さいかい!

(さいかい)
初演日:2019/3 作者:楽静
さいかい! 
作 楽静

登場人物
アリス この物語の主人公。漫才師が夢。ツッコミ属性。
のどか 中学時代のアリスの友人。成績は学年最下位。ポジティブ。
セレナ 魔法学校で優秀な成績を収める少女。他者に興味がない。
ひかり 高校でのアリスの友人 将来の夢は中学校の先生
学長  魔法学校の学長。魔法で若く見せている。

ソネミーナ/優秀生徒  悪の組織? の一人。本名ソネ。優雅。
ネタミーノ/最下位生徒 悪の組織? の一人。本名ミタ。やや乱暴。
ヒケメーン/中学生   悪の組織? の一人。本名ヒケ。坊や。
アリスの母親 アリスの母親 ひかりと兼ねる
司会     とある大会の司会。学長と兼ねる(声だけでもいい)



※舞台は公園、アリスの自宅、学園と転々するが、特にセットは必要としない。魔法使いはいかにも魔法使いと言う格好が望ましい。
※魔法使いの「魔法具」は初演はそれぞれキャラクター別位置がうものを持たせたがある程度同じものをそろえても構わない。
※兼ね役に関しては初演のものなのでそれぞれ別役を用意しても構わない。









    舞台上にアリスが現れる。中学生っぽい格好。誰かに話しかけているように語りだす。

アリス 中学時代、のどかとの会話で一番覚えてるのは、中三の夏休み前、親を交えた三者面談のとき。
   その日あたしは先生と親に初めて自分の進路の希望を話して……結果めちゃくちゃ怒られたんだ!

    と、のどかが現れる。中学生っぽい格好。
    三者面談が終わった日の帰り道。
    お互いの家方向への分かれ道付近。

のどか 廊下まで怒鳴り声聞こえてたよ。
アリス ほんとありえないし。
のどか それ、アリスのママ言ってたよね。「ありえないでしょ! ありえない! ほんとありえない! 
アリス (と、得意げに)と見せかけての? 
のどか くだらないこと言うのはやめなさい!」って。
アリス 先生も味方になってくれないしさ。
のどか あの先生、三年受け持つの初めてらしいからね。気合い入ってたんでしょ。アタシの時も、なんか言葉になってなかったからね。「はぁ!? え? はぁ!? はぁあ!? いえ違います。これは気合をためてるんじゃないの。戸惑いと、怒りと、驚きが一緒になったの。というか、のどかさん。あなたもなの?」って。
アリス ってことはのどかも?
のどか 怒られたよ、先生には。「そんな職業はありません!」って。
アリス あたしも言われた。って「先生には」? 親は平気だったんだ?
のどか うちのママ、放任主義だから。「目指すのなら、挑戦はさせます。娘の人生ですから」って。
アリス 良いなぁ。うちも放っておいてくれればいいのに。「高校は行きなさい」の一点張り。あー。勉強したくないなぁ。
のどか ねぇ。アリスって何になりたいの? 高校行かなくてもなれるってことだよね? だいぶ特殊じゃない?
アリス のどかは? そんな職業ないって言われたんでしょう?
のどか ……誰にも言わない?
アリス もちろん。
のどか 多分なるの自体は簡単なんだ。名乗ればすぐなれるっていうか。でも、それじゃ意味ないっていうか。
アリス あたしもそう。
のどか 努力はもちろん大事なんだけど、それよりも才能というかセンスが大事なんだとあたしは思ってる。あと、誰かの笑顔のために頑張るって決意。
アリス あたしもだ。
のどか 最初に「ま」がつくんだ。
アリス あたしも!
のどか ……もしかして?
アリス うん。もしかして。
のどか 一緒に言う?
アリス 同時にね。
のどか うん。せえの、

同時に、
のどか 魔法使い!
アリス 漫才師!

のどか あれ?
アリス はぁ!? え? はぁ!? はぁあ!?
のどか 先生のものまね?
アリス 違うから。てか、ありえないでしょ! ありえない! ほんとありえない! 
のどか (と、得意げに)と見せかけての? 
アリス くだらないこと言うのはやめなさい!
のどか さすが親子。そっくり。
アリス じゃなくて、本気で言ってんの?
のどか 本気だよ。魔法使いにアタシはなる!
アリス そりゃ先生も否定するわ。あたしもする。誰だってする。
のどか なんでよ〜。
アリス だって、ないでしょ。魔法なんて。
のどか あるよ?
アリス は?
のどか 魔法はある。
アリス 本気で言ってんの?
のどか アリスこそ、本気?
アリス え?
のどか 本気で漫才師になろうと思ってるの?

    と、アリスだけに光が当たる。

アリス それが、のどかとまともに話した最後の日となった。だって、進路希望が「魔法使い」なんて普通じゃないし。
   なのに、大真面目に「魔法はある」なんて。話しかけられなくなったのも無理はない、よね。あれから親とは何度か喧嘩して、
   あたしは結局高校へ進学。のどかとはそれっきりとなったのだった。……なんてことを高2の春頃になって急に思い出したのは、
   再び親とのバトルが始まろうとしていたから。あたしの夢。貫けるのか。また折れるのか。

    と、どこかにのどかが現れる。

のどか 本気で漫才師になろうと思ってるの?
アリス だからこうやってネタを考えてるんだよ。一緒にやってくれる友達だっているんだから。新作考えて、高3では大会本戦に出場して、認めてもらうんだ。……ってもうこんな時間!?
のどか 本気で漫才師になろうと思ってるの?
アリス 本気だからネタを考えなきゃいけなくて、でも、もうこんな時間だし。ネタよりも寝たいし。
のどか 本気で漫才師になろうと思ってるの?
アリス 大丈夫。明日から本気出す。(と、再び誰かに話すように)そんな、毎日が眠たいあたしの、友との再会と、最下位を救うお話。と、ここで、唐突に開幕の合図!

