劇のテーマ〜ゲーム編〜

(げきのてーまげーむへん)
初演日:0/0 作者:石川健介
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■登場人物

    せいじ
    ゆうき
    マキ
    あかり

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            下手にはキャスター付きの本棚。きちんと製本された本から、わら半紙をホッチキスで止めただけものまで、
            さまざまな本が入っている。
            舞台奥には寄せられた机やイス、ほうきなどがあり、中央はスペースが開けられている。
            上手にはどこの学校にもあるような、ドアがある。
            その向こうの廊下も少しだけ見ることができ、そこからせいじがでてくる。
            ドアを開けようとしてガタガタする。が、開かない。


せいじ   ・・・あ、鍵渡されてたんだった。えーと。

            ポケットから鍵をだす。ドアの鍵穴を探し、鍵をあけて入る。
            電気をつける。
            部屋に入った後、ドアの横にフックを見つけ、そこに鍵をぶら下げておく。
            その辺にバッグを置く。

せいじ   これでいいか。お、なんか色々あるな・・・。

            本棚を見つけ、近づく。
            色々あるので迷うが、一番表紙がきれいな本を手に取り、ページをパラパラめくる。
            上手の廊下からマキがでてくる。開けっ放しのドアからそのまま入る。

せいじ   ・・・んー、なーんか良くわかんねえな・・・、面白いかこれ?
マキ   誰?
せいじ   うお!あ、すみません、いや、先生が勝手に入っていいって言ってたんで・・・
マキ   ドア開けっ放し。

            マキ、静かにドアを閉める。

せいじ   あ、すんません。
マキ   勝手に本棚あさってるし。
せいじ   あ、はい。

            せいじ、本を本棚にしまう。
            マキ、それを確認して、舞台奥にバッグを置きつつ

マキ   まあいいわ、先生から入部希望の子に鍵渡したって聞いてたし。悪いのは先生ね。私は演道(えんどう)マキ。あなたは?
せいじ   あ、青木征仁(あおきせいじ)って言います。
マキ   せいじ君ね、よろしく。
せいじ   よろしくお願いします。
マキ   一応確認しておくけど、うちの演劇部に入りたいってことでいいのよね?
せいじ   はい!そうです!
マキ   それで、入部試験のことは聞いてる?
せいじ   え?
マキ   入部試験。
せいじ   ・・・え、部活に入るのに、試験があるんすか?
マキ   うちはね。まあ、伝統みたいなものよ。
せいじ   あ、そうなんすか・・・えっと・・・、試験って何をすれば?
マキ   自由よ。
せいじ   自由?
マキ   そう、自由よ。どんな演技をしても良いわ。昔やった劇のワンシーンでも、即興劇でも、パントマイムでも。
せいじ   (思わず苦笑してしまう)・・・えーと・・・、すんません、俺、演技経験とかなくてですね・・・。
マキ   いいのよ、別に。最初は誰だってそうだわ。
せいじ   あ、はい、そうっすね・・・。

            間。必死で考えるせいじ。
            その様子を見てからマキ、イスを近くに寄せて、座る。

せいじ   (半笑いで)すんません、何すればいいか、ぜんっぜん思いつかないんすけど・・・
マキ   何でも良いわよ。
せいじ   ・・・その、何でも良いってのが、逆に難しくてですね・・・。

            せいじ、すがるような視線。

マキ   そうね・・・、最近、無性に誰かに訴えたいことはある?
せいじ   いや、そんなんないっすよ。ある人いるんすか?
マキ   ・・・じゃあ、何か良かったことは?
せいじ   え、良かったこと、ですか?・・・あー、この学校受かったことっすかね。
マキ   なるほど。じゃあその喜びを劇として表現できそう?
せいじ   え!?いやー・・・ちょっとそれは・・・。
マキ   そう。じゃあ何かイライラしたことは?
せいじ   えーと、・・・駐輪場から昇降口までがちょっと遠いっすね、ここ。・・・あ、劇にならないっすね、すんません。
マキ   別に謝らなくて良いわよ。

            間。マキ、どうアドバイスすべきか考える。
            せいじ、それを見て、ちょっと申し訳ない気分になる。

マキ   ・・・じゃあ、好きな映画とかある?
せいじ   映画っすか、・・・俺映画はあんま見ないんすよね、ゲームばっかりで。
マキ   じゃあ、この際ゲームでもいいわ。好きなワンシーンとかある?
せいじ   え、それでいいんすか!?それならもう、山ほどあります。
マキ   (ちょっとホッとしたように笑う)そう。じゃあ何か一つ、やってみて。
せいじ   オッケーっす!どれにすっかな・・・

