誰かのためにと彼女は言った。
誰かのためにと彼女は言った。

アリス…高校3年生。演劇部。最後の大会で念願の主演に抜擢されるが稽古中
    に急性骨髄性白血病を発症。感情的で浮き沈みが激しい。
ありと…典型的なB型男子と言われがちな陽気さとマイペースさ。しかし、
    現実にはALSの末期患者で寝たきり。
医者……いいおじさん。フランクな中に重厚な完成度を醸し出す。切れ者。
看護師…いい人。察しが悪い。車椅子を押す姿に憧れて看護師を目指した。
部員……アリスとのラブを醸し出すが、そこは全く本筋ではないので、最初と
    最後しか出てこない。素直じゃない奴。


1場 『発症』

  舞台の練習中。アリスがセリフを喋っているが少し身が入らない感じ。
  体がだるく、息苦しそう。時々セリフを噛む。


アリス「なんかセリフ」

  アリス息遣いが荒くなり、めまいでその場に崩れる。

部員 「アリス!?大丈夫か?アリス!」
アリス「大丈夫大丈夫。ちょっとめまいが…」
部員 「すごい熱じゃないか。病院行った方がいいんじゃないか?」
アリス「大したことないよ…そんなことより稽古をしなくちゃ…」

  アリス立ち上がろうとして、そのまま倒れる。(全暗)

部員 「アリス!!救急車!誰か救急車を呼んでくれ!」

  部員と他の人もアリスを呼び続ける。
  その間にアリスはパジャマに着替え、部員とアリスは位置につく。
  周りの声が小さくなる。アリスの声に変わる。
2場 『病院』

  病院の談話室。アリス、部員の真似を大げさにして部員を辱めている。
  部員、頭を抱えて恥ずかしそうにしている。
  下手から看護師に連れられて車椅子でありとがやってくる。ありとは表情も含めて
  ほとんど動かない。多分窓辺らへんで看護師が声をかけて去る。
  ありと、外をぼーっと眺めている。

アリス 「先生!アリスは、アリスは助かるんですか!?(とかなんとか)」
部員 「わかったから、もうやめてくれ」
アリス「必死すぎじゃない?まじウケる」
部員「誰のために必死になったと思ってるんだよ」
アリス「え〜、そんなにアリスちゃんのことが心配だったのかにゃ〜?」
部員「べ、別に、アリスがっとか、アリスじゃないとか、そーゆー話をしてるんじゃなくて、しゅ、しゅ、主演女優が倒れたら、み、みんな困るし、そ、そう!みんな心配してるんだ!」
アリス「そうだよね。稽古出られなくて、みんなに迷惑かけちゃうね。こんなんじゃ主演失格だよね」
部員「そんなことない!俺たちのことは気にしないでしっかり休めよ。アリスの出ないシーンをきっちり練習しとくからさ。来週には退院できるんだろ?」
アリス「うん。熱も落ち着いてきたし、明日はなんかちゃんとした検査をするらしいけど、それで何もなければ週明けには部活に顔出せるんじゃないかな。」
部員 「よかった。だいたい主演だとか言って気を張りすぎなんだよ。いつものアリスみたいにもっとテキトーっつーか、楽にっつーか…」
アリス「あれー?そんなにアリスちゃんのこといつも見てるのかにゃ〜?」
部員「…病人だからってあんま調子乗んなよ」
アリス「はーい、ごめんなさぁい」
部員「はあ、まあ、安心したよ」

  医者、やってくる

医者「やあ、アリスくん」
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