(株)サンタクロース

(かぶしきがいしゃさんたくろーす)
初演日:2018/12 作者:あかざとうと某氏
『(株)サンタクロース』

登場人物:
・南條カズアキ(25/男)-(株)サンタクロース勤務3年目。配達部所属。
・北川エイイチロウ(30/男)-(株)サンタクロース勤務8年目。配達部所属。
・東野ユウスケ(25/男)-(株)サンタクロース勤務3年目。配達部所属。
・所長(37/男)-(株)サンタクロース西東京支店所長。
・榊キョウカ(25/女)-(株)サンタクロース勤務3年目。事務担当。
・田所アズサ(9/女)-東京に暮らす少女。プレゼントを楽しみにしている。
・田所アンズ(15/女)-アズサの姉。サンタクロースは信じていない。

*「東野」に関しては、「とうの」とお読みください。

第1幕
◯(株)サンタクロース東京支店・事務所

   小さな事務所。舞台中央に包装紙や文房具の散乱した机と数脚の椅子が
   置かれている。舞台上手に書類の入った段ボールが置かれている。

所長(声)「子供の頃、クリスマスにやってくるサンタさんを想像して、わくわくしたことはありませんか?きっと多くの人はそんな経験があると思います。素敵なプレゼントは、子供にも親にも笑顔をもたらします。それをみなさんにお届けすることこそが、われわれ(株)サンタクロースの使命なのです。
これは、とある聖夜の物語。」

   明転。書類を抱え電話をかけている榊、入場。

榊「はい、お疲れ様です。事務所でお待ちしております。」

   榊、電話を切る。

榊 「失礼いたします、所長。あれ、所長?」

   下手から車のおもちゃがひとりでに走って来る。所長、後に続き入場。

所長「走る〜走る〜♪」
榊「所長?」
所長 「さささ、榊くん!」
榊「そちらは…製造部の試作品ですか?」
所長「そうだよ…いや、面白いくて、つい。すいません。」
榊「いい車ですね。」
所長「へ?」
榊 「その件はさておき。所長、こちらの書類はご入用ですか。」
所長「ああ、うーん、たぶんいらない。」
榊「では、処分いたしますね。『社内忘年会計画書』と。」
所長「おっとぉ、ちょっと待って!それはいるやつ!来週使うから!」
榊「失礼いたしました。いらないと伺いましたから。」
所長「ぎくっ。」
榊「ご自分で整理していただいた方がよろしいでしょうか?」
所長「いやはや、そうさせてもらうよ。」

   南條、北川、入場。

南條「お疲れ様でーす。」
所長「おお、おかえり。」
北川「いやー、今年もよく働いた!腰いてー!」
所長「ふっ、おっさんみたいだね。」
北川「いや、まだまだですよ。ただちょっと…ほら、力仕事とか、キツくなってきただけなんで。ホント。」
南條「そういうとこがおっさんなんじゃね?」
北川「カズもやめてよ!」
南條「ははっ、悪い悪い。」

榊「ところで、東野さんは?」
所長「あれ、いないね。捨てた?」
南條「そこまで薄情じゃないっす。」
北川「あいつ面白いんですよ、外で女子大生に絡まれてて。」
所長「その話詳しく!」

   東野、入場。

東野「一瞬にして子猫ちゃんたちを虜にしてしまう俺…罪な男!」
所長「はい、おかえり。遊んでもらってよかったね。」
東野「やだなあ、俺が遊んであげてたんですよ。」
南條「東野、お前すっげえモール貼られてるぞ。」
東野「えっ。」
北川「背中だけアイドルみたいだね。」
東野「あっ!もー、ほんっとありえない!」
所長「キレイに剥がしてよ、その布高いから。」
東野「子猫ちゃんたちに言ってください!」

北川「東野、いつものやつ頼むよ。」
東野「ほいほーい。」

   東野、北川の肩を叩く。

北川「いつも悪いねえ…あー、激務明けの身に効くわ!」
南條「去年より配達量減ってるけどな。」
北川「そうなの?」
東野「最近はこのへんも少子化が激しいからねー。都心の支店は忙しくなってるんだろうけど。」
北川「えええ、ヤバイじゃん!俺たち仕事なくなっちゃうよ!」
所長「大丈夫だよ、北川。この世界にクリスマスプレゼントを待ち望む子供がいる限り、この会社がなくなることはないからね。」
北川「おおお!」
東野「ま、別にサンタは信じてないかもしれないけどね。」
北川「おい東野!」
東野「意外と現実見えてるもんだよ、子供って。」
北川「ねえ、カズはどう思う?」
南條「うーん、ノーコメントかな。」
北川「まったくもう…なんでそんな夢ないんだよ、最近の若者は?」
南條「はい出た、おっさんにありがちなセリフ。」
東野「おっサンター!」
北川「おっサンタ言うな!」
榊「すみません、まずはチェックの方をお願いできますか。その後でしたら、お好きなだけ雑談していただいて結構ですから。」
東野「あ、すいません。」
北川「今行くね、カズが。」
南條「俺かよ!」

榊「それでは、よろしくお願いいたします。」
南條「はい。えーっと…作業日時は、2017年12月24日午後9時から同日午後11時30分まで。」
榊「はい、間違いないです。」
南條「配達先は市内23軒。個別の品数で見ると、32軒になりますね。内訳は…」
榊「あの、もう少しゆっくり話していただけますか。」
南條「あ、はい。すいません。」
東野「カズ、テンパるなー!」
南條「うるせえ!あ、すみません。内訳は、一人っ子家庭が14軒、きょうだい家庭が9軒。以上が今回の配達の概要になります。」
榊「はい、確認いたしました。続いて個別のチェックに移りますね。記録用紙を。」
南條「お願いします。」
榊「ありがとうございます。では、少々お待ち下さい。」

北川「ねえ、みんなこのあとヒマ?一杯どう?」
南條「悪い、ちょっとキツいわ。」
北川「えー、つれないなー!東野は来るでしょ?」
東野「や、俺もパスで。」
北川「なんで?」
東野「まだ見ぬ子猫ちゃんを探しに行くのさ!」

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