            せいじ、ニヤニヤしながら舞台中央へ向かう。
            深呼吸し、大きく息を吸ったあと、
            観客の方に向けて一人芝居をやる。
            すべてのキャラクターの動きもセリフもエフェクトもSEもBGMも自分でやる熱演。
            (参考:テイルズオブファンタジアPS版の冒頭部分。
             PSP版ではダオスが代わってしまっため、せいじはPS版をやっている。
             なお、実際のゲームでは「インデグニション」と表記されているが、
             これは当時のゲームの制約上、8文字にせざるを得なかったためであり、
             発音上は間違いなく「インディグネイション」)

せいじ   「天光満つる処に我は在り」
        テレレレレレレン! テレレーレーテーテーテーテーテーレーレーン、
        「黄泉の門開く処に汝在り 出でよ 神の雷」
        「なに!?それは!?」
        「これで最後だ!インディグネイション!」
        シャ、シャ、シャ、シャ、シャ、
        「そんな、そんな馬鹿な!?うわああああああああああああっ!!」
   
        テテテテ テテテテ テテテテ テテテテ テテテテ テテテテ・・・
   
        カーン、ドロロロロロロロロロ・・・、カーン、ドロロロロロロロロロ・・・
        ゴロゴロゴロ、ゴオーン!!
        「き、貴様!!」
        「なぜ、ここに!?」
        「やめろおおおおぉぉぉ!!!」
        てーんてーん、てれれーんてーん、てれれーん、てーん、てれれーん、てーんてて、
        テーレーテーレーテーレーテーレー!
        テーレーテーレーテーレーテーレー!
        ドーーーーン・・・
        「これで・・・私の家に代々続いた使命も終わりか・・・」

            せいじ、やりきった表情。マキの方を振り返る。

せいじ   ・・・どーすか!?これ俺大好きなんすよ!
マキ   ・・・ええと、うーん・・・

            マキ、何を言うべきか悩む。
            せいじは活き活きとした表情でマキの言葉を待つ。

マキ   ・・・ごめんなさい、私ゲームやったことないから、よく分からなくて。さっきの・・・テーマは何なの?

            間。

せいじ   はい?
マキ   ・・・だから、テーマよ。劇には大体あるでしょ?、ま、不思議の国のアリスみたいな例外もあるけど。
        でもあれだって、「子供を楽しませたい」という、人に見せる理由がちゃんとあるのよ。
せいじ   は、はあ・・・
マキ   それで、せいじ君のさっきの劇のテーマは?
せいじ   え、ええ?えーと・・・えー・・・すみません、ちょっと分かんないです・・・
マキ   分かんないってどういうこと?

            マキの言い方がちょっときつい。

せいじ   ・・・テーマとか、あんまそういうこと考えたことなくてですね・・・
マキ   だめよそれじゃ。テーマがないと、お客さんに見せる必要ないじゃない。
せいじ   ・・・はあ・・・
マキ   そのゲームにはないの?

            考えてみるせいじ。

せいじ   ・・・いや、ちょっと、俺にはわかんないです・・・
マキ   そのゲーム好きなんでしょ?
せいじ   それはもう。
マキ   ・・・好きなもののことは、分かってないとダメだと思わない?
せいじ   ・・・そうっすね、それは俺も、そう思います・・・。

            せいじ、必死で考えるが、何もでてこない。

マキ   ・・・さすがにこれじゃダメね。残念だけど不合格。
せいじ   ・・・あ。・・・はい・・・、どうもすみませんでした、失礼します・・・

            せいじ、バッグを拾って部室をでようとする。

マキ   あ、待って。

            せいじ、足を止める。

マキ   せっかくだし、このまま体験入部していって。ちょうど仮入部期間だし。
せいじ   え、でも・・・、今、不合格って・・・
マキ   今回はね。次はもっと頑張って。
せいじ   ・・・次?次って何すか?

            マキ、せいじの勘違いを察する。

マキ   ・・・ああ、入部試験は何度でも受けて良いのよ。
せいじ   え、あ、そうなんすか!?なんだ・・・、もうダメなのかと・・・

            せいじ、脱力。

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