つづきのはなし -A girl misses you-
つづきのはなし

作:角砂糖

登場人物
ユミカ    高校2年生。不思議なことが大好きなミステリー研究部副部長。
トウコ    高校2年生。ユミカの保護者役。しっかり者のミステリー研究部部長。
アイ     高校3年生。後輩二人にいじられるお調子者。ミステリー研究部前部長。
イクミ    鏡の向こうから現れた少女。
生徒1、2  いじめっ子。



 3月のとある日、深夜。
 誰もいないはずの高校の、真っ暗な廊下に一筋の明かりが差す。
 懐中電灯だ。
 この高校の生徒である少女、ユミカとアイが、懐中電灯を持って歩いている。
 張り切って楽しそうに懐中電灯を持って歩いているのがユミカ。
 ユミカの腕にしがみついて、いかにも怖がっているのがアイ。

アイ   ねえ、帰ろうよ。
ユミカ  イヤです。
アイ   七不思議なんてただの噂じゃん。絶対何もないよ。行くだけ無駄だよ。
ユミカ  だから、戻りたいなら一人で戻っていいですってば。
アイ   だから、戻りたいけど一人じゃ戻りたくないんだってば。
ユミカ  もう、何が怖いんですが。たかが深夜2時の学校じゃないですか。
アイ   (大声で)怖い要素しかないよ!
ユミカ  (立てた人さし指を口許に当て)しーっ。
アイ   (慌てて口を塞ぐ)…普段見慣れてるはずなのに、暗いってだけで全然知らない場所みたい。
ユミカ  わくわくしますね。血沸き肉踊りますね。トウコも来ればよかったのになあ。
アイ   …失敗した。抜け道だけ教えて帰ればよかった。
ユミカ  感謝してますよ、さすがに私も一人じゃ心細かったから。
アイ   でしょ。
ユミカ  よく来てくれましたよね。もしバレたら、推薦取り消されちゃうかもしれないのに。
アイ   えっ。
ユミカ  冗談ですよ。…たぶん。(立ち止まる)よし、3階まで来ました。3階と4階の踊り場の鏡、でしたね。
アイ   …うん。

 ユミカ、アイ、緊張した面持ちで顔を見合わせる。
 意を決したように、ゆっくりと前に進んでいく。

ユミカ  旧校舎、
アイ   3階と4階の踊り場の、
ユミカ  大きな鏡。
アイ   その鏡は、別の世界と繋がっていて。
ユミカ  真夜中に見ると、
ユ・ア  この世界にはないものが映っている。
アイ   …ありえないけど、絶対に。
ユミカ  いや、わかんないですよ。私、今日は何か起こる気がするんです。
アイ   気のせいでありますように。

 懐中電灯を照らした先には、鏡(36パネル程度の大きさの木枠)がある。
 鏡の足元を照らすと、ユミカ・アイと同じ制服を着た少女の足が映っているが、一人分しかない。
 ユミカ、アイ、顔を見合わせる。

アイ   (震えながら)なんで…? おかしいでしょ…。
ユミカ  おかしいですね。あの鏡、一人しか映ってない…つまり、あれは、私たちが写ってるんじゃないってことですね。
アイ   (ユミカの台詞の途中で)いやぁー!! おばけー!!!

 アイ、走って退場。
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