虹色世界

(にじいろせかい)
初演日:0/0 作者:広瀬ヒロ
『虹色世界』広瀬ヒロ(総合芸術 虹色りきゅ〜る)

登場人物
 女
 男
 少年
 少女


【0場】


  女が元気よく舞台のツラに出てくる。

女  みんな、人生楽しんでる
女  私は楽しんでるよ。なにもかも。すごく楽しい。今まで出会ったことも、今から出会うことも全て
女  辛いこと。ないないない。全部が新鮮で全部楽しい

  男が舞台奥から出てくる。

男  だよね。辛い人生、想像できない。僕らは辛いなんて思わない。辛いってなんだろう。大人が辛いって感情を教えてくれたけど、やっぱり言葉だけじゃわからない。なんだろう。
女  私たちはみんなに楽しさを与えるの
男  僕たちはみんなに楽しみを与えるんだ
女  今日がその初仕事
男  僕たち、辛いって感情分からないんだけど大丈夫かな
女  大人たちは、人間を見ていくうちになんとなくわかるって言ってたよ
男  そっか、なんとなくか
女  そう、なんとなく
男  なんとなくって言葉って不思議

女  ……あ。あそこに人間の子どもが。

 女、ツラに立って客席見渡す。

男  なんだか楽しくなさそうな顔だね

 男、ツラに立って客席見渡す。

男  あれ、あっちにも
女  なんだか人間って楽しくなさそうな顔ばっかりだね
男  何かに不満があるのかな
女  何かに行き詰まっているのかな

男  ……わからない
女  だよね。わからないことを考えててもさ、分からないから、とりあえずお話しに行こう
男  だね

女  じゃあ、私はあの男の子
男  じゃあ、僕はあの女の子

女  よぉーし、じゃあ私たちが楽しさ振りまきにいくぞ。

女  おー
男  おー

 ツラで「おー」してから、上下はける。

【1場】


 少年が後ろを振り替えりながら出てくる。

少年 くっそー、なにが勉強だ。なにが勉強だ。勉強なんてしたくないよ
少年 勉強なんか楽しくないし、第一、僕馬鹿だから全然わからないし。勉強ってなんだ
よ、なんでするんだよ。楽しくないじゃん
少年 あー、テニスがしたい。テニスー。勉強している時間があれば、テニスしたり友達と遊んだりしたいよ

 女が少年の背中から声をかける

女  やあ、君、なんだか楽しくなさそうだね
少年 ……やっぱりそう見える。誰が見ても楽しくなさそうに見える僕って本当に不幸
女  え、君不幸なの。そんな今すぐ幸せにしてあげる

少年 は。間に合ってます

女  は、ごめんなさい。いきなりすぎてびっくりしたよね。私はみんなに楽しさを与え
   るお姉さんだよ
少年 お姉さん……すごいんだね
女  君はなんでつまらなさそうなの。生きてるって楽しいじゃん。なんでなんでなんで。
楽しいことしてないと損だよ。楽しもうよ
少年 楽しいことは楽しいよ。でもダルいことはダルいじゃん。
女  ダルい。なにそれ
少年 ……楽しくないってことかな。勉強だよ、勉強。楽しくない。面白くない。時間を
無駄にしている気しかしない
女  そうなんだ
少年 人間ってなんで勉強するのかな、楽しくないのに

女  んー、私は楽しくないという気持ちがわからないので何とも言えない
少年 こうさ、適材適所ってあるくない。僕はテニスが好きで楽しくて得意だから、テニ
スばっかりやってたらいいと思うんだ。勉強は勉強が得意な子がすればいい
女  全部楽しいのに……もったいない
少年 お姉さんは勉強とかしたことないの、楽しくないじゃん
女  あるよー。楽しかったよ。知らないこといっぱい学べたよ
少年 へえ

少年 僕はやっぱりテニスがしたいな
女  テニス……
少年 ねえねえお姉さん、お姉さんお姉さん。なんとかできないの。僕ずっと 楽しいこ
と していたい。ねえねえお願い

女  わかったよ
少年 え

女  私は楽しいことを振りまくお姉さんだからね〜。君は何もしなくても大丈夫
少年 やった
女  楽しい
少年 うん
女  よかった

少年 え、僕は何をしたらいいの
女  え、楽しいことをして過ごしていたらいいよ
少年 それだけ
女  うん。だってそれが君の望みでしょ。そして私の望みはみんなが楽しく生きること。
それ以外にないから。君が楽しく生きてくれたら私の望みは一つ叶うね。君の世界
を楽しく彩るよ

 女は、ぴょんぴょんしながらはける。

少年  あ、行っちゃった。何だったんだろう。楽しいことだけをして過ごす。お母さんお父さんに「勉強しなさい!」て怒られちゃうよ。
少年  ……楽しいことだけをして過ごす僕の世界。素敵だな

 少年がはける。

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