ベーシスト殺人事件
登場人物
・探偵……みんなのヒーロー(気取り)の探偵様。自分が楽しいと感じるならばそれでいい。たとえ誰も望まない展開であっても。

・ドラム……胃痛役。但しあくまでも『役』なので、彼の本職・本性ではないのかもしれない。真相は藪の中にあるのか、それともないのか。

・ギター……いたって真面目な好青年。その真面目さから、常に最善を貪欲に求め続ける。しかし、その最善は他者から見ればただのギロチンである。

・ボーカル……自分のことは自分が一番よく知っている。自分の可愛さも、自分が愛されてることも、自分があの大嫌いな探偵に似ていることも。

※探偵以外はいかにもバンドマンらしい格好が望ましいです。


必要なもの
・白い布
・新鮮な死体(生きた人間、人間っぽい何かで代用可)


以下本文

(ベーシストの死体を中心に並んでいる。探偵、しゃがんで死体の布を捲り、覗き込んでいる)

探偵 「うーん、こりゃ確かに死んでるな。紐か何かで首を絞められた、ってとこか。彼の首には紐を解こうと掻きむしった跡がある。まあ、この跡がかの有名な吉川線なわけだが、これすなわち、彼は他殺か事故死であるということ。この室内には首が締まるような事故が起きるギミックはなさそうだし、他殺と考えて良いだろう」

(探偵立ち上がり、三人の顔を見渡す。探偵っぽい仕草で)

探偵 「さて、ということはあなた方三人の中の、誰かが犯人ということになりますねぇ」

ドラム 「……あの、すみません。一つ聞いてもいいですか?」

探偵 「ん? 何だ?」

ドラム 「……あなた、誰ですか?」

探偵 「は?」

ドラム 「え?」

探偵 「……いやいや、俺が誰かなんて見りゃわかるでしょ」

ドラム 「わかってたら聞かないですよ」

探偵 「ええ……? マジかよ……。はぁ、俺は探偵だよ。た、ん、て、い!」

ドラム「えっ、あっ、は、はい」

探偵 「あーあ、調子狂うな……。まあとにかく、警察は俺が呼んでおいたんで、ご安心を。それでは、事情聴取でもしましょうか」

ドラム「え?」

探偵 「あ?」

ドラム「……いや、そういうのって普通、警察がするんじゃ……」

探偵 「だって警察まだ来てないだろ。代わりに探偵がいるだろ。つまりは俺の出番だろ」

ドラム「……はぁ……。そもそも、あなたはどこから来たんですか?」

探偵 「事件の匂いに釣られてどこからともなく」

ドラム「話にならないですね」
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