笑い発電研究所

(わらいはつでんけんきゅうじょ)
初演日:2018/3 作者:Marilyn
笑い発電研究所




五十嵐 結衣(いがらし ゆい)<結衣>…23歳女性。

五十嵐 笑造(いがらし しょうぞう)<所長>…58歳男性。

青木 瑠璃子(あおき るりこ)<青木>…26歳女性。

要 裕子(かなめ ゆうこ)<要>…29歳女性。

森田 親太郎(もりた しんたろう)<森田>…28歳男性。

西部 太陽(せいぶ たいよう)<西部>…24歳男性。








1  舞台上にはでっかいエネルギー吸引機。テレビを見ている青木。手には吸引用の器具。


青木 わはははは!!やっぱ銀シャリ最高!*1



  テレビを止める。

  青木が吸引機のボタンを操作する。



青木 気圧1014.2、吸引量50、ワロテマウヤ量2000。よし、システムスタート。



  吸引機の動く音。要が出てくる。



青木 どうだったー?

要  うーん。前よりは発電効率上がったけど、まだ40%しか変換されてない。

青木 えー?まだそんなもんかぁ…

要  銀シャリじゃまだまだってことだね。

青木 銀シャリでダメならもうミキぐらいしかないんじゃない?

要  まあNON STYLEって手がなくもないけどね。

青木 NON STYLE使うのはちょっと怖いなぁ!

要  なんで?

青木 ワロテマウヤ量と一緒にイキリ指数上がっちゃうから、発電機が対応できないかも。

要  イキリ指数が上がったら危険なの?

青木 もうね、ドッカーン!って爆発する。

要  何が。

青木 私の人気が。

要  なんでだよ!!

青木 冗談冗談。でも発電に不要なものも吸引してしまうことは確かね。

要  へぇ?。

青木 にしても銀シャリ、ワロテマウヤ量2000もあるし、もうちょっと発電量高くなると思ったんだけどな?。

要  気圧も酸素濃度も問題ないから、機械の問題かもね。



  結衣が入ってくる。



結衣 あのー、すみません。

要  はい。

結衣 “笑い発電研究所”ってここであってますか?

要  そうですよ。

結衣 ああ、よかった。

青木 あの、どちら様ですか?

結衣 あ、私今日からここで働かせていただく、五十嵐結衣です。

青木 今日から働く??

要  そんなの聞いてた?

青木 いいや。

結衣 あれ?

要  面接とかした?

結衣 あ、えっと、こちらの所長に面接をしてもらって、採用していただきました。

青木 でもそれなら所長から電話来るはずだよね?

結衣 え、昨日ご連絡されたと伺ったのですが…

青木 聞いた?

要  ううん。

青木 てことは…。

要  森田ー!



  森田出て来る。



森田 やっほー!呼んだー?

要  所長から、今日新人さんが来るって電話来た?

森田 あー、言われてみればー…来た気がしなくもないかもなぁ。

青木 なんで早く言わないのよ!!

森田 わっすれてた?!

要  まったくこれだから森田は…

森田 ごめんごめん。で、その人が新人さん?

結衣 あ、はい!五十嵐と申します。

森田 五十嵐さんね。ワラ電へようこそ!

結衣 ワラ電…?

青木 笑い発電研究所だから、通称ワラ電。

結衣 はぁ。

要  そういえば自己紹介まだだったね。研究部長で、次期所長候補の要裕子です。

森田 そして私が世界的エンジニアの、ジョニーデップです。

青木 化学班のレディーガガです。

要  お前ら普通に自己紹介しろよ!!

青木 青木です!

森田 森田です!2人合わせて

青森 青森です?

要  なんだそのダサさ極まりないコンビ名は!てかいつからコンビ組んだんだよ!!

青木 今。

要  え。

青森 はいどーもどーも!(漫才を始めようとする)

要  ネタ始めんでいい!

青木 え?!

森田 せっかく新ネタ披露しようと思ったのにぃ。

青木 私たちにとって笑いは貴重な資源だというのに、それより自己紹介が大事だっていうの!?

森田 (要のマネ)まったく?これだから裕子ちゃんは?

要  馴れ馴れしく呼ぶな!

結衣 …皆さんいつもこんな感じなんですか?

森田 残念ながら…。

要  こっちの台詞だ。

結衣 トップレベルの科学者たちがいるって聞いていたので、ちょっと想像と違うんですよね…。

森田 そりゃあもちろん!世界最高トップレベルのサイエンティストうぎゃ!!

