイ   「自分じゃない誰かになりたいと思ったり」
サヨ   「こんな人生、誰か代わってくれって思ったり」
ゴロー   「でも、ほんとにいいの?」
クルミ   「迷っちゃうよね」
セナ   「だって、私の結末は、まだ誰も知らないから」
サヨ   「あーあ、変えればよかったのに」
ユキ   「あーあ、変えなきゃよかったのに」
ゴロー   「後悔したくないし」
セナ   「後悔ね」
アオイ   「後悔っていつするの?」
セナ   「あと」
エイト   「後から悔やむ」
アオイ   「なんのあと?」
セナ   「んー」
エイト   「人による」
クルミ   「わ、ずるいなそれ」
セナ   「だめ?」
エイト   「あ、わかった」
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