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作　さいとうやすひろ

登場人物

店員Ａ
店員Ｂ
店員Ｃ
店員Ｄ
店員Ｅ

電気屋Ｆ
客Ｇ
客Ｈ
客Ｉ
客Ｊ
宅配Ｋ
少女L
（Ｆ〜Lは、最低３人で役を兼ねることが可能）

居酒屋　上手はバックルームで、下手が客席　お客の入り口は舞台正面　スタッフ入り口は上手袖　バックルームの後ろには出入り口があり、キッチンとつながっている。

　軽快な音楽。バックルームは薄暗い明かりで、客席は明かりなし。
　店員Ｄ上手袖から登場。

店員Ｄ「おはようございます！いや〜、なんか今日も暑いですね、あれ、あれ、私が最初ってことないよね、カギあいてたし...。」

　客席側から物音

店員Ｄ「え、何々？今の音？」

　さらに物音。店員Ｄ、そおっと客席側に近づく。

店員Ｄ「泥棒？...誰かいますか？...明かり明かり...（スイッチを入れるジェスチャ）あれ、つかない！」

　店員Ａ、明かりのついていない客席側で、四つんばい状態で懐中電灯を顔の下から照らす。

店員Ａ「おはよう...」
店員Ｄ「...ひぃぃぃ〜、おば、おば、おば...おばさん？」
店員Ａ「誰がおばさんよ！」
店員Ｄ「...なんだ、主任じゃないですか、びっくりさせないでくださいよ...」
店員Ａ「私はおばさん？」
店員Ｄ「ちがいます。主任はおばさんではありません。主任イズノットおばさん！もうＢＥ動詞で否定文作るぐらいおばさんじゃありません！いいですかこれで！」
店員Ａ「よろしい！以後気をつけるように！」
店員Ｄ「はいはい...ところでどしたんですか？店真っ暗にして。あ、またなんかのキャンペーンですか？なんですか...お化け屋敷居酒屋とか？」
店員Ａ「いや、そんなんじゃなくて...メインスイッチが入らないのよ。」
店員Ｄ「メインスイッチ？」
店員Ａ「ほらあの、リモコンになってる...」
店員Ｄ「ああ、あれ！...いやでも、スイッチ入らなかったら大変じゃないですか？明かりとかガスとか、何も動かないし、あと金庫も開かないし、店何もできないですよ？...故障ですか？リモコンどこですか？」
店員Ａ「それが...ね...」
店員Ｄ「どしたんですか？リモコンは？なくしたんですか？」
店員Ａ「なんというか、その...現在どこにあるのかを把握することが少々困難になっているというか」
店員Ｄ「要するになくしたんでしょ？」
店員Ａ「リモコンの実在が形而上的な存在となってしまい、我々の実存から疎外されているというか...」
店員Ｄ「なくしたんですね？」
店員Ｅ「おはようございます...あれ、どうしたんですか？暗いですよ。電気つけましょうよ！」

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