屋上革命

(おくじょうかくめい)
初演日:0/0 作者:修練
「屋上革命」
作:修練


【登場人物】

海原 七緒(うなばら なお)
    高校3年生。廃部になった元写真部。

羽藤 六助(はどう ろくすけ)
    22歳。学校清掃員のアルバイトをしている。よく屋上でサボっている。

【舞台設定】
学校の屋上。舞台後ろには作がある。台のようなものが一つ。基本的にここからの移動はない。六助は最初の登場時、少なくとも2本、棒状の用具を持って出てくる。



中央に、七緒と六助。六助は上手、七緒は下手側を向いている。二人とも、最初は幼い感じだが、徐々に年齢が上がっていく

七緒   ねぇおかあさん!この写真、とってもうまく撮れたんだ!
六助   なあ親父、俺やっぱりミュージシャンになりたい!東京でギター弾いて、ビッグになるんだ!
七緒   ねぇお母さん、夕陽ってなんであんなにきれいなんだろうね。
六助   あのバンドのベース超かっこよくね!?親父もそう思うよな!?
七緒   ねぇお母さん、今日はこんな…あ、うん、ちゃんと宿題はやったよ?
六助   親父、俺作曲してみようと思うわ。出来上がったら聞いてくれよ!
    …え、ああ、うん。ちゃんと勉強はするよ。
七緒   うん、今日もちゃんとやったよ。テストもちゃんと平均以上とってるし…写真、取りに行ってくる…。
六助   うっせぇなぁ!ちゃんとやってるっての!ほら見ろ!…練習行ってくるわ
七緒   はい…はい…ごめんなさい…次はもっといい点とれるように頑張るから…うん…
六助   なんなんだよ!成績が悪いのとギターは何の関係もないだろ!?
    ギターやめたからって成績は上がんねぇよ!
七緒   ねぇお母さん、私、高校で写真部に入ったの。先輩たちといろんな写真を…。え、なんでそんなこと言うの、昔は…!
六助   ずっと言ってたじゃねぇか!俺は東京に行きたいって!昔は親父も応援してくれてたじゃん!
    どうしてだよ!…俺が、もう…
七緒   私が…もう…
2人   大人だから?

暗転。屋上、放課後。カメラを持っている七緒。七緒が一人でお弁当を食べている。食べ終わったようで、すぐにしまう。ポケットから更紙(進路希望届)を出して眺め、2つに破く。向こうから部活中の声。向こうを見ると、カメラを構え、1枚写真を撮る。しばらくすると、清掃員の六助がドアの向こうからやってくる。

六助   …あれ
七緒   あ
六助   誰だお前!
七緒   ご、ごめんなさい!
六助   ど、どっからここに上がってきた!?
七緒   あ、えーっと…
六助   …窓。
七緒   …はい…
六助   なるほどね。
七緒   …
六助   あんたは…生徒さんかい
七緒   は、はい…
六助   何年生?
七緒   さ、3年です。
六助   へー

    それだけ言うと、六助はその場でくつろぎ始める。

七緒   え?
六助   ZZZ
七緒   …
六助   ZZZ
七緒   あ、あのー…
六助   …あ!そうだ!
七緒   ひぃ!ごめんなさい!
六助   俺がここで仕事サボってるの先生に言わないでくれな!
七緒   …え?
六助   大丈夫だって。ちゃんとやることはやるから!ちょっと1時間だけ休憩するだけだから!
七緒   あ、えっと…
六助   じゃ。

    そういうと、また寝ようとする

七緒   …
六助   ZZZ
七緒   あのー
六助   …
七緒   あのー
六助   …
七緒   あのー
六助   …もしかして俺?
七緒   他に誰がいるんですか
六助   あんた。
七緒   私以外にです!
六助   …俺しかいないな
七緒   はい。なので私はあなたに話しかけようとしたんです。
六助   なるほど。わざわざ説明をありがとう。じゃ。

    また寝ようとする。

七緒   あの!
六助   なんだよーそんなに俺にかまってほしいのか?
七緒   そんなわけないじゃないですか。
六助   じゃあなに
七緒   いや…その…
六助   …なにさ
七緒   怒らないんですか?
六助   え?
七緒   だってここ、立ち入り禁止だし…
六助   だな。
七緒   あなた…清掃員さんですよね。
六助   うん。
七緒   一応、学校側の人じゃないですか。
六助   ああ。
七緒   怒らなくていいんですか?
六助   怒ったとしてどうするんだよ。
七緒   いや…でも…
六助   俺もルール違反してここで休んでんだ。お前のことを先生に言ったとして、「なんでそれを知ってるんですか?」ってなるだろうよ。
七緒   まぁ…
六助   それに、そうやって密告するような奴俺嫌いだから。
七緒   は、はぁ…
六助   そりゃああれだぜ?あんたがもしここから飛び降りようとしてたらそりゃ怒る。けど、そんな感じでもないしな。
七緒   …
六助   鉢合わせた以上、俺らは運命共同体。互いに内緒にしとくのが一番だろ?
七緒   …そうですね。
六助   納得した?
七緒   納得しました。
六助   なら良し。

    間。七緒が作業に戻る。

六助   …なにしてんだ?
七緒   え?
六助   こんな屋上でさ。
七緒   ああ…写真を。
六助   写真?
七緒   はい。
六助   なんでまた?
七緒   屋上からの景色を撮りたかったので。
六助   ふーん…。

