ダイヤモンドな俺たち

(だいやもんどなおれたち)
初演日:2019/7 作者:劇団傷痕 主宰
劇団傷痕 旗揚げ公演

ダイヤモンドな俺たち

【登場人物】

田中    新聞部   1年 ♀
相田  オカルト部 3年 ♀
加藤  オカルト部 3年 ♂
鈴木    オカルト部 3年 ♂


【あらすじ】

中学時代野球部だった加藤は、凄腕のピッチャーとして全国的に名を轟かせていた。
だが、練習中に肘を大怪我してからは二度とマウンドへ上がることはなかった。

時は過ぎ、野球部のない東高校に進学した加藤は、
中学時代バッテリーを組んでいた鈴木、幼馴染の相田と共にオカルト部に所属する。
しかし、部活動に参加せず、することと言えば部室でゲームや猥談ばかり。

そんなある日、新聞部1年の田中が取材のためオカルト部を訪れる。
彼女との出会いをきっかけに、彼の中で止まっていたはずの歯車が今動き出す―――


【備考】

・旗揚げ公演では、効果音は全てほぼ役者の声で表現
 (Ex:加藤の投球時は、加藤「バシュッ!!」)

【1】

 季節は夏。
 セミの鳴き声がする。
 明転。

 舞台は東高校のオカルト部部室から始まる。
 舞台中央には長机と4人分の椅子。
 無人。静寂。

 そこに、ノックの音。
 制服姿の田中が、手帳を手に抱え部室の扉から入室。

田中 失礼します
    (誰もいないのを確認し)すいませーん誰かいませんか?
加藤 はーい(と制服姿で出てくる)
田中 ここ、オカルト部の部室ですよね?
加藤 そうだけど
田中 突然お邪魔してすいません
   私、新聞部の1年で田中っていいます
   今度ウチで、学校の七不思議の特集を組むことになりまして
加藤 へぇ、七不思議
田中 はい それで、オカルト部から話を聞こうと思ったんですけど
   今、一人ですか?
加藤 いや、みんな奥にいるよ
田中 じゃあちょっと呼んでもらっても
加藤 (舞台奥に向かって)みんな〜来てくれ

 間

田中 いないみたいですね
加藤 さっきまでいたんだが
相田 (声)鈴木くん行ってよ
鈴木 (声)嫌だよ、相田行けよ
相田 (声)なんで?
鈴木 (声)恥ずかしいだろ
相田 (声)私だってそうだよ
鈴木 (声)それに俺、オカルトのことあんま知らないし
相田 (声)前から教えてあげるって言ってるでしょ
鈴木 (声)いいよ、ゲームしてる方が面白いし
田中 ゲーム……?
鈴木   (声)つか部長なんだから相田行けよ
相田 (声)嫌だよ
鈴木 (声)なんで
加藤 ちょっと待ってて(はける)
田中 え、はい
相田 (声)……人見知りだから
鈴木 (声)俺だってそうだよ!
相田 (声)声大きいよ
鈴木 (声)悪い
相田 (声)じゃ鈴木くん行って
鈴木 (声)お前それずるいわ
加藤 (声)え、何してんの
2人 (声)あ
加藤 (声)聞こえてるから
相田 (声)え、何?
加藤 (声)え?
相田 (声)え?
加藤 (声)いいから早く来い 間が持たねーんだよ!
   (戻ってきて)お待たせ
田中 いえ……

 加藤に遅れて出てくる鈴木と相田

田中 こんにちは、新聞部の田中です!
鈴木 あ……どうも 鈴木です(小声)
相田 相田です(小声)
田中 (聞こえず)はい?

 鈴木、相田部室のドアから去ろうとする

加藤 ちょ待てよ! 何出てこうとしてんだよ(と止める)
鈴木 放せって
加藤 シングルマザーが家に彼氏連れてきた時の子供か!
鈴木 例えが生々しいからやめろ!
相田 田中さんがそういう家だったらどうするの!?
加藤 そんな偶然なかなかないだろ なぁ?
田中 うち、母子家庭です……
相田 ほら!
加藤 いや、「ほら!」って なんか、ごめんな
田中 でも、母に彼氏はいませんから 大丈夫です
加藤 あ、そうなんだ……

