BigTree 〜大地讃頌〜

(びっぐつりー だいちさんしょう)
初演日:2012/11 作者:山口敦史
【登場人物】

ノア(noah) 大統領ウォルスの娘。植物遺伝子を持つ

アポロ(apolo) ウォルスの側近

ドグ(dog) アポロの後輩

サラ(salamander) 研究所所長。マリアの元同僚

ロビン(robin)  研究員。サラの部下。ノアの母親(マリア)のクローン

ゴウ(goat) 植物遺伝子を持つ、クローンの実験体

ライ(rhinoceros) 官房長官
ジル(armadillo) ライの部下
ホルス(horse) ライの部下
ファーシル(furseal) ライの部下

ティグ(tiger) モーテルのマスター
マナ(manatee) ティグの妻

リオ(lion) レジスタンスのリーダー。元宇宙船技師
ジャグ(jaguar) レジスタンスのメンバー
パン(panther) レジスタンスのメンバー
タッピー(tapir) レジスタンスのメンバー。パンの妹

エル(elephant) リオの妻

フラム(flamingo) 売春婦

オルフ(wolf) 郵便配達人

ボア(boar) 商人




S0 国の終わり

周波数の合っていない雑音
スポットライトに照らされる一人の人物、アポロ
無線機を抱えている

アポロ    CQ、CQ、聞こえますか?
       CQ、CQ、聞こえますか、この声が
       世界中で何かを守るために戦っているすべての人たちへ
       憎しみや恨みでは戦争は終わらない。すぐに武器を捨てるんだ
       その手は銃を握るためにあるんじゃない
       互いの手をつなぎ合うためにあるんだ
       子供たちの悲鳴を、大地の悲鳴を聞いてくれ
       愛を語る恋人の声を、子守唄を歌う母親の声を思い出してくれ
       俺たちは、争うために生きてるんじゃない

音楽

研究所内、官房長官ライが現われる

ライ     アポロ、やっと来たか
アポロ    ライ・・・こんなところまで呼び出して、何の用だ
ライ     久しぶりに会ったんだ。つれないことをいうな
アポロ    苦手なんだよ、この研究所は
ライ     ずいぶん活躍してるそうじゃないか?
アポロ    俺たちにしか出来ない戦い方があるんでね
ライ     軍人っぽくなったな
アポロ    政治家よりましだ
ライ     戦場の様子はどうだ?
アポロ    ひどいもんだ。もういくつかの国がなくなった。第二次大戦とは規模が違いすぎる
ライ     そうか
アポロ    お前のほうが詳しいんじゃないのか?
ライ     軍事には疎くてな。俺は政治家だ
アポロ    はっ。そんなんだから戦争が終わらないんだ。
ライ     ちゃんと俺たちを守ってくれよ?官邸にはお前の部屋も残ってるんだ
アポロ    いらねえよ
ライ     言うじゃないか
アポロ    で、親父がどうしたって?
ライ     ウォルス様はさきほど宇宙に上がられた。この国の指揮は俺がとることになった
アポロ    宇宙?何のために?
ライ     ウォルス様が戦火に巻き込まれては困る。
アポロ    聞いてないぞ
ライ     自分の部屋に戻らないから連絡も取れないんだ
アポロ    無線で呼び出せばいいだろう?
ライ     もうあきらめてるんじゃないのか?お前のことは
アポロ    おかしくなったのは親父のほうだ
ライ     俺たちは何も変わってないさ
アポロ    ・・・それで、今日は何の用だ?
ライ     お前たちには特別な任務についてもらいたい
アポロ    断る。まだ戦争中だ。部下たちも待ってる
ライ     お前のチームには解散してもらった
アポロ    なに?
ライ     ドグだけは呼んであるぞ。必要かと思ってな
アポロ    ここに来てるのか?
ライ     ああ。別の部屋に待機させてる
アポロ    呼んでくれ
ライ     その前に任務の話だ
アポロ    ドグに会わせろ
ライ     アポロ、任務の内容を聞け
アポロ    ちょっと待てよ。お前、言ってることが・・・
ライ     聞けと言っている!
アポロ    ・・・・・・さっきと態度が違うじゃないか
ライ     お前の聞き分けが悪いからだ
アポロ    わかった。説明しろよ
ライ     ・・・サラ、いるか
サラ     ここに
アポロ    ・・・
サラ     久しぶり
アポロ    ・・・ああ
ライ     クローン兵士たちの製造はどうなっている?
サラ     順調です。人工の子宮および成長促進装置の数はおよそ一千万。
       一年で約一億もの兵士が生み出されております
ライ     よし、そのペースを維持しろ
アポロ    おい、いまさらクローンの話か?
ライ     黙って聞け。・・・ウォルス様の考えていた砂漠の緑化計画は知ってるな?
アポロ    戦争が起こる前の話だろ?
ライ     その計画が花開いたんだ
アポロ    行ってる意味が分からねえ
サラ     私が生み出すクローンには植物遺伝子を組み込んでいる
アポロ    植物遺伝子?
サラ     彼らは光合成によって、二酸化炭素を食らい、酸素を吐き出すの
ライ     つまり、あたらしい生物ってわけだ
アポロ    ・・・
サラ     ちょうど新しい命が誕生するところよ。
       あなたも見ておいて。人間を超えた、新しい生命体の誕生の瞬間を

