極限の便意
極限の便意

A 出そうな人
B 近くにいた人

電車内。隣り合って、つり革に捕まっている。


A「………困ったなぁ」
B「どうかされましたか?」
A「あぁ、すみません、聞こえていましたか」
B「ええ、つい気になってしまって…………」
A「はは、大したことでは無いんですがね。そちらはご旅行ですか?」
B「ええ、大島神社にお参りしに行こうかと。この時期は混んでいるそうですね」

A「お祭りがあるのでしたっけ?」
B「そうです。」
A「…………」
B「………………」
A「うんちが、もれそうなんです」

B「なるほど。緊急度は?」
A「レベル5といったところでしょうか。お尻が脂汗でぐっしょりです」
B「どうして途中で降りなかったんですか」
A「美しい車窓からの風景に心奪われていました。気がついたら一歩も動けません」
B「なるほど、では私はここで……」
A「待ってください!」
B「うわ、めっちゃ力強い。そして手汗も凄い」
A「ここで会ったのもなにかのご縁です。どうか助けては下さいませんか?」
B「逆に聞きますけど、私に出来ることあります?どう考えても詰んでるでしょ」
A「藁をもすがる思いなのです。どうか、どうかお知恵をっ」
電車、カーブに差し掛かる
A「ふぐっ!?」
B「まずい!!しっかりして下さい!姿勢を安定させて!」
A「うおおおおおお〜〜〜」
B「お尻の穴を締め付けて!」
A「む〜〜〜うぅ〜〜〜〜…………ふぅ、危なかった」
B「本当の本当に限界なんですね。凄い形相でした。」
A「そうなんですよ」
B「今更何でもない風な顔をしても遅いと思いますけど」
A「これは違うのです。心をフラットに保っておかないと、すぐさまダムが決壊してしまうのですよ。」
B「ダムに例えるのはやめて下さい。旅行の予定にダム見学も含まれているんです」
A「失敬」
B「とにかく、次の駅で降りましょう。一刻も早く、トイレに向かわなければ」
A「言ったでしょう、一歩も動けないと」
B「少しずつドアの方まで移動するのです。ほら、ゆっくり足を出して下さい」
A「わかりました」
A、そろりそろりと移動する。なかなか辛そう
B「よしよしいい感じです。そのままそのまま」
「次は〜〇〇〜〇〇」
B「急いでください!」
A「これでも急いでいる!」
ドア、間に合わず閉まる
A「あぁ、間に合わなかった………」
B「次の駅で降りればいいじゃないですか」
A「次が遠いなぁ」
B「腹痛の時の電車の1区間は、永遠に思えますよね。どうか心を保って下さい!  あの、すみませんこの方体調不良でして………すみません次で降ります!」
A「申し訳ない」
B「いや貴方ここは体調悪そうにしてくださいよ」
「あの、手をお貸ししましょうか」
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