子羊の死と心

(未上演短編)

(こひつじのしとこころ)
初演日:0/0 作者:仲原時雨丸
羊の死と心

子羊
死神
美加登
真迦

    舞台上に等身大の人形が佇んでいる。
    それを眺める子羊。
    死神現れる。

死神   お迎えに上がりました。
子羊   うん。
死神   辛かったですか。
子羊   ううん。
死神   苦しかったですか。
子羊   ううん。
死神   どうして、あなたは。
子羊   死んだら終わりやかんね。

    笑う子羊。
    それを正視できない死神。

子羊   ただ、終った、終わりって気持ちだけが残ってるだけなんよ。
死神   でも、あなたは、あなたには。
子羊   それはいい訳なんよ。今では。
死神   違う!
子羊   不思議な人。
死神   いえ、これでも末席に連なる神ですよ。
子羊   だからかな。なんか違うもん。
死神   そうですか。でも、私は。
子羊   いいねんって。私はさ、昔からグズでノロマなトンチンカンやから、小さいころ  からいじめられとった。アホいうんかな。小突かれて、蹴られて、いじわるされ  て、何でやろって泣いてばっかりやった。
死神   だから。
子羊   うん。だからなんでもさせてあげた。笑いもんにされてるんも知ったし、でも、  私が笑わせてると思ったら、それでよかってん。男なんか特にそう。何でもして、  何でもさせてあげたら、受けてあげたら、優しかったんよ。温ったかかったんよ。  うれしかった。何か、こんなアタシでもって、でも、長くは続かへんかった。何  してあげても、何させてあげても、やっぱり小突かれた、ののしられた。昔みた  いに、グズ、ノロマ、アホ、ボケ、カスって。殴られたり、蹴られたり、頑張っ  たし、一生懸命やったんやけど、あかんかった。でも、殴られて、ののしられた  りしたあと、その人が、少し緩んだっていうか、スーッとした顔してて、あたし  はやっぱり、こういうのがやくめやったんかな。これがアタシの。生きてる。
死神   絶対に、違う。

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