試験管と呼ばれる成長促進装置から這い出てくる命たち
ロビンが現われ、それらを連れて去る

アポロ    マジか・・・
ライ     アポロ、こいつらを砂漠に連れていけ
アポロ    なに?
サラ     彼らは数か月もたてば人間としての成長を終えて植物へと変化する
アポロ    変化ってなんだ?
サラ     植物遺伝子が人間のポンプで運ばれたらどうなると思う?体細胞は通常の数百倍の
       速さで核分裂を繰り返し、やがて身体は1本の木へと姿を変える
アポロ    植物に姿を変える人間・・・
サラ     人間とはいえないかもね
アポロ    ・・・それを、砂漠に連れて行ってどうするんだ?
ライ     わからないのか?こいつらを、植えるんだ
アポロ    植える?
サラ     彼らが植物に姿を変える兆が見えたら、砂漠へ連れて行って。砂漠に広がる地下
       水脈へと根を伸ばすはず。
ライ     こいつらが人間の姿を亡くしたとき、砂漠は森へと変わるんだ
アポロ    それまではどうすんだ?砂漠に何か月もいられないぞ
ライ     砂漠の東側にオアシスがあるだろう。そこに村があるはずだ。
       そこを拠点として使え。村人は全員殺してかまわん。
アポロ    ・・・なに?
ライ     レジスタンスを気取った連中が群れてるだけだ。それに邪魔なんだよ、人間は。
       自然を取り戻すためにはな。
アポロ    人間を殺して、化け物を育てろって事か?
サラ     そうよ
アポロ    おまえら・・・正気か?
ライ     もちろん
アポロ    いま、砂漠を緑に変えてどうする?戦争を終わらせることが先だろう
ライ     それはお前が考えることじゃない
アポロ    親父はなんて言ってる?
ライ     もちろん許可をいただいている
アポロ    証拠は?
ライ     ない
アポロ    なんで俺に・・・
サラ     あなたにはウォルス様の血が流れているんでしょう?
アポロ    だったらなんだよ?
サラ     砂漠の緑化はウォルス様の夢。あなたが実行するのがふさわしいと思ったの。
アポロ    断ったら?
ライ     殺されるだけだぞ、おまえと、ドグがな
アポロ    脅しか?
ライ     とんでもない
アポロ    ライ・・・
ライ     さあ、準備しろよ。砂漠の旅は大変だ
アポロ    ・・・
サラ     こちらの準備に1日かかるから、明日、またここへ来て
アポロ    サラ
サラ     なに?
アポロ    これがお前が本当にのやりたかった研究か?お前がしてきたことはこんなことをするた
       めじゃないだろう?