    アリスが指を鳴らす。※オープニング(登場人物が現れ、去っていく)
    この間に、アリスは高校生バージョンに着替えを済ます。


    午前中。とある漫才大会の予選会場にて。
    鐘の音が一つ響く。司会が顔をのぞかせる(もしくは声だけ)

司会 おっと。観客の反応は今ひとつだったようです。「高校男子団」はここまでとなります。さぁ、ランダムに選ばれた観客達の反応から本戦に上がれるかどうかが決定する、高校生春の漫才甲子園予選。次の挑戦者は高校二年生。今度は女子の二人組です。彼女たちは今回が二回目の出場となります。一回目の出場の時は一つの鐘の音に沈みましたが、今回は予選突破なるでしょうか? チーム名は「アリスちゃんとひかりさん」です。どうぞ!

    と、司会の言葉を合図にアリスとひかりが出てくる。

アリス はいはいはいはいはい。こんにちはー。アリスちゃんです。
ひかり ひかりさんです。
アリス&ひかり ありすちゃんとひかりさんです。よろしくおねがいします!

    と、観客席から拍手があればお礼を言ったりしつつ、

ひかり いやぁ、ようこそいらっしゃいました。
アリス 遠いところをはるばると。こんな朝早い時間に。このような人数が、ここ〇〇(上演する会場名)へこれだけ集まるとは。うん。みんな、暇なんですね?
ひかり ありすちゃん、普通に失礼。
アリス ごめんなさい。でも本当、はるばるようこそいらっしゃいました。
どうぞ、短い時間ですが楽しんでいってください。
ひかり ありすちゃんありすちゃん。
アリス なんです。ひかりさん。
ひかり ちょっと気になったこと聞いていい?
アリス 今?
ひかり 気になったから。
アリス 後にしなさいよ。楽屋戻ってから話し聞いてあげるから。(と、観客に)すいません、自由な子なんで。それにしても、春ですね。春といえば桜。私好きなんですよ。ひかりさんは? ひかりさん?
ひかり ごめん。聞いてなかった。
アリス そうだね。気になっちゃうと、人の話聞かないですものね。仕方ない。(と、ひかりに)さ、どうぞ。
ひかり 「はるばる」って何?
アリス え?「遠路はるばるようこそ」なんて聞きません?
ひかり 聞かない。あ、でも、遠路はわかるよ。ロング・アウェイ!
アリス なんで英語にした?
ひかり 英語が喋りたかった!
アリス (観客へ)こういう自由な子なんです。
ひかり というかさ、なんで「はる」を重ねる必要があるの? おめでたい感じなの?
アリス ん? ひかりさん、はるばるの「はる」をなんだと思ってます?
ひかり 「春」でしょ? ロング・アウェイ、スプリング・スプリング! わかった! 一年かかったんだ!
アリス ん? ん? なんです?
ひかり 遠い道だから、春に出発して、スプリングについた!
アリス うん。もうそれでいいです。えーでは、桜といえば花見ということで、花見にちなんだショートコントを、
ひかり ちょっと待って!
アリス なんです?
ひかり さすがのあたしもわかるよ。今の解釈が間違っていて、流そうとしていることくらいはね!
アリス 気づきましたか。
ひかり 気づいた。そして、少し傷ついた。
アリス ごめん。馬鹿だから気づかないと思った。
ひかり 謝罪の言葉が酷い! それで、はるばるってどういう意味?
アリス はるばるの「はる」の字は「悠か」って書くんですよ。悠久の悠ですね。
ひかり アリスちゃん。UQだったら、「U」と「Q」だよ?
アリス もう面倒くさいんで、この話後でいいですか? というわけで、花見にちなんだショートコントを、

    と、一つ鐘の音が響く。アリスとひかりは固まる。

司会 おっとぉ。残念ながら「アリスちゃんとひかりさん」はここまでとなります。さぁ、ランダムに選ばれた観客達の反応から
  本戦に上がれるかどうかが決定する、高校生春の漫才甲子園予選。次の挑戦者――

    声が遠くなり、昼の景色となる。
    肩を落としたアリスとひかりがいる。


昼の公園。そこで二人は反省会をしている。

ひかり まただめだったね。
アリス うん。ごめん。あたしのネタのせいで。
ひかり そんなことないって。アリスのネタ面白かったよ。
アリス そうかな。
ひかり ちゃんと笑い声も聞こえたでしょ?
アリス あの笑い声、何処かで聞いたことあるんだよね。
ひかり え? どこで?
アリス 主にひかりの家で。
ひかり ……そういえば、あたしも聞いたことある気が。
アリス あれって、ひかりのお父――
ひかり 言わないで! あーあ。何も聞こえない。
アリス お父さんだよね。
ひかり 言わないでって言ったよね? 来ないでって言ったのに。
アリス ……ごめん。
ひかり なにが?
アリス 上に行けなくて。
ひかり あたしこそだよ。もっと練習付き合えば良かった。
アリス そんなことない。
ひかり まだ次があるよ、頑張ろうね。
アリス うん。
ひかり 野球の甲子園だって夏が本番だし。
アリス だね!
ひかり あたしたちにとって最後の大会だもんね。
アリス ……え?

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