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ランナー

　　吉本（よしもと）
　　中川（なかがわ）
　　平山（ひらやま）

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　　暗転中の舞台。
　　どこからともなく足音と荒い息づかいが聞こえ始める。
　　照明、舞台端の平山を照らす。
　　平山、正面に向かって必至に走っている。
　　呼吸や動作から疲れが見えるものの、目だけはまっすぐ正面を見据えている。
　　何かを目指し、ひたすらに走る平山。
　　疲労はピークに達し、身体の動きはバラバラになる。
　　歯を食いしばり必至に走り続けようとするが、そこでバランスを崩す。
　　転ぶことは免れるが、見るからに勢いを失い、ふらふらと歩を進めるだけの平山。
　　その顔には悔しさや絶望といった表情。
　　暗転。

吉本　　（声）ピンポーン。

　　明転。
　　舞台中央にこたつ机がひとつあるのみ。
　　吉本、こたつ机から１メートル程離れた場所でドアベルを押すマイム。

吉本　　ピンポーン。ピンポンピンポーン。

　　吉本、何度も押す。
　　吉本の後ろ、上手から中川登場。

中川　　…何やってんの吉本。
吉本　　ドアベルを鳴らしてるのさ中川。
中川　　……。
吉本　　ピンポーン。

　　中川、吉本の横を普通に通り抜けて机につく。

吉本　　あ、今扉無視したでしょ。
中川　　え？
吉本　　扉！
中川　　扉？
吉本　　俺は今ドアベルをならしてるんだよ？
中川　　ならしてないけど。
吉本　　鳴らしてるの！
中川　　鳴らしてるんだ。
吉本　　ドアベルの隣にあるでしょ。
中川　　え？
吉本　　あるよ
中川　　何が？
吉本　　扉！
中川　　あぁ、うん。
吉本　　ね。
中川　　ドアベルの横には、扉が、ある。
吉本　　うん。
中川　　うん。
吉本　　…え？
中川　　え？
吉本　　わかってない！

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