フィナーレのその前に
タイトル『フィナーレのその前に』



【登場人物】

雨谷亮太(25・男)
河合エリナ(26・女)
本間浩二(35・男)



【本文】


○    横転したバス・車内
   ゆっくりと明るくなる舞台。
   バス内部。下手側が運転席側で上手側がトランク。客席側と奥の壁に窓と中扉がある。運転席とトランク
   は舞台の外にある。しかし以上のものは舞台装置としては存在しない。
   舞台上にはイスが3つ、座席のように舞台奥の壁に沿って等間隔に並んでいる。(あるいは素舞台)
   舞台上には雨谷亮太(25)と河合エリナ(26)。首を右に大きくかしげながら無表情で客席側の窓の
   外を見ている。
   雨谷の手にはボストンバッグ。取っての部分にお守りがついている。
   座席の1つにエリナのバックが置かれている。
   間。
   首を左に大きくかしげる2人。
   間。
   首を右に大きくかしげる2人。
   間。
   首を左に大きくかしげる雨谷。左に立っているエリナの頭とぶつかってしまう。
エリナ「痛った!」
   頭を押さえて痛がる雨谷とエリナ。
エリナ「最悪。マジ痛いんですけど!」
雨谷「バカ! 動くな!」
エリナ「は?」
雨谷「落ちたらどうする!?」
エリナ「落ちないって」
雨谷「分かんねぇだろ」
エリナ「さっきまでめちゃくちゃ騒いでたくせに」
雨谷「お前だって騒いでただろ!」
エリナ「でも平気だったじゃん」
雨谷「だからそれが分かんねぇって言ってんの。衝撃が蓄積されて限界を超えるって事もあるだろ?」
エリナ「(鼻で笑って)マジ、ビビり過ぎ」
雨谷「はぁ!?」
   携帯を取り出すエリナ。
   不安そうにエリナを見る雨谷。
エリナ「警察」
   一度携帯を切りもう一度かけ直すエリナ。
雨谷「どうした?」
   やはり携帯を切り、もう一度かけるエリナ。
エリナ「駄目。通じない」
雨谷「電波ないの?」
エリナ「(携帯を見て)3本立ってる」
携帯を取り出してかける雨谷。
しかしつながない。
雨谷「(携帯の画面を見て)こっちも駄目だ」
エリナ「ちょっと勘弁してよぉ」
   携帯をかけ続けるエリナ。
雨谷「まぁバス会社がすぐに気づくだろ」
エリナ「違うわよ。病院」
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