ふたりのハピネス

(ふたりのハピネス)
初演日:0/0 作者:横八木 てつ

●登場人物
 男子  17才
 女子  17才
 A、B ともに男子、17才

●場所
 高校3年のあるクラス。

   放課後の教室。
   夕日がさして陰影がたちこめている。

   教室には男子と女子が1人づつ残っている。
   2人とも、容姿はイマイチである。
   平均以下といっていい。

   そんな2人が窓辺に並んで夕日を見つめている。
   美男・美女なら絵になるが、残念ながらそうではない。

女子「昔みた映画のワンシーンを思い出すわ。名前を忘れたけど、
   とても綺麗な女優が夕日を見てる。ただそれだけのシーン」
男子「夕日を見る美しい女。絵になりそうだね」
女子「髪が長くて、うっとりするほど綺麗な女優だった」
男子「どんな映画。タイトルは?」
女子「それが覚えてないの。女優が綺麗だったことしか記憶に残っ
   てないの」
男子「すごいね。映画の感想がそれだけって」
女子「きっと話はつまらなかったんだと思う。でもなんでだろう、
   最後までしっかり見てた。目がどうしても離せなかった」
男子「…」
女子「もしわたしが美人に生まれてたら全然違う人生だったかも。
   そんなことを考えながら見てた」
男子「…」
女子「夕日を見るだけで絵になる人生。美人に生まれた女の特権。
   何それ、ずるい、不公平、でもうらやましい。映像を見なが
   ら想いがあふれたわ…そして気がついたら、わたし、涙を流
   して泣いてたの…おかしいでしょ」
男子「わかる」
女子「わかるの?」
男子「男がジャッキーチェンに一度は憧れる。それと同じだね」
女子「違う。全然違うわ」
男子「でも」
女子「違うから。ジャッキーチェンで泣かないから」
男子「そうだね。よく考えたら全然違う。ははは」
女子「ふふふ」

   雲がはれ、夕日がパーッと射してくる。

女子「綺麗」
男子「綺麗だ」
女子「この時間の夕日がわたしは一番好き。綺麗でまばゆくて、で
   も、どこか切なくて」
男子「放課後の夕日はいつも切ないよね」
女子「切ないから綺麗、綺麗だけど切ない」

   2人は自分たちの世界に没頭している。

女子「夕日を見ると初めてのデートを思い出すわ」
男子「僕たちの初デート…自転車にのって冬の海を見にいったよね」
女子「静かな冬の海。夕日が水平線の上できらめいていた」
男子「燃えるようだった」
女子「紫外線が肌を焼くのも忘れて見とれてたら、加藤君、言って
   くれたよね。覚えてる、なんて言ったか?」
男子「なんだろう。たくさん話したけど」
女子「思い出して」

   男子、考える。

男子「寒くない、とか」
女子「ブー。はずれ」
男子「じゃあ、カモメが飛んでるね、とか」
女子「ブー。飛んでなかった」
男子「水が透明で綺麗だね」

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