こちらヒーローズ・マガジン「セイバー」編集部!
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作:角砂糖

登場人物
 戸川あさひ(とがわ あさひ)
   高校一年生。ちょっとミーハーで、ポジティブな女の子。
 サファイア(ピンキーサファイア)
   セイバー編集部員。魔法少女。真面目でしっかりした性格。怒りっぽい。
 柳生飛丸(やぎゅう とびまる)
   セイバー編集部の下っ端。由緒正しい家柄に生まれたポンコツ忍者。調子がいい。
 鷺宮かれん(さぎのみや かれん)
   セイバー編集部員。超能力者。物腰が柔らかくニコニコしているが腹黒。
 編集長
   セイバー編集長。元悪の組織の女幹部「黒鉄(くろがね)将軍ハルモニア」。豪快な姉御肌。
 北條わたる|ファントム・ダガー(ほうじょう わたる)
   あさひの同級生。人気変身ヒーローの一面も持つ。キザでナルシスト。
 よしの
   ファントム・ダガーのマネージャー。ファントム第一主義。
 女(北條メイ|エリスピンク)
   セイバーのライバル誌・インクレディブル編集長。元戦隊ヒーローのピンク。

 ※この戯曲では戦隊モノ、変身ヒーロー、魔法少女といった、超常能力を持って敵対する勢力と戦う人間のことを総称して「ヒーロー」と呼びます。そうでない、一般の人々は、ヒーローたちからは「ノーマル」と呼ばれています。ヒーローたちは普段、その力を隠して、ノーマルに紛れて暮らしています。





 ヒーロー向け総合誌・月刊「セイバー」編集部。編集部員たちの机、応接セットがある。
 5月、ある晴れた土曜日の昼下がり。
 飛丸、土下座をしている。
 それを冷たく見下ろすサファイア。
 どうすることもできず、ただそれを見つめているあさひ。
 あさひの手には、月刊「セイバー」が握られている。

サファイア 飛丸。…あんたさあ、何て言ってたっけ。
飛丸    …。
サファイア 最新号配達し終わったって、残りが一部足りないってなったとき、何て言ってたかって聞いてるの。同じ家に二部配ったって言ったよね? しかも富岡東のなんとかマンさんのところだとか、もっともらしいこと言ってさあ。違うじゃん。落としてんじゃん。しかも拾われてんじゃん。よりにもよって、ノーマルに。
飛丸    反省しています、心の底から。
サファイア あんたってさあ、何だったっけ。
飛丸    え?
サファイア 室町時代から続く、何の一族だったかって聞いてんだけど。
飛丸    忍者。忍者です。
サファイア ったく、何が忍者だよ。そんなんドジで主役の作品なんて作ってもらえる訳ないじゃん。
飛丸    まったくもってその通り。サファイアさんみたいなエリートとは天と地ほども違います。月とスッポン、鯨と鰯。
あさひ   サファイア…? あの…。
サファイア おだてたって無駄だから。どうすんの、編集長もかれんさんもいないときに。かれんさん、何時戻りになってる?
飛丸    14時戻りの予定です。
サファイア もう14時10分だし、かれんさんが戻ってきたら対応してもらうか。あんたの処分もね。
飛丸    何卒、お手柔らかに。
サファイア 決めるのはかれんさんだから。
飛丸    はい…。(あさひに)すみません、お見苦しいところを。どうぞ、よかったら座ってください。
あさひ   あ、ありがとうございます。…あの、サファイアって、ピンキージュエルの…?
飛丸    あ、ご存知ですか。そうです。この方こそ、かつて魔法少女界で一世を風靡した「魔法の天使 ピンキージュエル」、知恵の天使ことピンキーサファイアさんご本人です。
あさひ   本当ですか。私、小学生の頃、ピンキージュエル大好きだったんです。
飛丸    ですよね。自分も大ファンで。
サファイア あんた、私じゃなくてエメラルド推しだって言ってたよね。
あさひ   私はずっとサファイア派です。クールでかっこよくて、憧れでした。文集に将来の夢、ピンキーサファイアって書いて、お母さんに笑われて。それから、決め台詞の真似ばっかりしてて。『正義の青い光から、悪は決して逃れることはできない。…』
サファイア (遮って)もういい。もういいから。
あさひ   あれ。でも、サファイア本人って、どういう…。サファイア役の俳優さん、じゃないですよね。
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