要  ちょっと黙ってようか?(さらにふざけようとする森田に技をかける)

森田 いてて!ご、ごめん!ごめんって!!

青木 ちょっと要さんったらなんてことするの!弱いものいじめするなんてひどいわ!!

森田 びえーん怖かったよー!

要  お前らすぐ漫才とかコントとか始めるのやめて…。

青木 それをやめたら私たちには何が残るって言うの!?

森田 …もう死んだも同然ってことだな…。(切腹のフリ)

青木 やだ!早まらないで!!

要  もうお前らいい加減にしろー!!



  所長が入ってくる。結衣は吸引機の影に隠れる。



所長 いやーみんな今日も元気だねぇ!

青木 あ、所長!

要  「元気だねぇ!」じゃないですよ。新人増えるんだったら研究部長の私にちゃんと教えてくださいよ!

所長 頼れる森田くんに伝えたからいっかなーと思ったんじゃが…

要  あいつのどこが頼れるんですか!

森田 ひーどい言われっぷりだぁ。

所長 許してちょんまげ?!

要  死語ですよ、それ。てかその鼻メガネいつまでつけてるんですか!

所長 これはわしの象徴の威厳…ん?あ、威厳の象徴なんじゃ!!

要  どこがですか!

所長 つけてる方が所長らしくてかっこいいじゃないか?!

要  ふざけてるおっさんにしか見えません。

森田 俺は似合ってると思いますよ!

所長 さすがは森田くんだぁ!飴ちゃんあげよう。

森田 やったー!

要  もうアホばっかりでついてけない…。

所長 アホちゃいまんねん

森田 パ?デンネン!!*2

森所 ワーッハッハッハ!

要  もぉ?…。

青木 でも賢そうな子でよかったです。

所長 そりゃあ、わが娘じゃからの。

全員 …え?

要  いま娘って言いました?

所長 ん?そうじゃよ?

全員 ええー!?

青木 娘さんがいたのは知ってたけど…

要  まさかもうこんな大きくなってたとはね…。

森田 まあ「井の中の蛙大海を知らず」って言うからなぁ。

要  それ使い方違うから。

所長 わしももう定年まで長くない。だからわしの代わりとして、ちょうど良いと思っての。

要  そうだったんですね。

所長 だからみんな、ふつつかな娘じゃが、ビシバシ仕事を教えてやってくれ!

森田 わっかりましたぁ!

所長 じゃあよいお年を?!

要  来年まで来ないつもりですか!



  所長はける。結衣元の位置に戻る。



要  あんなお父さんじゃ大変そうだね。

結衣 (苦笑い)そうですね…。

森田 所長って家でもあんな感じなの?

結衣 あぁ、はい…。

青木 ねぇ、お母さんはどんな人なの?

結衣 母はとてもやさしくて、いつも明るくて、笑顔のステキな人でした!

要   “でした”って?

結衣 …5年前に交通事故で亡くなったんです。

青木 あ…そうだったんだ…。ごめんなさいね。

結衣 全然!気にしないでください!



 結衣自然に吸引機の前に行く。



結衣 みなさん、これからよろしくお願…ウワーッハハハ!!

要  え、どうしたの。

結衣 ギャハハハハ!!!(大爆笑)

青木 そんなに私の顔変かしら。

結衣 ち、ちが、アハハハハ!!

森田 あ、わかった。



  森田工具を持ってきて吸引機をいじる。



森田 あ、ここちょっと緩んでるわ。このボルトがダメなのか。



  森田しばらくいじるが、その間も結衣大爆笑。



森田 よし、これでOK!

結衣 (笑い収まる)はぁ、ああ、助かったー…。

森田 ごめんごめん、笑いエネルギーがちょっと漏れてたみたい。

青木 あーだからさっき数値低かったんじゃない??

要  なるほど!てか、機械の点検は森田の仕事だよね?

森田 すんませーん。

結衣 けどあんなすぐに直せるものなんですね。

森田 やっぱ俺のここ(腕)、かな。

青木 森田はこう見えてエンジニアとしての腕はすごいもんね。

森田 どやさっ!!

結衣 そういえば、笑いエネルギーってなんですか?

森田 説明しよう!!

