白昼にレールを
『白昼にレールを』

登場人物

A 坂東 丈(ばんどう じょう)  ジョー
B 神崎 寧々(かんざき ねね)  ねね
C 矢実 陸(やざね りく)    りっちゃん
D 漆間 和沙(うるしま かずさ) ウル
E 津島 柊花(つしま しゅうか) シューカ
F 金田 夏芽(かねだ なつめ)  なっち
G 宮澤 健彦(みやざわ たけひこ)ヒコ
声 


   [照]明転
   舞台上は一見ぐちゃぐちゃな感じ。大道具(椅子でも、机でも、箱でも)がとにかく足の踏み場もなく、ひっくり返ったり積み重なったりしている。そこに、小道具が要るもの要らないもの様々散らばっている。がらくた置き場のよう。
   A、D、Eが思い思いの場所に座っている。

D   「子どもが水に落ちたんですよ。」
E   「もう駄目です。落ちてから四十五分経ちましたから。」
A   「残念だ。」
D   「本当に死んじゃったのかな?」
E   「死んじゃったと思う?」
D   「君はどう思う?」
E   「私は、死んじゃったと思うな。」
A   「だけど、ザネリは乗ってこなかったよ。」
D   「銀河鉄道に?」
A   「うん。」
E   「あれは死んだ人が乗るの?」
A   「カムパネルラは死んだよ。」
D   「かおる子とタダシと、それから家庭教師も死んだね。」
E   「船が沈んだんだよ。」
D   「エンダァァァァァ……」
A   「(遮って)カムパネルラは確かに死んだ。」

   F、入ってきて適当なところに座る。寝てもいい。

E   「(Fに)ねえ、カムパネルラは死んじゃったと思う?」
F   「知らないよ。死んだんじゃない。」
E   「そう。」

   間。

F   「Kは死んだよ。」
D   「先生は?先生は死んだと思う?」
F   「死んだ。」
D   「どうして。」
F   「さあ。」
E   「お前が殺したんだろう。」
F   「私が殺したんじゃないよ。勝手に死んだんだ。」
A   「とにかく、死んだんじゃないか。」
F   「そうだね。」

   B、C、入ってきて教科書を広げる。

A   「ねえ、カムパネルラは死んだの?」
C   「それは天の川だ。天の川は銀河だ。」
B   「銀河ってのはたくさんの星だ。」
C   「これは白鳥。こっちは赤い蠍の火。」
B   「ここは真っ黒、底なしの石炭袋だ。」
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