黒板消し挟んだの、誰?

(こくばんけしはさんだのだれ?)
初演日:2019/3 作者:聖霊高校演劇部
聖霊高校演劇部作 黒板消し挟んだの、誰?

キャスト
○生徒達
里香   いたずら好きな高校2年生。
咲良   里香と同じくいたずら好きな高校2年生。
美咲   里香と咲良の友人。色々あって3か月ほど学校に来ていない。
聡子   3人の同級生。クラス役員。

○先生達
山下   新人の女性。怖がりで、1人で週番に回るのも怖い。働きに来ているとは思えない服装に濃いメイク。頭には大きなリボン。実は怪力。
加藤   里香、咲良、聡子の担任。若い静かな感じの女性。普通の人。
鬼塚   生徒指導の怖い先生。男性。山下先生が好き。無駄に熱いオールバックの脳みそ筋肉。青髭、ケツアゴ、眉毛がつながっている。
高木   学年主任。さばさばしたおばさん。
校長   大分年のいったおばあちゃん。
教頭   校長の腰巾着。超嫌味。

舞台配置
舞台上教室。上手と下手にドア。教室のほぼ中央にロッカー。ロッカーは壁側が開くように作り、途中でパネル側に出入りできるようにしておく。下手側教卓の近くに台があり、花の刺さった花瓶が2つ置かれている。教室には机といすが並んでいる。













1場 里香と咲良
里香が花の刺さった花瓶を教卓近くの棚の上に置く。棚の上には花の刺さった花瓶が既に一つ置かれている。花瓶を置いた里香は、下手側の扉から廊下を覗いた後、扉の上に黒板消しを挟み、ロッカーに隠れる。下手側廊下から歩いてきた咲良が扉を開けると、黒板消しが落ちてくる。

咲良   キャ!

    黒板消しを手に取り溜息をついて。

咲良   まったく…里香。またあんたでしょ。わかってるよ。

    返事がない。

咲良   里香〜、隠れてるのわかってるよ。どこかなー。

わざとらしく教室の中を少し探し回る。その間にポケットからゴムのゴキブリを取り出し、黒板消しの上に置く。最後にロッカーのあたりに来て。

咲良   入ってますか〜。

    咲良下手側ロッカーのドアをノックするが反応がない。
    上手側のドアをノックすると、中から2回たたき返してくる。
    咲良上手側ロッカーのドアを開ける。

咲良   またドアに黒板消し挟んだでしょ。何度めよ。
里香   ゴメンなさ〜い。
咲良   まったく。こんな古いいたずらもう誰も引っかからないよ。
里香   え、咲良今ひっかかったじゃん。
咲良   油断してたんだよ!あのね、明日からもう4月なんだよ。
里香   何?エイプリルフールの相談?
咲良   そうじゃなくて、2年生は今日までなんだよ。いつまでもこんな子供っぽいことしてちゃだめでしょ。
里香   はーい。
咲良   ほら、黒板消し拾って戻しなさい。
里香   なんか咲良今日怖いよ。美咲みたい。
咲良   いいから、早く。
里香   はいはい。

    里香黒板消しを拾おうとして上に乗っているゴキブリに気づく。

里香   ギャ〜!ゴキブリ!

    里香走って咲良にしがみつく。

咲良   も〜、里香は怖がりだなあ。

    咲良黒板消しのところに行き、ゴムのゴキブリをつまみあげる。

里香   え?すごい!
咲良   はい。

    咲良ゴムのゴキブリを里香に投げる。

里香   ギャ〜!ちょっと何すんのよ!?
咲良   よく見なよ。
里香   え?ん?あ、これ、おもちゃ?
咲良   いぇーい、引っかかった!
里香   ちょっと、いつまでも子供っぽいことしてちゃダメとか言ってたの誰?
咲良   今日までは高2だからOKなんだって。
里香   何それ。