青木 近年、原子力発電所の事故などによって、安全で自然に優しいエコパワーが注目されてきています。

要  そんな中私たちは、生物にまったく悪影響がなく、資源の底がつかない新たなエネルギーを発見し、それを使った発電方法を研究しているんだ。

結衣 へぇ。

森田 その名も、「笑いエネルギー」。その名の通り、人が笑った時に発生するものなんだ。

結衣 それって熱エネルギーですか?運動エネルギーですか?

要  いや、「笑いエネルギー」なんだ。

結衣 え?いやいや、そんなの聞いたことないですよ。

青木 それを見つけちゃったのよね?。

森田 ほら、大爆笑した後ってめちゃくちゃ疲れるだろ?あれは運動エネルギーとともに笑いエネルギーも発生してるからなんだ。

結衣 はぁ…。

森田 今君が爆笑してしまったのも、体が笑いエネルギーを吸収してしまったからなんだぜ。

結衣 あー、なんとなくわかったような気がします。

要  じゃあ機械とかの説明は私がしておくから、2人は仕事に戻って。

森田 え?!説明のお陰で仕事サボれると思ってたのにぃ。

要  そんな気がしたから言ったんだよ。ほらさっさと持ち場に着く!

青木 しゃあない森田、仕事よ。

森田 ぶぅ。



  青木パソコンの前に座る。森田機械の点検を始める。



要  で、えーっと…結衣でいい?

結衣 あ、大丈夫です!

要  そう。じゃあ結衣、白衣は持ってる?

結衣 あ、はい!あります。(カバンから取り出す)

要  OK。まずこれはエネルギー吸引機。これは人の発する笑いエネルギーを吸引して、貯めておく機械なんだ。笑いエネルギーは気圧とワロテマウヤ量によって決まる。

結衣 わ、ワロテマウヤ量…?

要  笑いのレベルみたいなもんだよ。

結衣 はぁ…。

要  まずこの研究員証をここにかざして起動させる。研究員証はもらった?

結衣 はい!

要  それからダイヤルを調整して、この吸引用パイプから笑いを取り込む。

結衣 あ、これ外にも繋がってましたね!

要  そうそう。ここにあるのは実験用で、 実際の発電はこの町の人たちから笑いをもらってる。このボタンでどの地域のパイプから取り込むか選べるんだ。

結衣 へぇ?。

要  そこで1番大事なのは吸引量の調節。取り込む笑いの割合なんだけど、これを80以上にしてしまうと町中の笑いを完全に奪ってしまうことになる。

結衣 ええっ!てことは笑いのない世界になるってことですか?

要  イグザクトリー。

結衣 怖っ!

青木 昔誰かさんがやらかしてねぇ。

結衣 え、それって誰…

森田 (かなり食い気味で)ええ!誰がそんなこと!!

全員 ……。

森田 …すみません。俺です。

結衣 ええー!どうなったんですか??

要  まあ実験の時だったんだけどね。

青木 実験台として吸引用パイプを持っていた要さんが…!!

結衣 ええ!

青木 …まあどうでもいい話よ。

結衣 えー!なんでそこでやめちゃうんですか?!

森田 ちょっと壮絶すぎてお子ちゃまには教えられねぇんだなぁ…。

結衣 ちょっと教えてくださいよー!!

青木 ほら、要さんの説明終わってないよ。

結衣 うぅ気になる…。

要  だから吸引量は基本50。覚えといてね。

結衣 わかりました。

要  じゃあ次は奥にある発電機の説明しようか。付いてきて!

結衣 はい!



  要と結衣はける。



森田 …要がどうなったか覚えてる?

青木 忘れた!!

森田 俺も!!


  暗転。




2  明転。要、青木板付。結衣が入ってくる。



結衣 おはようございまーす。

青木 あ、結衣さんおはよー。

要  おはよう。

結衣 あれ?森田さんはおられないんですか?

要  そういえばまだだね。

青木 (時計を見て)そろそろじゃない?

要  そうだね。

結衣 何がですか?



  要 壁にあるボタンを押す。

  ものすごい変な音が大音量で流れ出す。



結衣 うわっ!なんですかこれ!!

青木 まあ朝礼の代わり的な?



  森田が出てきてボタンを押す。音が止まる。



森田 あーよく寝た!みんなおはよう!

結衣 え?寝てたんですか!?

青木 森田ここに住んでるから。

結衣 住んでるんですか!?!?

森田 機械工は24時間営業だからね?!

要  住む家ないからだろ。

結衣 そうなんですか!?!?!?


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