marble night
できそこないたちのモノローグ
■タイトル
「marble night 〜できそこないたちのモノローグ〜」 作:つむぎ日向


■あらすじ
 クリスマスの夜。
 来るはずのバスが来ないバス停。
 バスを待つ二人は、とあることから互いの「今」を話始める。
 この出会いは運命か、それともただの偶然か。
 何も変わらない。でも大事な夜が始まった……。


■登場人物

 ・A : 女。OL。二十代。スーツ姿+コートなど。会社帰り。
 ・B : 女。二十代。フリーター。私服・冬服。バイトに向かう途中。

 (以下、兼ね役可。性別変更可。)

 ・C : 男。大きなバッグを持って、バスを待っている。

 ・D : 女。Aの会社の先輩。
 ・E : 男。Aの会社の上司。

 ・F : 男。Bのバイト先(ガソリンスタンド)の店長。
 ・G : 女。Bのバイト先の客。





※注釈
 ・(カッコ内)がト書きです。
 ・それ以外の部分はモノローグとして、書き出しに記された人物(AまたはB)が読みます。
 ・「カギカッコ内」は台詞として、役が実際に口に出している言葉です。






■プロローグ

  (開幕。)
  (中央に明かり。Aが話始める。)



 突然ですがこの中に、「この一週間、精一杯頑張った」と胸を張って言える人はいますか?あるいは、「すてきで楽しい一週間だった」と思える人は?
 もしそう思える人がいるなら、それはとても凄くて、とても良いことだと思います。
 残念ながらわたしは、毎日を流れるように消費し、楽しいことも、満足感もないままに過ごしていました。
 この日もそう……。

 ある年のクリスマス。
 わたしはいつものように仕事を終えて、電車に乗り、家に帰る為のバスを待っていました。街灯の明かり以外は真っ暗で、昨日よりもさらに冷え込む夜。
 あの日、一本前のバスに乗れていれば、わたしは何か変わっていたのかもしれません。あるいは、何も変わらない日々が続いていたのかも。でもわたしは、なかなか来ないバスを待っていたんです。それを運命という言葉に言い換えることもできるでしょうが、きっとただの偶然。

 あ、勘違いされる前に先に言っておきます。今から話すことには、物語のような面白さは微塵もありません。サンタクロース見習いが他の世界に行ったり、弁護士とアイドルが元恋人だったり、古い映画を二人で観たり、ましてや誰もタイムスリップなんてして来ません。
 それでも、わたしにとっては大事な夜になりました。だからきっと、あなたにとっても……。

1/22

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム