『ありきたりな、靴下の話』

(ありきたりな、くつしたのはなし)
初演日:2011/1 作者:岡野 陽平(四次元STAGE)
『ありきたりな、靴下の話』

(人間大の靴下。「靴下の着ぐるみ」と言ってよい。)
(その前には、マイクが置いてある。顔の高さに。)

こんにちは。
ボク、靴下です。
こんにちは。靴下です。
大きいけど、巨人の靴下じゃないです。
これの、あ、ボクの、ほんとの大きさは、皆さんが今履いている靴下と同じ大きさだと思ってください。
あ、落ち着いて。争わないで。皆さんの足のサイズは聞いてないので、安心して。
(26でも7でも、どっちでもいいから。)
靴下は基本的にフリーサイズだから、任せて★

今はちょっと拡大してると思って、
ボクのホントの大きさは普通の靴下と同じだってこと。
具体的にいうとこれくらい。(反対の『足』を出す)

・・・少しボクの話をしてもいいですか?
それとも誰か、今ここで、ボクの代わりにしゃべりたい人います?
いませんよね?良かった。
念のため確認しただけです。
安心しました。靴下にもしゃべる権利があるんだって分かって。

ボクの話。
といっても、特別なことはない、ありきたりな、ただの靴下の一生です。

ボクは、誰かに買われるのをずっと待っていました。
伊勢丹の婦人服売り場の棚の上で。誰かの手に取ってもらえる日を、じっと待っていました。
ごめんなさい、嘘つきました。
本当は『イズミヤ』のワゴンの中で、待ってました。

その頃のことはよく覚えてません。人間の赤ちゃんといっしょ。
もちろん工場で作られた頃のことなんて全く。だって生まれる前だもん。
ボクが覚えている、はっきりとした最初の記憶は、

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