里香はゴムのゴキブリを持って黒板消しを粉受けに置きに行き、無意識に黒板消しの上にゴキブリを置く。

咲良   あ、そうだ。美咲もひっかけようよ。
里香   また怒られるよ。
咲良   いいじゃん。今日で高2終わるんだから。いたずらできるのも最後かも知れな   いよ。
里香   確かに。じゃあ、また黒板消し挟んでおかないとね。
咲良   オッケー、じゃあすぐ探しに行こう。
里香   学校来てるといいけどねー。

    里香と咲良は下手側のドアから出ていく。出る時にドアの上に黒板消しを挟む。
    舞台上薄暗くなる。

2場   鬼塚(上手花道)

    上手花道に鬼塚が竹刀を持って現れる。
    出会った生徒を呼び止めて怒る。
    その間に下手花道教師たちがスタンバイ。

鬼塚   おい!お前!(通りかかった生徒のスカートの裾をつかみ、のぞき込むような姿勢で)スカート短くしてるだろう!今すぐ伸ばしなさい!何?背が伸び  た?じゃあ縮めて来い!あ!そこのお前!(通りかかった生徒の髪をつかみながら)髪の毛染めてるんじゃないか!?今すぐ帰って床屋で黒染めして来い!え?地毛?知るかそんなこと!日本の高校生はなあ、全員黒髪って決まってるんだ!嫌なら坊主にしろ!あ〜!(通りかかった生徒の耳たぶをつかみ引っ張り上げながら)お前その耳たぶ見せて見ろ!ピアスの穴じゃないか?え?ほくろ?なんでそんな場所にほくろがあるんだ!教師に対する挑戦か!?今すぐ取りなさい!

    会場を見る。

鬼塚   全く。最近の高校生は少しでも休みになるとすぐ髪は染めるしピアスは開けるし、スカートは短くするしマニキュアは塗るし。一体何しに学校に来てるんだ。チャラチャラしやがって。いいか!学校っていうのはな、遊ぶ場所じゃない!教室で切磋琢磨して勉学に励み、教師や先輩から上下関係を学んで、爽やかに汗をかきながら体を鍛えるための場所だ!おしゃれだの、遊びだのは、一切要らん!恋愛?そんなもの、口にするのも汚らわしいわ!んん?会場にも春休みで気の緩んだ高校生がいっぱいいるんじゃないのか!今日も、終わった後近くでデートとかふざけたこと考えてるんだろ!なに?近くにはコンビニしかない?そもそも相手もいない?だろうな。そのツラじゃあ。とにかく、生徒指導の鬼と呼ばれるこの鬼塚がいる限り、学校の風紀が乱れることは絶対に許さないからな。場転のための時間稼ぎキャラだと思って甘く見るなよ!え?何?場転はとっくに終わってる?そうか。じゃあ、また後でな!

    上手花道消える。鬼塚教室の廊下を通り下手花道に向かう。

3場職員室
下手花道。机と椅子が置かれていて、先生たちが座っている。鬼塚の席の部分だけゴミの山。机の脇に山下が立っている。肩に懐中電灯を下げ、手には週番で使う板がある。

山下   絶対無理ですう〜!
高木   ちょっと山下先生。そんなに怖がらなくても大丈夫よ。
山下   やっぱり無理です!夕方の学校一人で見回るなんて!怖すぎます!
加藤   山下先生。夕方って言うけどまだ4時ですよ。全然明るいから大丈夫ですって。
山下   明るくても人がいない校舎とか怖いです!
高木   あのねえ。これから先教師やってたら一人で学校の見回りすることなんて何回もあるのよ。真っ暗な時間にやることだってあるんだから。
山下   そんなの絶対無理です!怖くて死んじゃいます!
高木   私この学校に長いこといるけど、怖いことなんか何もないから大丈夫よ。ねえ、加藤先生。
加藤   え?はい。あ、山下先生。この時間だったらまだ生徒ちらほらいるから。部活の子とかいるんじゃないかな。
山下   それも怖いです!
加藤   え?
山下   ばったり出会ったら私絶対叫んじゃいます!
高木   もう…。

