愛が僕らを分かつまで

(あいがぼくらをわかつまで)
初演日:0/0 作者:マリー
愛が僕らを分かつまで

浩太
里美
希美
村田

【1】
浩太と里美がいる。

浩太  病める時も健やかなる時も、僕はあなたを愛します。
里美  病める時も健やかなる時も、永遠の愛を誓います。
二人  死が二人を分かつまで。

救急車のサイレン。暗転。
浩太の家。里美の遺影の前で泣いている浩太。傍らには里美が座っている。

浩太  嘘だろ里美〜……僕たち、これからだっていうのに。
里美  本当に……どうしてこんなことに……。
浩太  そうだよ、信号渡る時は右左見なきゃ……ん?(里美を見る)
里美  だって、猫が轢かれそうだったから……え?(後ろを確認する)誰かいるの?
浩太  いや君だよ!里美!
里美  え?えぇっ、浩太、私のこと見えているの?
浩太  ……疲れているのかな、気分じゃないけどもう寝ようかな……。
里美  待って待って!(浩太の腕を引っ張る)
二人  うわあああ!
浩太  なんで里美が驚いているの!?
里美  だ、だって浩太に触れたから!
浩太  ど、どういうこと?里美、生きてるの?
里美  ううん。午後六時十八分、ご臨終ですって言われてたから死んでると思う。
浩太  はあ!?
里美  轢かれた時のことも覚えてるし。なんかね、左側からどーんってきて、
    肩から何かが砕けるような音がしたの、多分骨だと思うんだけど。
    その後地面に叩きつけられてね、頭がガンッてなってそこでも何か砕ける音がして、
浩太  いいよ!聞きたくないよ!え?本当に里美?
里美  お嫁さんの顔、忘れちゃったの?
浩太  忘れるわけないだろ!本当に里美なんだな。
里美  そうだよ、浩太。
浩太  ……里美〜〜!
里美  浩太〜〜!

二人、手を取り合ってくるくる踊る。

浩太  すごいよ!死んでしまっても、一緒にいられるなんて!
里美  死が二人を分かつまで、なんてアテにならないね!
浩太  これも僕たちの愛の力なんだね!
里美  うん!ずっと一緒だよ、浩太!

希美が入ってくる。

希美  おにいちゃーん?いるの?何度もインターホン鳴らしたんだけど、

希美、楽しそうに踊ってる浩太を見て固まる。

希美  お、お兄ちゃん?
浩太  ん?おぉ希美!どうした?
希美  どうした、って。様子見に来たんだけど……なんか、元気そうだね?
浩太  あぁ!心配かけてごめんな!見ての通り、元気だよ!
    こうして里美も戻ってきたことだしな!
妹   は?
里美  浩太、希美ちゃんにはきっと私は見えていないよ。
浩太  ん?なぁ、ここにいる里美が見えないのか?
妹   え、ちょっと、何を言っているの?
浩太  見えないか!だよな!お前も、本当の愛を知ればわかるよ。
里美  もう!浩太ったら!
浩太  何照れているんだよ、里美〜。
妹   (携帯を取り出し)もしもし、お母さん!?お兄ちゃん、ちょっと
    やばいかもしれないよー!

妹、はける。

里美  希美ちゃん、行っちゃったよ。
浩太  いいさ、あいつもいつか、本当の愛を知ればわかるのだよ。
里美  ふふ。かもね。ねえ浩太、これからも一緒にいてくれるよね?
浩太  何言っているんだよ。当たり前だろう。
里美  ……ありがとう。
浩太  もし浮気でもしたら、里美に呪われるかもしれないしな!
里美  ……なるほど、今の私なら、それくらいできるかもね?
浩太  ……冗談だよ?
里美  ふふ、私も冗談だよ。浩太、これからもよろしくね。(浩太の手をとる)
浩太  あ。
里美  どうしたの?
浩太  う、ううん。こちらこそ、よろしく。
里美  ふふ。そうだ、希美ちゃんも来てるし。お茶でも淹れようか。
浩太  ありがとう。

里美はける。浩太、里美が触れた自分の手を見る。

浩太  ……いや、こうして一緒にいて、話せるなら、今までと何も変わらない……はず。

インターホンの音。村田が入ってくる。

村田  せんぱーい!
浩太  村田。なんだ、仕事中じゃないのか?
村田  居ても立ってもいられなくて、外回り中に来ちゃいましたよ。
    この度は、本当にご愁傷さまでした……。
浩太  心配かけたな。忌引き休暇が明けたら、またビシバシ仕事するぞ。
村田  無理しないでください、先輩。あ!里美さんにお線香あげてもいいですか?

村田、里美の遺影に向き合う。

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