宇宙の彼方で
「宇宙の彼方で(そらのかなたで)」

□登場人物□
 ・三雲 博一(みくも ひろいち)
 ・十河 燈(そごう あかり)

▽あらすじ▽
 宇宙旅行がメジャーになった近い未来。宇宙警察の三雲と十河は、今日も宇宙船に乗ってパトロールをしていた。宇宙といえど、船内を飛び交うのは何気ない会話。―さぁ、次はどんな夢を語ろうか?
 広い宇宙にポツンと浮かんだ宇宙船。誰も知らない宇宙船が誰も知らない奇跡を起こす。





宇宙船内。
三雲がコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいる。
暫くして、十河が小説を持って入ってくる。三雲の隣に座り、小説を読み出す。

三雲 ……。
十河 ……。

三雲、十河の小説を覗き込む。

十河 ……何ですか。
三雲 ん?あぁいや、何読んでんのかなって。
十河 三雲さんこそ、何読んでるんですか?
三雲 これ?週刊月影(つきかげ)。
十河 有名人の不祥事ばっかり載せてるやつですか。
三雲 他人の不幸は蜜の味。
十河 サイテー。
三雲 違う違う。皆勘違いしてるけどね、この雑誌、新米小説家の小説載せてるコーナーがあるんだよ。僕はそれ目当てで読んでるの。
十河 面白いんですか?
三雲 五分五分。
十河 ふぅん。
三雲 で?燈ちゃん、何読んでるの?
十河 馴れ馴れしくしないで下さい。
三雲 分かったよ…十河さん。
十河 銀河鉄道の夜です。
三雲 カンパネルラ?
十河 知ってるんですか。
三雲 小さい頃に読んだ事ある。でも、その頃は難しくてよく分かんなかったな。そうそう僕ね、宮沢賢治と誕生日一緒なんだ。
十河 へぇ。
三雲 十河さん、その話好きなの?
十河 …人によって色々な見方がありますから。読む度に色々考えるのが好きなんです。
三雲 成る程ねぇ。

沈黙。
暇になった三雲は、窓の外を眺める。

十河 退屈ですよね。
三雲 え?
十河 退屈。そう思いませんか?
三雲 こんな毎日が?
十河 えぇ。

十河、小説を置き、三雲と一緒に窓の外を眺める。

十河 小学生の頃、理科の授業で、星座って覚えさせられませんでした?
三雲 あぁ…覚えさせられた。テストもあった。
十河 今じゃ何の役にも立たないのに。こんな動きもしない光を毎日毎日…。
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