ロビンが飛び込んでくる

ロビン    所長!実験体5号が逃げ出しました!
サラ     え!?
ロビン    5号は植物遺伝子の大事なサンプルです。このまま逃がすわけには・・・
サラ     わかった。すぐ行く。
アポロ    おい
サラ     私のやっていることはあのころと何も変わらない。全部、ウォルス様との約束のため
       明日、待ってるから

サラとロビン去る

アポロ    おい、実験体って・・・
ライ     お前にはやることがある。そんな事は気にするな。サラのこともな。
アポロ    ・・・オヤジは本当に宇宙に上がったのか?
ライ     ・・・
アポロ    答えろよ!
ライ     そうだ
アポロ    ・・・わかった。

アポロ去る
ライ去る









S1 オアシスの日常

砂漠のオアシス。かつての反映は面影も無く、たった一つ残された小さなモーテル。
そこに元気良く飛び込んでくる4人組。色違いのマフラーをしている

リオ     レッド参上!
ジャグ    ブルー見参!
タッピー   ピンク登場!
パン     イエロー推参!
リオ     四人揃って!
4人     (ばらばらの名前を言う ※後述)
リオ     おい!ちゃんとやれよ〜。
パン     だって、おやっさん!
リオ     隊長とよべ!
ジャグ    隊長、チーム名ちゃんと決めましょうよ
タッピー   そうだよ
リオ     だから、ザ・オアシスマンでいいだろ?
ジャグ    ダセえ
タッピー   タッピーと愉快な仲間たちでしょ?
パン     お前の名前しかないじゃないか?
タッピー   お兄ちゃんこそ、何ていったの?
パン     オアシス仮面。
タッピー   仮面してないじゃん。
パン     あ!
ジャグ    皆、オアシスなんてつけるからダサいんだよ。
リオ     お前、何て言ったんだよ?
ジャグ    マフラーズ。
三人     ・・・・。
ジャグ    なんすか!
リオ     お前、相当やばいぞ。
パン     一番ダサい。
タッピー   うん。
ジャグ    お前まで!
パン     おい、ジャグ人の妹をお前って呼ぶな!
ジャグ    いいんだよ、婚約したんだから
パン     ちょっと待て、なんだそれ。
ジャグ    よろしく、パン兄さん
パン     兄さん?
ジャグ    だって、おれたち夫婦になるんだから。ね〜?
タッピー   ね〜、って何の話?
ジャグ    え!?だって、毎朝味噌汁作ってくれるって。
タッピー   うん、いいよ。別に。
ジャグ    ああ・・・そういうことか・・・
パン     やっぱりダセえ。
リオ     おい。
ジャグ    じゃあさ、婚約しよう。
タッピー   いや。王子様が迎えに来るんだもん。
パン     そうだぞ。きてくれるぞ。
タッピー   そうでしょ。
リオ     おいって。
ジャグ    だから、それが俺じゃんか!
タッピー   え〜いやだ〜。何かいやらしいもん。
パン     うん、こいつはいやらしいんだ。
ジャグ    そう言うけど、パンなんて、もっといやらしいんだぞ。
パン     なんでだよ!
タッピー   しってる。
パン     なんでだよ!
リオ     なんでだよじゃないんだよ!話聞けよ。
ジャグ    でも、おやっさん。
リオ     隊長とよべ!
タッピー   今日は何して遊ぶの?
ジャグ    遊びって言っちゃダメだって。
パン     そうだ、パトロールと作戦会議だ。
リオ     そのとおり。そしてこの場を提供してくれる、マスターに敬礼!
三人     ありがとうございます!!
ティグ    ・・・終わったのか?そのコントは?
リオ     コントじゃねえよ!
タッピー   終わりました。

いつのまにか顔を出しているノア、拍手する

パン     あれ?
ジャグ    誰?
ティグ    えっと・・・アルバイト?
タッピー   よろしくね、わたしタッピー!

ノアは逃げるように天井裏へ

ティグ    すまん、人見知りなんだ。
タッピー   そうなの?
パン     結構かわいかったな
ジャグ    そうか?タッピーのほうが断然かわいいよ。なあ?
タッピー   きもい
ジャグ    その反応、ひどくない?
パン     マスター、おれコーヒー
ティグ    コーヒーしかないんだよ、ここには
タッピー   ミックスジュース!
ティグ    だから、ないってば
タッピー   だって苦いから
リオ     ぜいたく言うな、せっかくおごってもらえんだ
タッピー   そっか。じゃあ、お砂糖7杯入れて
ティグ    おごりじゃないって
リオ     またまた〜
ティグ    またまた、じゃないよ。レイに怒られるだろ?
リオ     んなことないだろ、うちのと違って優しいじゃないか
パン     そうそう
ティグ    そうかな・・・
タッピー   ふたりとも優しいよ?
パン     おかみさんは鬼だよな。
ジャグ    ああ、鬼神だよ。鬼の神と書いて鬼神
リオ     おい、オレの嫁を鬼っていうな。
ティグ    まあ、似たようなもんだけどな

エル、現れる

エル     鬼って言ったの、誰?
タッピー   おかみさん!お帰りなさい
リオ     あ・・・・・・
パン     おやっさんが言った
リオ     おい!
ジャグ    ティグさんも、似たようなもんだって
ティグ    おい!
タッピー   あと、2人も鬼とか鬼神とか・・・
エル     へえ・・・
パン     ばか
ジャグ    逃げろ!
タッピー   お〜
リオ     なんでタッピーまで・・・
エル     さ、鬼の話、ゆっくり聞かせてね。マスター?
ティグ    はい?
エル     コーヒー
ティグ    ただいま
エル     じゃ、聞かせて
リオ     ええっと・・・昔々、あるところに、エルという、それはそれは心優しい鬼がいました
エル     ・・・
リオ     エルは優しくて優しくて、いつでも夫を大事にしましたとさ。めでたしめでたし・・・
ティグ    うん、いい話だ
リオ     だろ?
エル     あんた・・・
リオ     おう
エル     そんなんでごませると思ってるの?
リオ     いや、そんな・・・・おい、ティグ!
ティグ    あ、おれ、お腹がいたぁい。
リオ     下手なうそをつくんじゃない!
ティグ    悪かったよ。俺は嬉しいんだ。エルが元気になってくれて。
エル     マスター・・・
ティグ    子供は確かに残念だったけどな。でも、エルが倒れたって聞いたときはこいつも慌て
       て帰ってきてさ。どうしよう、どうしようって泣きそうな顔してたんだよ。
リオ     そういうこと言うなよ
ティグ    何年も前の話だろ。
リオ     泣いてないからな。泣きそうだっただけだ。
エル     あんた・・・
ティグ    ちょっと騒がしくてもさ、こうやって笑っていられる今のほうが楽しいよ
エル     ・・・ありがとう。マスター、レイは?
ティグ    町に行ってる
エル     マナちゃんの意識・・・まだ?
ティグ    ああ、もう無理かもな・・・
エル     そう・・・
リオ     うまくいかないな、お互い
ティグ    そんなもんだろ。辛い思いしてるのは、一人じゃないさ。な。
エル     ・・・うん・・・あ、わたし洗濯物、入れなきゃ
リオ     ああ
エル     マスター、ごちそうさま
ティグ    あいよ
エル     あんたも、あまり長居しないようにね
リオ     わかってるよ

エル、去る

ティグ    だいぶいいみたいだな。
リオ     ああ・・・それよりティグ、さっきの・・・
ティグ    ・・・うん
リオ     大きくなったな
ティグ    ・・・レイには言わないでくれ
リオ     わかった

レイがボアを連れて帰ってくる

ボア     いや、その金額は出ませんよ
レイ     もうちょっと色つけて
ボア     厳しいですね〜
レイ     あ・・・ただいま
リオ     おかえり
レイ     とにかく、その額じゃ足りないの。
ティグ    レイ、なんの話だ
レイ     ・・・別に
ボア     ああ、ご主人ですか?どうも、いつもごひいきありがとうございます。
       「何でも売ります。何でも買います」でおなじみの桜花屋でございます〜
ティグ    おまえ、・・・
レイ     ボアさん、さっきの話は、また今度
ボア     そうですか?んじゃ、みなさん、また
リオ     ああ、ちょっと待ってくれ。うちに寄ってくれないか。いろいろ注文したいんだ
ボア     はいはい。「何でも売ります。何でも買います」でおなじみの〜
リオ     うるさい。ほら、行くぞ
ボア     はいはい
ティグ    リオ、エルと仲良くな
リオ     わかってるよ
ボア     じゃあ、奥さん、また