    沈黙

六助   なぁなぁ
七緒   はい?
六助   なんでわざわざこんなリスキーなことまでして屋上の写真を?
七緒   …卒業前に、どうしても一枚撮りたくて。
六助   へぇ…
七緒   …
六助   将来は、写真家かなんかに?
七緒   …なれたら…いいですね。

    沈黙。

六助   なぁなぁ
七緒   はい。
六助   名前なんて言うんだ?
七緒   私ですか
六助   あんたしかいないだろうよ。
七緒   そうでしたね。…海原七緒っていいます。
六助   …七緒か。…七緒…七緒…
七緒   何ですか
六助   いや、フツーだなって。
七緒   そうですか

    沈黙

六助   なぁなぁ
七緒   うるさいですねさっきから!寝るんじゃなかったんですか!?
六助   いやーちょっと話したら目ぇさめちった
七緒   …なんですか
六助   俺の名前言ってなかったなって。
七緒   別に興味ないですよ。
六助   いやいや。名乗らせた以上、こちらも名乗らないとな。
七緒   そうなんですか?
六助   そうなんだよ。
七緒   …じゃあ、お名前を。
六助   羽藤六助!
七緒   六助?
六助   ああ。六助だ。
七緒   変な名前ですねー
六助   ひどいなおい
七緒   思ったことを言ったんです。
六助   口に出していいことと悪いことがあるんだぞ。
七緒   清掃員さんが私の名前ディスったからですよ!
六助   そんなことは忘れたな。
七緒   都合のいい脳みそしてますね。
六助   ありがとう。
七緒   褒めてないですよ
六助   そうかー七緒か。
七緒   はい七緒です。
六助   じゃあ、俺のことは六助兄さんって呼んでくれ
七緒   …は?
六助   いや、六助先輩の方が良いか?それとも、ろっくー兄さん?あ!何ならいっそ、六助お兄様ってよんでくれてもいいんだぜ!
七緒   ねぇ六助
六助   呼び捨て!
七緒   腹立ったからもう敬語使わないよ。
六助   なんだお前年上に向かって。
七緒   ちょっと早く生まれただけでいい気にならないでよ。あなたに敬語を使う価値があるかは私が判断する。
六助   ひねくれたがきんちょだな
七緒   あんたには言われたくないわよ!給料泥棒!
六助   ぐはっ!…その言葉は刺さるなぁ…
七緒   ちゃんと掃除してよ。
六助   してるぞ?お前らの掃除が手抜きだからわざわざトイレとか掃除しなきゃいけないんだよ。
七緒   それが仕事じゃん
六助   ああ。立派に働いてるぞ。
七緒   今は
六助   …
七緒   …
六助   …こんな話がある。
七緒   え?
六助   十字架にはりつけにされたキリストは、死後、その遺体を回収された。しかし三日後に、キリストは復活したんだ。…つまり、何が言いたいかわかるか?
七緒   なに
六助   キリストでさえ復活に三日かかるんだ。素人の俺たちならもっとかかってもおかしくはないだろ?
七緒   死んでないじゃん
六助   つまりそういうことだ
七緒   仕事サボってる理由にはならないけどね。
六助   うるせぇ。お前だって違反者なんだからな。
七緒   それはわかってるよ。
六助   確信犯ほど怖いものはないね。
七緒   お互い様でしょ
六助   まぁ、そうだな。

    間。六助が破られた紙を見つける。

六助   おいおい、飛んでいくぞ。
七緒   あ、それ…
六助   ん?お前これ、進路希望届じゃねぇか。
七緒   …
六助   …専門いくのか
七緒   …いや、普通に大学目指す。
六助   え、でもさっき写真家になれたらいいって
七緒   夢は夢。かなうかどうかは別でしょ。
六助   別に専門行けないからってあきらめる夢でもないだろ。
七緒   …でも、ダメなものはダメなの。そんな不安定な…。
六助   …ふーん。

    六助、進路希望届をしまう。

七緒   …何に使うの。
六助   清掃員なんでな。ゴミを回収しただけだ。
七緒   あっそ。
六助   つめてぇなぁ
七緒   うっとおしいのよ
六助   それは俺が一番よく知ってる。
七緒   だいたい、なんでこんなに話しかけてくるの。
六助   お前のことが知りたいからだよ
七緒   ええ何気持ち悪こないで死んでいますぐ消えて
六助   ひどすぎないか
七緒   思ったことを言っただけ。
六助   言っちゃいけないことがあるっていったろ。
七緒   相手くらい選ばせてよ
六助   人によって態度を変えるのが一番よくないんだぞ。
七緒   あーはいはい。
六助   聞く気ねぇなこいつ。
七緒   …で、なんでそんなに話しかけてくるの。
六助   言った通りだよ。お前のことが知りたいだけだ。
七緒   知って何になるの
六助   経験になる。
七緒   その経験必要?
六助   あとは、純粋に興味があるんだよ。こんな偏差値高い学校に通ってる生徒のことが。
七緒   そんなにでしょ
六助   偏差値60は高いんだよ!
七緒   入った時はそうかもだけど、今はわかんないよ?
六助   入った当初60あった奴は十分天才だよ。
七緒   そうなのかなぁ…
六助   俺は普通の高校に通ってたからな。周りも馬鹿ばっかだったし、頭のいいやつと会話してみたかったんだ。
七緒   あんたの学校にもトップはいるでしょ
六助   それでもたかが知れてるさ。
七緒   あと、私成績悪いからね。
六助   そうなのか?
七緒   学年順位250位だし。
六助   …そんな悪くないんじゃないか?
七緒   300人中250位だよ?
六助   そんなにだろー。下の上くらい。
七緒   悪いじゃん。

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