プロポーズ

(ぷろぽーず)
初演日:2010/4 作者:山口敦史
【登場人物】

銀ノ丞(大御所声優)
太田黒(脚本家)

勇次郎(銀ノ丞一座の劇団員)
樹里亜(銀ノ丞一座の劇団員)

超新星(銀ノ丞のマネージャー) 
百合鴎(銀ノ丞一座の新人劇団員) 

小宮山さん(プロデューサー) 

いづみ(劇団たんぽぽ)





S1 小宮山さん

クラシック音楽が流れている。
舞台上に小さいステージ。ロミオとジュリエットの人形劇のリハーサル中。
ステージ横に声を担当する男2人と女1人。
それらを見守る脚本家と小宮山さん。

ジュリエット「おおロミオ、あなたは何故ロミオなの?」
爺や    「ロミオなんて男は忘れてしまったほうがいいですじゃ」
ジュリエット「でも、私はロミオを。ロミオだけを愛しているのよ」
爺や    「わかっておりますじゃ。でも・・・」
ジュリエット「(ロミオを発見して)ねえ爺や、ちょっと水を汲んできてもらえる?」
爺や    「はい、かしこまりましたですじゃ」
ジュリエット「ロミオ、そこにいるのね」
ロミオ   「ジュリエット、俺と一緒にあの森を越えて、新しい町へ行こう」
ジュリエット「そんな、急に言われても・・・」
ロミオ   「もう、離れ離れは嫌なんだ。さあ、行こう!」
ジュリエット「・・・はい!」

銀ノ丞  よし、ここまでにしよう。ミーティングするぞ〜。
一同   はい。

小宮山  え?最後までやらなくていいんですか?
太田黒  最後までやっちゃうと、リアリティがなくなっちゃうんです。
小宮山  リアリティ?
太田黒  セリフがね、自分の言葉じゃなくなっちゃうんです。慣れすぎて。
小宮山  はあ
太田黒  座長の方針なんですよ
小宮山  へえ
太田黒  普通はCD使うんです。人形劇団って。
小宮山  あ、そうですよね?そのほうが楽ですもんね。
太田黒  今日は、この老人ホームでお世話になるじゃないですか?
小宮山  (いらっとして)ケアセンターね。
太田黒  (丁寧に)ケアセンター。で、明後日は長野の小学校なんです。
小宮山  へえ。
太田黒  お客様に合わせて、全体のテンポやバランスを変えるには、CDじゃ無理があります。
     だから、うちの劇団はCDを使わないで、生の声でやってきたんです。
     相手に合わせて、セリフも分かりやすく変えたり。あ、それは脚本家の私の役目ね。
小宮山  格好いい!
太田黒  え?
小宮山  格好いいですね。プロって感じで。
太田黒  あの、団長からこの話をまた聞くと思うんです。
小宮山  え?
太田黒  今日もたぶんそうなんですけど、飲みに誘われると思います。
小宮山  え?私?
太田黒  はい。打ち上げとかいって。
小宮山  打ち上げなら・・・
太田黒  参加しなきゃな、みたいになるじゃないですか。
小宮山  まあ、そうですね。一応、ここの担当者なので誘われれば・・・。
太田黒  来ないんです。
小宮山  ん?誰が?
太田黒  座長以外、誰も。
小宮山  え?
太田黒  でね、座長の「俺、わかってもらえないんだ」みたいな自嘲気味の話から始まって
小宮山  はあ。
太田黒  さっき、小宮山さんが「格好いい!」って言ったステキなお話につながるの。
小宮山  はあ。
太田黒  それが、あの人のテクニックだから、気をつけて。
小宮山  ・・・そんなんでどうにかなっちゃう人いるんですか?
太田黒  たまにね。
小宮山  え〜?
太田黒  独身でもないのにさ。
小宮山  え〜〜??奥さんかわいそう。
太田黒  でしょ?
小宮山  気づいてないんですかね?
太田黒  気づいてるよ。
小宮山  ええ?よく平気ですね。
太田黒  もう慣れちゃった。
小宮山  え?
太田黒  あ、私ね。奥さんって。