3人去る

ティグ    レイ・・・
レイ     なに?
ティグ    何を売ろうとしてたんだ
レイ     わかってるくせに
ティグ    いいか、馬鹿なことは考えるなよ
レイ     そろそろエサの時間でしょ?
ティグ    おい!
レイ     ・・・

レイ去る
ティグ去る









S2  支配からの脱出

研究所近くのホテル

無線機に手をかけるアポロ

アポロ    ダメか。ドグ、どこにいるんだ・・・

ベッドに転がるアポロ。しばらく考え込む
突然ベッドの下から出てくるゴウ。ナイフを突き立てるが、かわすアポロ。
ゴウはナイフを突きつける

ゴウ     手を上げろ!金を出せ
アポロ    ねえよ
ゴウ     うそつけ!
アポロ    うそじゃねえ
ゴウ     死にたいのか?
アポロ    ・・・お前、実験体ってやつか?
ゴウ     ・・・!
アポロ    悪いな、俺は政府の人間だ

ゴウ逃げようとする

アポロ    待てよ!
ゴウ     なんだよ
アポロ    どこ行くんだ?
ゴウ     関係ないだろ
アポロ    研究所の奴らが探してる。すぐに見つかるぞ
ゴウ     ・・・どこまで知ってる?
アポロ    植物遺伝子がどうとか・・・詳しくは知らん
ゴウ     そうか
アポロ    まあ、座れよ
ゴウ     ・・・通報しないのか?
アポロ    しねえよ
ゴウ     ・・・
アポロ    お前、どうするつもりなんだ?
ゴウ     ・・・
アポロ    行く当てもないのに逃げてきたのか?
ゴウ     探してるやつがいる
アポロ    誰だ?
ゴウ     オレの母親だ。
アポロ    母親?
ゴウ     研究所の端末から情報を見つけたんだ。俺を捨てたやつが生きてる
アポロ    だって、おまえクローンなんだろ?
ゴウ     俺は試験管で育ったわけじゃない
アポロ    そうなのか
ゴウ     俺の親は実験に協力してたんだ。クローンを生むために体を使って
アポロ    代理母出産か・・・
ゴウ     そいつにも、クローン人間の受精卵が植えつけられるはずだった。
アポロ    はずだった?
ゴウ     実験に参加したとき、腹の中には俺がいたんだ。だからクローンの受精卵は植えられな
       かった。
アポロ    本人が妊娠してたのに気づかなかったのか。
ゴウ     知らねえ。とにかく実験としては失敗だ。そのかわり、俺自身が実験体として育てられ   
       たんだ。
アポロ    それで捨てられたって言ったのか
ゴウ     だって、そうだろ?オレの親は、腹の中に俺がいたのに実験に参加したんだ。
       しかも生まれたばかりの俺を捨てていなくなった。いつか復讐してやるつもり
       だったんだ・・・俺はそいつを探す・・・
アポロ    探してどうする?
ゴウ     会ってみなきゃ、わからない
アポロ    そうか・・・どこにいるんだ、その母親は
ゴウ     砂漠の東にあるオアシス
アポロ    え?
ゴウ     知ってるのか
アポロ    ・・・ああ、まあな・・・
ゴウ     だったら連れてってくれないか?・・・俺には時間がないんだ
アポロ    植物遺伝子か?
ゴウ     ・・・
アポロ    今日、聞いたばかりだ
ゴウ     胎児の状態の時に、遺伝子を組み替えられた。いつか人間じゃなくなる
アポロ    ・・・わかった。一緒に行こう
ゴウ     本当か?
アポロ    馬鹿な命令を聞く気もないしな。すぐにここを出よう。朝になるまえに砂漠に入った
       ほうがいい
ゴウ     わかった
アポロ    お前、名前は?
ゴウ     5号だ
アポロ    呼びにくいな。ゴウでいいか?
ゴウ     ゴウ・・・
アポロ    俺はアポロだ。いくぞ、砂漠へGOだ!
ゴウ     あんた、つまんねえな

