フィンランド

フィンランド

登場人物

臼井詩音(うすいしおん):高校一年生。帰宅部。後輩。
伊藤冬子(いとうとうこ):高校三年生。文芸部 先輩。

【●詩音の感情的なシーンが後半、非常に多いです。
  必ずしも台本に忠実である必要はありません。
  泣きのタイミング、表現は各々自由にお願いします】

●詩音にスポット。自己紹介からはじまる。セリフ終わり徐々にフェードアウト。

詩音 はい!自己紹介します!今年から写真部に入部することになりました2年2組、臼井詩音です!
   名前で呼ばれるのはしっくりこなくて苦手なので臼井さんって呼んでもらえると嬉しいです!えっと……
   クリスマスにカメラをもらって、思い切って写真を始めて見ることにしました!
   1年遅れての入部になりますが仲良くしてください!……え!え?あ、去年の二学期!?あ~~、その話はちょっと。
   え!?……あ~!わかりました。わかりました!わかりましたけど言いません!!
   代わりに『しぃ(一人称)』が今から面白いこと言うのでそれでみんな笑ったら勘弁してください!
   い、行きますよ~~~!!

●1人部屋キッチン有り(風呂は共有)(簡易礼拝堂のような内装)
 ベッドは1台、冬子が執筆用に使う作業用のデスク。小さな本棚はあるが収まり切らないほどの本がある。
 (宗教関連の書籍、教科書、冬子の自著(同人誌、部活で発行した季刊誌などなど))
 テレビはない。学校指定の鞄が二つある(冬子と詩音の分)

●冬子がココアを作っている。
●詩音はぼんやりと小さな机の前で座り込んでいる。

冬子 ねぇ子羊さん。……子羊さん?
詩音 ……えっ?私ですか?
冬子 そう。貴女を呼んだの。ココアは飲める?子羊さん。
詩音 あ、飲めます……あの、羊って……?
冬子 ほら。あなた、教会に飛び込んできたでしょう?こんな所、夜更けに迷い込むのは子羊と決まっているもの。
   わんわん泣いて迷い込んでくる子羊は……ふふ、初めてだったけど。
詩音 す、すいません。私、なにも考えてなくて……ご迷惑をおかけして。
冬子 いいの。私、教会の戸締り忘れてたから。
   子羊さんの泣き声に気付かなかったら明日には吊し上げられていたかも。
詩音 ……臼井。
冬子 ?
詩音 私の名前。臼井詩音です。……高校1年生。
冬子 そう。臼井詩音さん。綺麗な名前ね。

●ココアを2つ持ってくる。

冬子 どうぞ。
詩音 ありがとうございます。……(温かいココアを飲む)
冬子 ねぇ、詩音さん。あ、詩音さんって、呼んでいい?
詩音 あの……ごめんなさい。名前で呼ばれるの、苦手で。
冬子 そう。なら臼井さん。……私の事は知っている?
詩音 ……知ってます。伊藤先輩、学校じゃ有名だから。
冬子 そうなんだ。どんな風に?
詩音 秋にすごい賞を取って、小説家デビューした3年生の先輩がいる。って……
冬子 それから?
詩音 ……執筆を理由に授業を殆どサボっていて、成績も良くないし、不良だって。
   友達がいなくて、気難しくて、人に冷たくて、あと……
冬子 親が怪しい新興宗教の教祖様。……とか?
詩音 はい。
冬子 正直ね。まぁ半分当たり、半分ハズレかしら。
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