小宮山、太田黒去る






S2 超新星

銀ノ丞  おい、超新星、ちゃんと勇次郎のセリフに合わせろって。
超新星  あ、すみません・・・。
銀ノ丞  自分で分かってるよな、どこがおかしかったか。
超新星  はい。
銀ノ丞  そろそろ慣れてもらわないとさ。
超新星  すみません。
銀ノ丞  やる気はあるんだよなあ?
超新星  あります。
銀ノ丞  だよなあ。
超新星  はい。
銀ノ丞  向いてないのかなあ。
超新星  そんな!がんばりますから。俺、もうここしかないんです。サラリーマンもタクシーも
     ダメだったんです。だから、ここにいさせてください!
銀ノ丞  ん〜でもなあ・・・
勇次郎  座長、いいじゃないですか?だんだんあってきてるし。
銀ノ丞  まあな・・・もう同じミスはするなよ?
超新星  はい!・・・
銀ノ丞  不安なところがあったら勇次郎に聞いとけ。
超新星  はい!

超新星  すみません。
勇次郎  もういいって。
超新星  俺、だめですね。
勇次郎  そんなことないよ。
超新星  なにやってもうまくいかないんです。
勇次郎  何をやっても?
超新星  はい。タクシーのときなんて、ひどくて。
勇次郎  どんなカンジだったの?
超新星  値切られちゃうんです
勇次郎  え?
超新星  ナメられちゃうんです。
勇次郎  あ〜。
超新星  大阪のおばちゃん・・・怖い。
勇次郎  なんとなく想像できる。
超新星  ここでもミスばっかりだし。
勇次郎  最初はみんなそうだって。
超新星  そんなもんですかね?
勇次郎  そうだよ。がんばれ。
超新星  ・・・はい。
勇次郎  不安なところ、ある?
超新星  いえ、大丈夫です。
勇次郎  本当?
超新星  はい。
勇次郎  うん。じゃあ、準備だけ漏れがないようにね。
超新星  はい。あ、ちょっと、トイレ行ってきます。

超新星、去る






S3 百合鴎

百合鴎  あ〜あ、優しいんだ。
勇次郎  ん〜まあね。
百合鴎  ねえ、今夜飲みに行かない?
勇次郎  あ、いいね。みんなに聞いてみようか?
百合鴎  違うよ、二人で。
勇次郎  え?
百合鴎  明日の出発は余裕あるんでしょ?たまにはさ。
勇次郎  ん〜
百合鴎  前はさ、よく二人で抜け出したじゃん?
勇次郎  うん。
百合鴎  朝までつきあって
勇次郎  え・
百合鴎  なんて言わないから。
勇次郎  ・・・ごめん。
百合鴎  なに?樹里亜?
勇次郎  うん。
百合鴎  ふうん。まだ続いてるんだ。
勇次郎  まあね。
百合鴎  でもさ、一緒に飲むくらいいいんじゃないの?
勇次郎  いや・・・
百合鴎  嫌なの?
勇次郎  そうじゃくて。俺も嫉妬するほうだからさ。されたら嫌なことはしたくないんだ・・・。
百合鴎  そ。じゃあ、いいや。座長でも誘おうかな〜。
勇次郎  ごめん。
百合鴎  ・・・別に。
勇次郎  あ、あのさ
百合鴎  何?
勇次郎  ジュリエットの右手、ちょっと破れてたよ。
百合鴎  本当?
勇次郎  うん、さっき見えた。
百合鴎  わかった。ありがとう。
勇次郎  あのさ
百合鴎  何?
勇次郎  ・・・ごめん。
百合鴎  謝んないでよ。

百合鴎、去る






S4 樹里亜

樹里亜  あ、いた。
勇次郎  樹里亜・・・
樹里亜  ん?どした?
勇次郎  いや
樹里亜  あ、わかった。また百合鴎さんでしょ。
勇次郎  うん、まあ。

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