そしてエヴァーは永遠に

そしてエヴァーは永遠に。



伊藤冬子(いとうとうこ):作家。19歳。小説家。
佐藤夢加(さとうゆめか):役者。20歳。大学生。


●以下モノローグ

冬子 夢を見た。汗ばむぐらい暖かくて、とろけるくらい曖昧で、
   すぐなくなってしまうくらいに柔らかい。それは、あの日に思い描いていた夢だった。
   夢の中で私は大袈裟なぐらい笑っていて、手を繋いでいて、
   だから、私は物書きの癖に捻りもせずそんな言葉を口にしてしまうのだ。
   『幸せだね』
   馬鹿だな。と笑ってしまう。なんて身勝手で、だけど本当に幸せそうで笑ってしまう。
   そして、笑いながら思ってしまう。ありえないとわかっているのに思ってしまう。

   いつか、私にもこんな日が来るのだろうか。

   そんな事を、今もあの日から終わらない冬の中で、私はーーーー

●夢加の部屋。標準的ワンルーム。座卓。舞台の千秋楽が終わり打ち上げで。
 酔ってぐったりしてる冬子を夢加が肩を貸しながら連れ帰ってくる。
●冬子→胃が空っぽの状態で酒を初めて飲み悪酔い。度数高め2杯ぐらい。
 打ち上げのかなり序盤の方で気分が悪くなり店を連れ出される。
 水をたくさん飲まされ少し吐いている。
 冒頭では胸焼けと眠気が残ってる状態。徐々に意識がはっきりしていく。

●扉が開く音。電気が付く。手を引きながらリビングへ

夢加 ほら。伊藤さん?大丈夫?靴脱いで。は~や~く。
冬子 ん~……
夢加 歩いて、ほら。着いたよ?あ、ちょっと、しっかりしてよ~!気持ち悪い?……はい、座って。
   ほら、子供じゃないんだから……いや、まだ子供……?あ、もう……こ~ら。
冬子 ん~……(ぐったりと)
夢加 あ~、もう、なんでこんな事に……大丈夫?また吐きそう?(背中を撫でながら)
冬子 ……水
夢加 ん?
冬子 お水、欲しい。
夢加 はぁ……ちょっと待ってね。

●夢加が水を汲みにキッチンへ。一緒にココアを煎れる為の準備もする。

冬子 …………
夢加 ほら、水。飲める?
冬子 ん……(水を飲む)
夢加 はぁ……
冬子 …………(ボーッとしている)
夢加 大丈夫?
冬子 (うなずく)……
夢加 ……ねぇ、伊藤さん。確かに舞台の打ち上げに誘ったのは私達だったけどさ。
   ほら、千秋楽だし、脚本頼んだのも私だし?みんなも是非って言ってたし……
冬子 うん。
夢加 でもあなたまだ未成年じゃない。どうしてお酒なんか頼んだの?あんな度数高いの飲んだらそうなるよ。
冬子 …………
夢加 ねえ、聞いてる?伊藤さん?
冬子 ……苗字で呼ばないで。
夢加 …………
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