    鬼塚職員室に入ってくる。

鬼塚   高木先生、どうかしましたか?
高木   いやあ、山下先生が週番で見回りに行くんですけど、一人じゃ怖いとか言い出して。
山下   私、一人だと怖くてさびしくて死んじゃいますう!誰かついてきてください〜。
鬼塚   あ、じゃあ俺が!
高木   ちょっと。山下先生はもう大人なんだから。山下先生。これから先そんなんじゃ困るでしょ。練習だと思って行ってきなさいよ。
山下   でもでも、お化けが出たらどうするんですか!?
鬼塚   この鬼塚がぶっ飛ばしてやりますよ!
高木   大丈夫、お化けなんか出ないから。
山下   でもでも、生徒がいるかも知れないんですよね!いきなり出てきたら心臓止まっちゃいます!
鬼塚   それも、この鬼塚がぶっ飛ばしてやりますよ!ほら、やっぱり俺がついてった方がいいんじゃないっすかね?
山下   鬼塚先生!
高木   鬼塚先生はまだできてない仕事がいっぱいあるでしょ。
鬼塚   え…そっすか?
高木   学年末の出席の集計した?
鬼塚   いいえ。
高木   来年度のクラスの名簿作った?
鬼塚   いいえ。
高木   保護者会の案内作った?
鬼塚   いいえ。
高木   ほらね。何もしてないじゃない。そっちが先です。
鬼塚   いやあ、自分は生徒指導で忙しかったもので。
高木   書類作りも教師の大事な仕事ですから。ほら、早く終わらせて。
鬼塚   はい…。
高木   山下先生、じゃあお願いね。何かあったらすぐ呼んでくれればいいから。
山下   はい…。じゃあ、行って来ますぅ…。

    山下おびえながら職員室を出る。先生たち、仕事をしながら雑談。

高木   それにしても、毎年年度終わりは仕事が多いね。色々あったけど、今年も一年あっという間だったなあ。
加藤   私は、今年度が終わるの嬉しいです。
高木   ああ、加藤先生は大変だったものね。でも、明日からは新しいクラスだから、気持ち切り替えなきゃだめだよ。
加藤   はい。ありがとうございます
鬼塚   あー、間違った!クソ!

    鬼塚立ち上がり書いていた書類を破り捨てる。

高木   あ!ちょっと鬼塚先生それとっとかなきゃいけない書類!
鬼塚   ああ!しまった!

    加藤少し笑う。

高木   もう。ほらテープで貼って直しておいて。
鬼塚   すみませんでした。

    校長と教頭が花道に出てくる。

教頭   ずいぶんと賑やかだこと。
高木   あ、教頭先生、どうもお疲れ様です。
教頭   先生方、楽しそうにお仕事されてますわね。そんなにおしゃべりしていられるほど、お暇なのかしら?うらやましいわ。この忙しいはずの時期に。
鬼塚   いや、別に暇なわけではありませんけどね。ただ、年度末は面倒な事務仕事が多いですからね。少しでも楽しくやらないと。
教頭   面倒な事務仕事?
鬼塚   ええ。
教頭   面倒とは何事ですか!私達教師が行う仕事は全て教育のためです。ご自分が、教育という偉大で崇高な使命を託された聖職者であるという自覚が欠けてらっしゃるんじゃありませんの?
鬼塚   いやそんなつもりでは…。
教頭   ではどういうおつもりだったか、5000字以上でまとめて今日中に私まで提出して下さい。
鬼塚   今日中ですか!?まだやらなくてはいけない仕事がたくさんありまして…。
高木   教頭先生、鬼塚先生は今時間がないので…。
教頭   だから、私に出す報告書なんてバカバカしくて出せないとおっしゃりたいの?それでもあなた教育者?出していただけないなら、教育委員会に職務怠慢として報告させていただくまでですから。
高木   いや、バカバカしいなんて思っていません。ただ…。
教頭   言い訳は結構です。高木先生。学年主任として、いや、教育者として、このだらしない担任団の雰囲気をどう思ってらっしゃるか、5000字以上でまとめて今日中に私まで提出して下さい。
高木   ・・・はい。

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム