ラブソング

(らぶそんぐ)
初演日:2017/3 作者:いなだ007
ラブソング
作・いなだ007

〈登場人物〉
HA62―21(ハナ)…文書作成ソフト。故郷・小惑星ライカに向けた報告書を作成するのが仕事。報告書の一時保存ディスクを背負わせたい。ライターとか新聞記者とかのイメージ。
FUM466―323(フミノ)…メールソフト。ハナが作成した報告書を送信するのが仕事。座標の計算をするのが得意。いつもカチューシャをつけている(アンテナのイメージ)。エンジニアとかプログラマーとかのイメージ。
EI56―23(エイコ)…映写機。いつも持っているメッセンジャーバッグの中にケーブルが入っていて、それでツヅルと接続することによりいろいろ再生できる。役者のイメージ。
TSU9878―4232(ツヅル)…データディスク。常に喋らない人。手にはスパナを持っている。白パジャマが良い。手首にケーブルとの接続装置がついている。書記官のイメージ。

※登場はしないけど、名前だけ出てくる※
TAK864―213(タクミ)…舞台効果。登場人物の指示に従って発生する照明・音響効果そのものを役と見立てたい。舞台端に照明を一灯入れておいて、タクミが生きている間は点けておく。
EN66―32(エノン)…漫画家。ハナの報告書の添付ファイル係の一人で、イラスト関係を担当している。新聞の4コママンガのイメージ。ちなみに、エノンの他にも何人か添付ファイル係は居た設定。

〈Scene1〉
舞台はロケットのコックピット。奥に段差がある。
さまざまな大きさの箱でごちゃごちゃしている。
箱の一部は階段になっていて、段の上に登ることができる。
メインの仕事スペースが舞台手前、サブスペースが段の上。

舞台装置・衣装は真っ白な感じで統一したい。各登場人物にテーマカラーを決めて、それぞれの小道具だけはその色で目立たせる。

客入れ曲とC.Fで、電子音(モールス信号みたいな)。
照明C.I。
舞台奥中央にハナ。体操座り。電子音C.O。

ハナ :…報告書。2713、15、21。
こちら、宇宙探査機フラワーアレンジメント。HA62―21より、小惑星ライカへ通信中。聞こえますか。聞こえますか。どなたか、こちらを受信の際は応答願います。

ハナ :フミノー!フミノー!!

ハナが立ち上がって呼ぶと、フミノが現れる。

フミノ:何―?
ハナ :今日の分できたー。送ってー。
フミノ:分かった(面倒くさそうな顔)
ハナ :今すっごい面倒くさそうな顔したー(笑って)
フミノ:だって面倒くさいもん。
ハナ :…言うほど面倒じゃなさそうだけどねー
フミノ:どうせ返事来ないし。
ハナ :んー…ほら、もしかしたら、さぁ、
フミノ:そう言ってどれだけ経つと思ってんの…
ハナ :まぁねー…
フミノ:報告書はそれで完成?添付ファイルは?
ハナ :頼んである!エノン兄ちゃんー、できたー?

ハナ、舞台袖に向かって呼びかけると、袖からマンガ本が投げ込まれる。ハナがキャッチする。

ハナ :さすが兄ちゃん、仕事が早い♪

ハナが褒めると、エノンが返事をする。腕だけ舞台袖から出して、親指立てるとか、ピースとか。褒められて喜んでるのが伝わればOK。
ハナ、パラパラとページをめくってチェック。覗き込むフミノ。

ハナ :うん、おっけー!これで!
フミノ:はいよ。
ハナ :(マンガ本をリュックに仕舞う)…よし、準備完了!

ハナ :今日少ないからさ、この前のあれでいいんじゃない?短いやつ。
フミノ:短縮URL?
ハナ :そうそう。
フミノ:あれは文章量で決めてるんじゃないよ。今日は使えない。
ハナ :そうなの?
フミノ:隣で見てて、分かんないもん?
ハナ :分かんない。
フミノ:(何だか得意げに)短縮URLを使えるかどうかは、ここの座標とあんたの語り出しのパターンと送信時間帯を掛け合わせたW3係数のうち、下25ケタの合計数で決まる。今日の場合は送信時間帯が91.345だから、他の条件がどうなったとしてもW3係数は/
/ハナ :わー!もういい!
フミノ:え?
ハナ :分かんないから。
フミノ:いや、これ基礎の基礎。
ハナ :時間帯が悪いのは分かった、遅くなってごめん。
フミノ:別に悪かないよ。これが仕事だから。
ハナ :そっか。
フミノ:あたしは裏方だから。あんたのサポート役。
ハナ :…ありがと。
フミノ:(ハナのディスクをチェックして)じゃあこれそのまま送るよ。
ハナ :お願いしまーす!

フミノ、軽く準備運動。横で眺めるハナ。
フミノ、息を大きく吸って。

フミノ:あー。あーあーあー。テス、テス。あー。あーあーあー。うん、良し。
ハナ :よっ!待ってました!

フミノ、データ送信のために座標の計算をする。

フミノ:7!13629!4820592!

ハナも真似する。

フミノ・ハナ:7!13629!4820592!

フミノ:412639575910897!
フミノ・ハナ:412639575910897!

☆フミノ:9!
☆ハナ :あ!
フミノ:何?
ハナ :いいこと思いついたー♪ たっくんー!

舞台上方に向かってハナが呼びかけると、照明がカラフルな感じに変化し、メトロノームの音が流れ出す。

フミノ:お、タクミすごいじゃ〜ん(舞台上方へ)
ハナ :乗ってきた?
フミノ:乗ってきた乗ってきた。
ハナ :やったね!
フミノ:…よし、じゃあ最初から!
ハナ :うん!
フミノ:いくよ!

フミノ:7!13629!4820592!
フミノ・ハナ:7!13629!4820592!
フミノ:412639575910897!
フミノ・ハナ:412639575910897!

ここからはユニゾンで。
途中からだんだん人が増える。
最終的に、舞台中央にハナ・フミノ・エイコ・ツヅルが横並びになる。

フミノ・ハナ:9!68740!3985166!
フミノ・ハナ:839201658309338!
フミノ・ハナ・エイコ:6!20144!9362611!
フミノ・ハナ・エイコ:120439583562487!
フミノ・ハナ・エイコ・ツヅル:5!76933!9415668!
フミノ・ハナ・エイコ・ツヅル:281477639712319!
フミノ・ハナ・エイコ・ツヅル:2319!2319!2319!2319!

暗転。

〈Scene2〉
オープニング。
音楽C.I。

ここで映像を使いたい。
メンバー紹介と、キャラクターの本名(英数字のやつ)をお客様に見せたい。
こんな流れをイメージ。アニメのOPみたいな感じが理想。
映像とキャストが同時に舞台に出てても素敵だし、映像だけでも素敵。

?@何か宇宙感のある絵とか。
?A文字「出演」
?B「HA62―21(ハナ)…(役者名)」
?C「FUM466―323(フミノ)…(役者名)」
?D「EI56―23(エイコ)…(役者名)」
?E「TSU9878―4232(ツヅル)…(役者名)」
?F「スタッフ」
?G「照明・音響・衣装・小道具etc.…(各担当者名)」
?H「劇団名」「第〇回公演」「作 いなだ007」「演出」「「ラブソング」」

曲終わりと同時に全てC.O。暗転。

〈Scene3〉
照明C.I。
別の日。同じくハナとフミノが報告書を送信し終わったところ。
後ろでくつろいでいるエイコと、後ろを向いて寝そべっているツヅル。

フミノ:送信完了!解散!!
ハナ :かいさーん!

エイコ:…解散って、二人だけどね。
ハナ :今日はエイコちゃんとツヅルくんも居るじゃーん♪
エイコ:私達、別に何もしてないけど。
ハナ :ここに居てくれるだけで違うんだよー?
フミノ:あたし的には解散だからいいの。
エイコ:解散ってどっか行くの?
フミノ:別にどこにも。
エイコ:え?
フミノ:業務終了ってこと。
エイコ:分かるような、分かんないような。
フミノ:別にいいよ、何となく伝われば。
ハナ :つまり、ここからはアフターファイブってことでしょ?
フミノ:そそ。
エイコ:お!奇遇ですねー。私達もアフターファイブですよ?
フミノ:あんたらはいっつもアフターファイブでしょ。
エイコ:仕方ないじゃない?仕事相手が居ないんだから。
フミノ:知ってて言った。
エイコ:知ってるなら言っちゃダメ。
フミノ:はいはい。

ハナ :エイコちゃん、仕事する?私、付き合うよ!
エイコ:ハナちゃんも飽きないね。
ハナ :ライカいいとこだもん。報告書の返事をもらうのが、私の夢だから。
エイコ:私のご案内でそう思ってもらえるのは嬉しいけど。
ハナ :へへへ。
エイコ:よし、じゃあ10847回目のリハーサル、やりますか!
ハナ :わーい!
エイコ:ツヅル、いい?

ツヅル、腕をエイコの方へ突き出す。

エイコ:OKだって。
フミノ:…もしかして、あたしも参加?
ハナ :もちろん!
フミノ:まじかよ…

エイコ、突き出されたツヅルの腕に、メッセンジャーバッグから出したケーブルを結び付ける。

エイコ:準備完了!(舞台上方へ)タクもよろしくー。

照明がチカチカし、ピンポーン、みたいなSE(準備OKのサイン)。

〈Scene4〉
照明変化。
音響C.I。
音響、ピコピコした感じの電子音。8bit曲とか。

劇中劇?@。小惑星ライカの誕生〜発展について。

エイコ、ハナ・フミノ・ツヅルを所定の位置につかせた後、中央へ。
エイコ、息を大きく吸って。

エイコ:時はボイジャー21暦、18億年前のこと。場所は此処より遥か彼方、シキ系第7小惑星。こちらの小型宇宙探査機、フラワーアレンジメントの故郷。名前をライカと申します、小さな惑星の物語(何となく講談調とか)。

エイコ:申し遅れました、私小惑星ライカの王女にして、今回のご案内係、スプートニクでございます。約5分程度の自己紹介、どうぞお付き合い下さいませ。
ハナ :はーい!(にこにこ)

エイコ:今回の上演につきまして、少しお願いがございます。お客様(ハナ)、お客様(フミノ)、少しご協力いただけますか。
ハナ :喜んで!
フミノ:あー、はいはい。

ハナ、フミノ、エイコに中央に連れてこられる。

エイコ:お客様(ハナ)は隕石コニカ、お客様(フミノ)は隕石ミノルタでございます。私どもの故郷は、二つの隕石が合体して(ハナ、フミノと腕を組む)誕生した惑星ですので、様々な相反した特徴を持った生物が生まれました。

エイコ:(暑いときのように、ハナを手で仰いで)暑いところが大好きなのに、(ハナ、自分でも暑いときのような仕草)

エイコ:(寒いときのように、フミノの体をさする)寒さが無いと花を咲かせられない植物。(エイコ、フミノに寒そうなポーズをさせる。ハナはエイコを手伝う)

エイコ:(水中に潜っているときのように、ハナに鼻をつまませて)水の中でしか生きられないのに、(ハナ、泳いでいるようなパントマイム)

エイコ:(フミノをゆっくり見て無言の圧力をかけながら。ハナも加勢する。「フミノもやって」)陸でしか息ができない動物。(フミノ、それを見て嫌々ながら深呼吸)

エイコ:ちょっと不器用ではありますが、どれも愛らしい生き物ばかり。今のはほんの一例ですが、素敵な素敵な故郷で、

〈Scene5〉
エイコ:ん?ちょっと!ちょっとツヅル!

エイコの台詞と同時に照明変化。
音響C.O。
ツヅルがケーブルを引き抜いてしまう。

☆ハナ :え、何―?
☆エイコ:(ツヅルの元へ近付いて)何?ご案内は?
ツヅル:?
エイコ:(呆れつつ)今、ケーブル引っ張ったでしょ…もっと大事に扱ってって、こないだ話したよね…
ツヅル:(ハナを指差す)

ツヅル、ハナに近付いて「ディスクを貸してほしい」と合図。

ハナ :ああ!もうそんな時間か!
ツヅル:(頷く)
エイコ:あ、そういうことね。

エイコ、手際よくケーブルを片付け始める。
8の字巻きをやって頂けるとベスト。

フミノ:ん?

ツヅル、ハナのディスク・マンガ本を外し、持って去る。
段差をよじ登って、後方より退場。


面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム