一人芝居の為のカルテット
〜スマホの向こう側〜
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一人芝居の為のカルテット
〜スマホの向こう側〜

登場人物 ヨヨ/四谷 代々(よつや よよ/17歳 女)

舞台、スマホを片手にヨヨが立っている。
周りには、4つのイス。それぞれ、
ジャージのはおり、制服のカバン、ぬいぐるみ、そしてカチューシャを置いている。
それぞれが、おうちのヨヨ、学校のヨヨ、ネットアイドルのヨヨ、恋人のヨヨを、それぞれ表している。

ヨヨ、周りを見渡している。

ヨヨ「・・・(ため息)。さて、今日も頑張らないと。この小さな部屋の中、大きな世界が今日も始まるのだ。」

ヨヨの携帯に着信が入ってくる。

ヨヨ「あー、(電話にでる。ジャージを羽織ってイスに座る)あ、お母さん。うん。わかってる。・・・うん。もういいって。今日も休む。ってか、もうほっといてってば。・・・うん。わかった。ドアのとこ置いといて。後で取りに行くから。・・・入ってこないでよ。ノックもやめて。・・・もう会いたくない。そっちで勝手にやっといて。・・・もしこっち来させたら殺すから。(電話を切る。ジャージを置いてイスから立つ)。」

ヨヨ「あー、もう、ほんとに朝から最悪。・・・今何時?まだちょっと時間あるか。・・・(ため息)休憩。あいつ、また来てんのか。もう父親でもなんでもないって。」

ヨヨの携帯に着信が入ってくる。

ヨヨ「(携帯を確認する)・・・(ため息)でるか。(携帯に出る。制服鞄を持って座る)はいはい。かなみ?うん。・・・そう、今日も休み。ん?何でもないよ。ちょっと体調悪いだけ。・・・うん。ありがとう。心配しなくても大丈夫。うん。病院とかは・・・うん、わかった。どうしてもしんどかったらそうする。・・・あー、そうだね。テスト。もしよかったら、今度ノート貸して。・・・助かるー!流石持つべきものは友だ!・・・あー、うん。それね。聞いた。・・・確認してない。する勇気ない。・・・まじでか。それは・・・嫌だな。・・・うん。ありがとう。わかった。ありがとう。(電話を切る。鞄を置いて立つ)」

ヨヨ、大きなため息。時間を確認する。

ヨヨ「・・・聞きたくなかった。あいつ、ちょっと休んでる間に何やってんの。(時間を確認する)そろそろ時間か。配信しなきゃな。気合い入れるか。」

ヨヨ、ぬいぐるみを抱えて、椅子に座る。

ヨヨ「(電話をつなぐ、設定確認する。)お、結構集まってる。平日朝なのに、なんかすごいなあ。じゃあ、ヨヨネッタやりますか。」

ヨヨ、配信をおす。 

ヨヨ「あ、あー、あー。はーい、小さな部屋から大きな世界にこんにちわ。ヨヨネッタだよー!皆ー、ちゃんといい子して待っててくれたかなー?はーい、ぱちぱちぱち。今日も今日とて、元気に配信していきますので、短い間ではございますが、声ネット、最後までどうぞよろしくお願いします!」

ヨヨ、拍手をして盛り上げる。

ヨヨ「さて、最初のメッセージは、兵庫県にお住いの、ヨヨネッタ大好きさん、ありがとー♪ヨヨさんは普段、どんな服を着てすごしてるんですか?んー、ヨヨはねー。妖精さんだからー、葉っぱとか?っていうのは嘘だけどー、ヨヨは、あくしーずふぁむっていうブランドの服が好きかなー。逆にジャージとかは全然着ないなー。ふわふわの服が好きなんだー。さあ、皆の中にいるヨヨネッタちゃんは、どんな服かなあ。可愛い想定でおねがいしますねー。」

ヨヨ、一息入れる。

ヨヨ「続きまして、次のメッセージは・・・、近くに、「こねこねっとパン」っていうパンやはありますか?ひまわり高校もありませんか?・・・・・・・えーっと、何だろう。そういうお店とか高校があるのかな。あはは、ヨヨネッタはわかんないなあ。今度調べてみるねー、あ、じゃあ、ちょっとリアルで妖精さんが呼んでるので、ちょっと短いけど、今日はここまで。皆聞いてくれてありがよよー。じゃあ、また来週!」

ヨヨ、電話を切る。ぬいぐるみを置いて立つ。

ヨヨ「・・・やばくない?私、ばれてる?こねこねっとパンとか行きつけだし、そもそもひま高だし、私・・・。え、やばくない。配信、アカウント消去した方がいいのかな・・・電話の向こう、誰がいるんだろう。」

ヨヨ、着信に気づく。ため息をついてでる。ジャージのイスに座る。

ヨヨ「あのさ、もう置いといてっていったでしょ。・・・いい!会わないってば!」

ヨヨ、電話を切る。

ヨヨ「はあ・・・なんでこんなに世界は大変なんだろ。・・・あれも、電話しなきゃな。多分、まだ授業始まってないだろうし。」

ヨヨ、電話をする。カチューシャをつけて、座る。

ヨヨ「あ、まーくん。今大丈夫?うん、わかった。わかってる。すぐ済むから。・・・うん。休み。あんまし体調よくなくて・・・でさ、ちょっと友達から聞いたんだけど、昨日さ、まーくん、中野プラザいた?・・・うん。その時さ、誰かと一緒に行った?あ、うん、そっか。妹さんだったんだ。ううん。・・・ううん。そんなことない。ちょっと気になっただけ。・・・ごめん。・・・うん。わかってる。ちゃんと好きだから。うん。・・・じゃあ、頑張って。」
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