 気まずい静寂
 鈴木、その間に1人だけ部室ドアから逃げようとする

加藤 おい鈴木!
鈴木 分かった 聞く、聞くから

 鈴木、相田は席に着く

鈴木 それで?
田中 えぇーと、
加藤 新聞部で七不思議の特集したいから教えてほしいってさ
田中 そうなんです
   こっちで色々調査してるんですけど、知ってる人が誰もいなくて
   ダメでしょうか?
鈴木 なるほどね〜なるほどなるほど なぁ、こういうのってお金出るのかな
相田 出るわけないでしょ
加藤 金にがめつすぎだろ
鈴木 違うって! ウチの部って学校から全然金出ないだろ? だからさ
相田 仕方ないでしょ 部員が3人しかいないんだから
   ていうか、部費があっても、ろくなことに使わないじゃん
田中 えぇっと……
加藤 こいつは相田っていって、オカルトに詳しい、変わった奴なんだ
田中 なるほど……でもここオカルト部ですよね?
加藤 その理屈もおかしいけどね
   オカルト部だからオカルトに詳しくて当然って言いたいんだろうけど、
   それは偏見だから
   いや例えばね、サッカー部の人がサッカー上手くなきゃいけないのか
   そんなことはないでしょ?
   サッカー部はただサッカーが好きな人の集まりでいいじゃン
   そこに上手さとか知識とか求めなくていいじゃン
田中 じゃあ加藤さんはオカルトが好きなんですね
加藤 いや、そんなことないけど
田中 そういえば、加藤さん野球部だったんですよね?
加藤 え、オレのこと知ってるの?
田中 中学のとき、ニュースで見ましたよ
   鈴木さんとバッテリー組んでましたよね?
加藤 昔の話だけどな
相田 それで、田中さんは七不思議についてどこまで知ってるの?
田中 学校にまつわる不思議が7つあるってことは……
鈴木 あとは?
田中 今のところは、それだけですね
鈴木 全然調べてないじゃん
相田 まぁまぁ まだ1年生だし
   ちょっと、資料取ってくるね
   その間田中さんに軽く説明しておいてくれる?
鈴木 何を?
相田 七不思議に決まってるでしょ(と部室奥へはける)
田中 (加藤、鈴木に)よろしくお願いします
加藤 いや、実は俺たち七不思議に詳しくなくてさ
田中 え、オカルト部なのに?
加藤 オカルトって言っても、いろいろジャンルがあるんだよ
    俺は〜ほら、少し前流行ったクトゥルフ神話とか専門なワケ
鈴木 俺も
田中 へぇ〜! 神話っていうから神様が登場するんですよね?
加藤 まぁね
田中 どんな神様がいるんです?
加藤 ……相田のヤツ遅いな ちょっと見てくる
鈴木 俺も
田中 知らないんですね
2人 ……
田中 普段、オカルト部って何してるんですか
2人 ……
田中 さっき、ゲームって聞こえましたけど
   毎日そんなことばっかやってるんですね
加藤 いや、流石に毎日じゃないよ!
鈴木 そうそう、バイトのない日だけ
田中 実質毎日じゃないですか

 相田、A4サイズのノートを1枚持ってくる

相田 最近なかなか使ってなかったから
田中 ここに七不思議の謎が
相田 えぇ 使い終わったら返してね
田中 ありがとうございます
   あの、もう1つお願いがあるんですけど
加藤 なんだよ
田中 私、実はまだ記事を書いたことがなくて
相田 新聞部なのに?
田中 はい 1年生は基本、先輩の手伝いだけなんです
   今回はストーリー仕立てで書きたいんですが、自信がなくて
鈴木 なるほどな 俺たちにゴーストライターをやってほしいって訳か
田中 違います
   私の記事を、読んで添削してほしいんです
相田 けど、私達そういうの素人よ
田中 新聞部の先輩にも記事は見てもらいます!
   でも、オカルトに詳しい先輩からの意見も欲しいんです
相田 そう言われても――
加藤 こうまで必死に頼んでるんだ 聞いてやってもいいんじゃないか?
相田 ……そうね、私でよければ
田中 ありがとうございます!
加藤 良かったな
田中 はい これからよろしくお願いします、『相田先輩』!
相田 こちらこそよろしくね
田中 本当、今日はオカルト部に来て良かったです
加藤 俺たちにも会えたわけだしぃ? な〜?
鈴木 ほんとそれ!
田中 (2人の話を無視して)失礼します!(と部室から出ていく)
相田 明るくて真面目な子ね
鈴木 俺あいつ嫌い
相田 何かあったの?
鈴木 オカルト部なのにオカルト知らないからってバカにしてきたんだよ
加藤 オカルト部だからってオカルトに詳しくなきゃいけないのかよ
相田 それは、自業自得じゃないの?
加藤 それより、相田もたまにはゲームしようぜ
相田 いいけど、鈴木くんは?
鈴木 俺バイト
相田 晴れてるんだから、外で野球とかやればいいのに
加藤 ……
相田 まぁ、ゲーム楽しいのは分かるけどさ たまには部活の方も
鈴木 俺らもう3年だしな〜
相田 2人とも田中さんには協力してあげてね
加藤 マジかよ
鈴木 なぁ この部屋暑くね?
加藤 昨日からエアコン壊れてるぞ
鈴木 嘘だろ〜!?

 鈴木、カッターシャツを脱ぐ
 乳首の箇所だけが切り抜かれた肌着が露出する

【2】

田中 (戻ってきて)すいません! (鈴木を見て)って、うわっ!?
加藤 今度はなんだよ
田中 え、なんですかそれ
鈴木 勘違いすんなよ!
   俺乳首が敏感だからさ、こうやって風を感じてる
田中 はぁ
相田 それで、どうして戻ってきたの?
田中 あ、そうだ!
   お借りしたノート見たんですけど、七不思議が載ってないんです!
鈴木 貸したノート間違えたのか?
田中 違います!
   ていうか近づかないでください!(と鈴木の乳首をつねる)
鈴木 (声を上げ悶絶)
相田 落ち着いて話して
田中 はい ノートが破れていて、最後の不思議が分からないんです
相田 そんなずは (ノートを確認し)どうして……
加藤 お前がやったんじゃないのか?
田中 違いますよ!
加藤 じゃあ誰がこんなこと……
相田 とりあえず、他に資料がないか探してくる(はける)
田中 私も行きます!
加藤 俺も行くぜ
鈴木 あぁ!
田中 ノートの場所分かるんですか?
加藤 変な奴が入ってこないか見張ってるわ!
鈴木 名案だな!

 田中、やはり無視してはける

加藤 異常なし、と
鈴木 なぁ
加藤 なんだ?
鈴木 田中もノートの場所分からなくね?初めて来たんだし

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