チカちゃんとアクマ
チカちゃんとアクマ

登場人物
阿久津千夏(アクツチカ) 25歳。社会人
アクマ          人を堕落させるアクマ



        舞台は阿久津千夏の自宅。夜。電気は消えている。テーブルにクッション、最低限の家具、ノートパソコン。
        そこに千夏が登場。電話で喋りながら歩いている。

千夏  「うん。やっぱり出勤になった。だから来週は無理だね。え?」

        千夏、自宅に着くと話しながら部屋の電気を点ける。テーブルに座り、
電話を続ける。

千夏  「うーん、仕事終わってからって、かなり遅くなると思うし。わざわざ会わなくてもいいんじゃない。来月は少し仕事落ち着くと思うから、空けられるように調整するよ・・・ごめんね。じゃあまた連絡する」

        電話を切る。再び電話をかける千夏

千夏  「もしもし、課長ですか。阿久津です。来週日曜日の件、大丈夫です。はい。直接現地に向かいます。いえ、ご心配なく。仕事ですから。はい、では失礼します」

        千夏、電話を切る。その時、どこからともなく声がする。

アクマ  「ヒッヒッヒッ。毎日毎日、ご苦労なことじゃな」
千夏   「え?」

        アクマ、登場。黒づくめの服に、なぜかリュックを背負っている。

千夏   「・・・誰?」
アクマ  「ワシは、アクマじゃ」
千夏   「・・・アクマ?」
アクマ  「さよう。ワシはアクマ。この世ならざるものじゃ。貴様に用があってやってきたのじゃ。ヒッヒッヒッ」

        おどろおどろしい様子で近づいてくるアクマを、千夏はクッションで思
いっきりひっぱたく。

アクマ 「いたっ」

        千夏、追撃。アクマはおどろおどろしい喋り方をやめる。

アクマ  「痛い!痛い痛い。ギブギブギブ」

        千夏、携帯で電話をかける。

千夏   「もしもし、警察ですか。家に変質者がいます」
アクマ  「変質者じゃないよ。アクマだよ」
千夏   「頭のおかしい変質者がいます。はい、住所は・・・」
アクマ  「おかしくないよ。失礼だな」
千夏   「とにかく、すぐ来てください」(電話を切る)
アクマ  「ああ、痛い。暴力的だなあ」
千夏   「すぐに警察が来るわ。大人しくしてなさい」
アクマ  「警察呼ぶなんて、無駄なことするね」
千夏   「無駄?」
アクマ  「あ、無駄って言葉はやっぱり嫌い?」
千夏   「どういう意味よ。警察呼ぶのが無駄って」
アクマ  「警察なんかにアクマが捕まえられるわけないでしょ」
千夏   「何が悪魔よ。馬鹿馬鹿しい」
アクマ  「頭が固いなあ、チカちゃんは」
千夏   「ちょっと。なんで私の名前」
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