去る2人









S3  バットとフラム

オアシスのモーテル。朝を迎える
ラジオを調整しているティグ
店に入ってくるバット。ティグはラジオを切る

バット    おはようございます!
ティグ    おはよう。手紙か?
バット    いえ、こちらの分はありません
ティグ    そうか・・・最近来ないな
バット    召集令状ですか?
ティグ    ああ・・・このまま戦争が終わるならいいけどな
バット    ・・・あの・・・
ティグ    なんだよ
バット    タッピー来てます?
ティグ    ・・・戦場からのラブレターか・・・
バット    はい
ティグ    どうなってるんだろうな、世界は。手紙だけは届いてるみたいだけどさ。
バット    ・・・ええ
ティグ    最近、ラジオの音も入らないんだよ
バット    衛星通信が混雑してるんです。宇宙移民が進んだせいで
ティグ    地球を捨てる・・・か。わからんな。
バット    ですね
ティグ    こういう土地にいないと、水や大地のありがたみはわからないのかもしれないな、
バット    はい

タッピーが駆け込んでくる

タッピー   バットさん!手紙、来てる!?
バット    はい、これです!
タッピー   やった!ありがとう!
バット    仕事ですから
タッピー   ちょっと待ってね。私も手紙出すから
バット    わかりました!

タッピー去る

ティグ    会えてよかったな
バット    はあ・・・
ティグ    どうかしたのか?
バット    いえ。何でもないんです。
ティグ    そうか?
突然フラムの声がする

フラム    ちょ〜っと待って!
ティグ    どうした?こんな朝から
フラム    バットに用事があるの
バット    な、なんですか?
フラム    ねえ、バット〜、今夜、どう?
バット    どうって・・・
フラム    安くしとくからさ
バット    けっこうです・・・
フラム    こういうの嫌い?
バット    女性がそんな・・・は、破廉恥です
ティグ    はれんち?
フラム    もしかしてバットって経験ないの?
バット    失礼します!

バット去ろうとするとタッピー登場

タッピー   あ。
バット    て、手紙は?
タッピー   これ
バット    確かに受け取りました。
フラム    ねえタッピー、今日、バットと3人でどう?
タッピー   3人?
バット    し、失礼します!

バット去る

フラム    タッピーと一緒なら喜ぶと思ったのに・・・ねえ?
タッピー   何のこと?
フラム    え?気づいてないの?
ティグ    こいつは気にしなくていい。ほら、リオにコーヒー
タッピー   ありがとう!

タッピー去る

ティグ    フラム、ちょっと自粛しろ
フラム    え?何が?
ティグ    コーヒーくらいゆっくり飲ませてやれよ。こんなとこまで手紙を持ってきてくれてんだ。
フラム    だからいいんじゃない
ティグ    え?
フラム    この村じゃ、まともに働いてるやつなんてほとんどいないんだからさ
ティグ    まあな
フラム    みんなお金持ってないし
ティグ    ああ
フラム    それじゃあ、わたしはどうしたらいいのよ。どこで客をとれって言うの?
ティグ    町のほうへ行けよ
フラム    いや。
ティグ    なんで?
フラム    いい思い出がないから
ティグ    わがままだな
フラム    わがままなの、わたし
ティグ    そうか
フラム    マスターはどう?たまには奥さん以外と
ティグ    いらないよ
フラム    子供ができると変わるよね・・・あ!
ティグ    ・・・
フラム    ・・・ごめんなさい
ティグ    いや、気にしなくていいよ。でもレイの前では言うなよ
フラム    うん・・・ごめん・・・コーヒーもらえる?
ティグ    ああ
フラム    ありがとう
ティグ    なあ、フラム、いつまでそんなことやってんだ?
フラム    説教?
ティグ    そうじゃないけどさ。もう少しまともな仕事したらどうだ
フラム    まともってなに?
ティグ    もっとまじめにさ・・・
フラム    わたしはこれで稼いで来たの。誰にも文句なんか言わせない
ティグ    文句なんかないさ。でもあいつが悲しむだろう
フラム    悲しまないわ・・・死んだんだから
ティグ    フラム・・・
フラム    マスターだけは、わかってよ
ティグ    ・・・ああ

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