迷子の大人たち
登場人物

  間宮雄(ゆう)助(すけ)・・・三十代の男性。
  金田京平・・・三十代の男性。間宮の同僚。
  クマ
  ウサギ
  フクロウ
  サル
  キジ
  サル夫
  サル子
  サル太郎
  サル次郎
  サル三郎
  長老
  滝の神
  村人








  1

舞台は、夜の森の中。
舞台の上にいるのは二人の男、間宮雄助と金田京平だ。
間宮はぐっすりと眠っている。金田はあちこちと歩き回っている。
金田、間宮の肩を軽くたたいて起こす。

間宮「見つかったか?」
金田「いいや。見つからなかった。」
間宮「そりゃそうだろうな。何しろもう夜なんだから。」
金田「なあ、どうしよ間宮。」
間宮「どうしようもこうしようもねえよ。とりあえず寝るしかないだろ。」
金田「こんな所でぐっすり眠れる奴はいいよな。俺なんか怖くて、眠れやしない。」
間宮「俺だって恐怖心ぐらい持ってら。でも眠くて仕方ないんだよ。」
金田「なあ間宮。頼むよ。もう少し起きていようよ」
間宮「駄目。もう体力の限界。」
金田「間宮あ。」

間宮、バタンと倒れて眠りにふける。
金田、カバンからライターを取り出し、たき火をたく。
間。

金田「なあ、間宮。寝ながらでいいから聞いていてほしい。俺たちさ、こうして森の  
中へ入って、一緒に死ぬ覚悟で、というか死ぬつもりでいたよな。けど、やっぱり、死ぬのって怖いもんだな。ただ辺りが真っ暗になるだけじゃなくて、体も失うってことだもんだからさ。だからこうして今戻ろうとあがいてんだけどさ。間宮。俺今その事に気づけて、本当によかったと思ってるよ。(カバンの中からコンパスと地図を取り出す)必ず、生きて帰ろうな。」

金田、地図をじーっと眺め、やがて眠りに入っていく。
間。
茂る木々の音。

間宮「うわあ!」

金田、ビクンとして起き上がる。

金田「どうしたんだよ、間宮。急に声を上げたりして。」
間宮「ああ・・・夢でよかった。今、俺たちがライオンに食われる夢を見たんだ。」
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