それっぽい台本道場・基本編

(それっぽいだいほんどうじょうきほんへん)
初演日:0/0 作者:あかざとう
『それっぽい台本道場・基本編』

必要キャスト数:7(エキストラ3名)-9(エキストラ5名)人

登場人物:
・西園寺京香-高校3年の女子。演劇部の部長。自称ベテラン脚本家。
・桂太一-高校1年の男子。演劇部の新入部員。脚本家志望。
・尾崎悠人-高校2年の男子。バスケ部の部員。西園寺以外の人間に冷たい。
・上原由佳-高校3年の女子。バスケ部の部長。西園寺に手を焼いている。
・エキストラ-必要に応じどこからともなく湧き出す端役たち。3-5名程度推奨。

◯とある高校・体育館倉庫

   ボールや跳び箱などの用具と収納棚が並ぶ、高校の体育館倉庫。
   舞台中央に2脚のパイプイスが置かれている。
   制服姿の西園寺、下手側のイスに座り手鏡を見ている。
   明転。

西園寺「ふっふ〜ん♪ふっふ〜ん♪あえいうえおあお…ぱぺぴぷぺぽぱぽ…」

   ノック音。

西園寺「どうぞ。」

   桂、入場。

桂「お、おじゃましまーす…。」
西園寺「いらっしゃい。わたしになにかご用かな?」
桂「えと…『演劇部こちら』っていう看板辿ってきたんすけど…。」
西園寺「おや!ということは、もしかして入部希望かい?」
桂「はい。」
西園寺「そうかそうか!それはたいへん光栄だよ。」
桂「ど、ども。」
西園寺「ようこそ演劇部へ。わたしはここの部長を務めている、西園寺京香だ。以後お見知り置きを。」
桂「あ、えと…桂太一、です。」
西園寺「桂くんか。よろしく頼むよ。」
桂「お願いします。」
西園寺「ちなみに、志望の部署とかはあるかい?」
桂「いちおう、脚本を。」
西園寺「なるほど、未来の脚本家か!ならまずは我が部の過去作を見ながら活動内容の説明でも---」
桂「あ、あの!」
西園寺「どうしたんだい。」
桂「部室、ここで合ってますか?」
西園寺「新歓期間に部長がいるのだから、間違いないだろう。」
桂「…違う。」
西園寺「ん?何がだい?」
桂「思ってたのと違う!都大会常連の強豪だって聞いたのに、何ですかこの部室!?」
西園寺「わが校は手狭だからね、バスケ部と部室を共有しているんだよ。」
桂「いやいやいや、それにしても!ここ体育館倉庫ですよね?バスケ部はフロア全面使ってるのに、格差ありすぎでしょ!なんとかしないんですか?」
西園寺「格差?とんでもない!われわれは部に代々伝わる戦術を新入生に味わってもらうべく、あえてこうしているのだよ!」
桂「戦術…?」
西園寺「そう!題して『それっぽい台本の書き方戦術』!」
桂「は、はあ。」
西園寺「桂くん、脚本志望だったろう?よかったらベテラン脚本家たるこのわたしが、直々にテクニックを紹介してあげようか?」
桂「いや、長くなりそうなんでとりあえず---」
西園寺「戦術その1、『ギャップ戦術』!」
桂「うわっ、結局喋るんですか。」
西園寺「『壮大な名前や評判の割にしょぼい実態、もしくはたいしたことのなさそうな名前や評判に見合わない立派な実態を用意してみるべし。そのちぐはぐさが観客の興味を引きつけること、間違いなし!』」
桂「すいません、言ってる意味がよくわからないんすけど。」
西園寺「おや、そうかい?きみはすでにこの戦術の効果を1度、体験しているはずだけどね。」
桂「えっ。」
西園寺「都大会常連の強豪演劇部、しかしその活動場所はなぜかオンボロ体育館倉庫---という状況に対し、先ほどきみは見事なツッコミを披露してくれた。」
桂「いやいや、ツッコまないほうがおかしいでしょ。」
西園寺「それはすなわち!きみがこの状況に疑問を抱き、なおかつ真相を知りたいと思ったことを意味するのだよ!」
桂「ハッ…!」
西園寺「人間の知識欲を刺激する効果的なきっかけ---ギャップ戦術、あなどれないだろう?桂くん。」
桂「あ、あなどれねえ…!」
西園寺「わかればよいんだよ、わかれば。」
桂「微妙に腹たつな。」
西園寺「聞こえてるよー!」
桂「聞こえるように言ったんすよ。」
西園寺「ともかく、少しはわたしのこと見直したかい?『それっぽい台本道場』、入門する気になったかな?」
桂「道場だったのかこれ。」
西園寺「どうだい?」
桂「…まあ、これから演劇やってくなら知ってて損はなさそうだし…お願いします。」
西園寺「そうこなくてはね!」

   桂、上手側のイスに座る。
   西園寺、棚からペットボトル飲料を取り出して桂に渡す。

西園寺「どうぞ。」

   桂、ペットボトル飲料の賞味期限を見る。

桂「や、だいじょぶっす。」
西園寺「いいから。」
桂「や、ほんと---」
西尾時「遠慮せず。」
桂「いや先輩、このコーラ2年前に賞味期限切れてるんすけど。」
西園寺「おや、これは失礼。誰も飲んでくれないから、古くなってしまっていたようだね。」
桂「毎年使いまわしてるんすか!?」
西園寺「すまない、そのへんに置いておいてくれ。あっ、飲んだらダメだよ。」
桂「飲みませんよこんなの!」

   桂、ペットボトル飲料を床に置く。

桂「…じゃ、次の…戦術?でしたっけ、お願いします。」
西園寺「…。」
桂「あ、あれっ?先輩っ?」

   西園寺、上を向く。

西園寺「照明さーん、ちょっとまぶしくないかなー?」

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