あー、えっと、あれ

(あー、えっと、あれ)
初演日:2017/8 作者:立花ふみと
「あー、えっと、あれ」
作 たちばな ふみと
登場人物
A 
B 
C 
D 
E 
F 
G 
H 

舞台想定
乱雑に並んだ箱馬
特に舞台装置は無し

表記方法説明
 カギカッコ
  「(通常のセリフ)」
  『(無感情で読んでほしいセリフ)』
 また、ト書きにて指示しているガヤはアドリブのセリフを期待している


場面一

何もない舞台上
  どこからか声が聞こえる
  役者がいる

C「突然ですが質問です。想像してみてください。ぐっすり眠っていたあなたは今朝、いつもと違う音で目が覚めました。それはどんな音でしたか?四択です。A」
B「恋人の寝言」
C「B」
D「携帯の着信音」
C「C」
G「時計のアラーム」
C「D」
E「隣の部屋の生活音」
C「皆さんお決まりですか。いいですか。では結果です。この質問では、あなたの恋愛依存度がわかります」
B「Aの恋人の寝言を選んだあなたは」
C「どっぷりタイプ」
B「あなたは恋愛に全てを賭けています。恋をしたらまわりが見えなくなってしまうほど常に恋人のことを考えているので、冷静さを失わないように心掛けましょう。」
D「Bの携帯の着信音を選んだあなたは」
C「友達優先タイプ」
D「あなたは友達や周りのいろいろな人を大切にします。あなたは恋人がいても気にせず友達と遊びに行ってしまうので、愛想を尽かされてしまう可能性が高いでしょう」
G「Cの時計のアラームを選んだあなたは」
C「仕事優先タイプ」
G「あなたは恋人がいても仕事を優先してしまいます。そのため恋人に寂しい思いをさせているかもしれません。恋人との時間をちゃんと作りましょう」
E「そして、Dの隣の部屋の生活音を選んだあなたは」
C「目移りタイプ」
E「あなたは恋人と一緒にいても、ついつい他の異性に目がいってしまいます。移り気な性格なので、恋人のサイクルも早いでしょう。」
C「どうでした、当たってました?」
B「えっ、そんなに没頭してる?」
E「わかんない、でもあくまで心理テストだもんな」
B「あ、そっか」
E「その結果を受け止めるもよし、受け止めないもよし」
D「取捨選択」
E「そうそれ」
D「でもたしかに俺友達とばっかり遊んでるなあ」
G「だめだろそれ」
D「え、そう?」
E「そうだよ」
D「そんなこと言ったって、友達とも遊びたいじゃん。そういう時間も大事じゃん」
G「でも彼女かわいそう」
D「お前らだって、お前は恋より仕事なんだろ」
G「だからなんだよ」
D「同じじゃん」
G「いや違う」
D「なにが」
E「どう違う」
G「それはだから」
ED「だから?」
G「だからこう、ちゃんと彼女のためを思って仕事するんじゃん。で、それで稼いだお金でどこかに連れてってあげたりプレゼントしてあげたり。給料稼げなかったら彼女のために何もしてあげられないし、これから結婚とかなったらそれこそもっとお金必要になるでしょ」
F「出た」
G「出た?」
F「出た、そういうセリフよく聞く。離婚寸前の夫婦の会話だよそれ」
G「離婚って」
F「そういうこと言う人が日本の離婚率あげてるんだよ。この離婚向上委員会め」
G「そんな言い方」
F「だって、でもそうでしょ」
G「だからそれは」
D「おいおい喧嘩するな離婚夫婦」
FG「誰がだよ」
B「あの」
D「え?」
B「みんなで盛り上がってるところ悪いんですけど」
E「なに」
B「これってその、恋人いる前提の心理テストじゃん」
D「え?」
E「まあ」
C「そうだけど」
B「だから、その」
CDEFG「・・・あ」

場面二

  男が立っている

A「あー、えっと、あれ?」

  明かりがつく

A「あれ、なんだっけ、ちょっと待ってね、ちょっと。あー思い出せない。ここまで出てるのになあ・・・ん?あーこれはこれは、どうもすみません。いやー最近どうも物忘れが激しくて嫌になりますよまったく。これってもしかしてあれですか?若・・・若年性アルツ、なんとか?」
H(声)『アルツハイマー』
A「おじいちゃんかって自分につっこみたいくらいですね。あ、言ってもまだまだ全然若いほうに入ると思ってますよ。ええ。今年で、あー、ごあいさつが遅くなりました。すみません。ようこそいらっしゃいました。お楽しみいただけていますか?はじめまして。わたしの名前は、あ、いえ、わたしは・・・あれ?いやまあいいでしょう。まあこうやって皆さんとお会いできたのも何かの縁でしょうか。せっかくお会いできたんですから、あとすこしばかり、わたしたちのお話につきあってくださいませんか。いやいやいいじゃないですか。わたしだってね、寂しいんですよ。最近は私の娘も反抗期で、お父さんと一緒にお風呂に入ってくれなくて・・・では始めますね。心の準備はいいですか?むかしむかし、あれはそうたしか・・・あれ?なんだっけ・・・えーっと・・・」

場面三

気づくと語り手の周りに人がいた
  語り手の言葉に重ねて一人がしゃべりだす

B「えーっと、あれ、なんだっけ、ちょっと待ってね、ちょっと。あー思い出せない。ここまで出てるのになあ」
H『学校』
B「解き方やった気がする。やった気がするんだけど。公式も見たことある気がするんだけど・・・あー!」
A「おいうるさいぞ。静かにやれないのか」
B「やれません」
A「な!」
B「やりたくありません」
A「やりた・・・お前の意思なんて知らん」
F「先生、子どもの権利の剥奪ですか。人権侵害で訴訟起こしますよ」
A「難しい言葉を使うな」
H『一組』

  児童たち、テスト中にしては騒がしい

F『クラス目標、みんななかよし、笑顔の一組』
A「ほら、最後まであきらめんなよ。全部授業でやってるんだから」
B「嘘だよ、やったっけこんな問題」
G「やってない」
B「だよな」
A「やったって。ちゃんと思い出せ。お前らの頭の引き出しにはちゃんと残ってるはずだ」
B「引き出し引っかかって出せません」
A「こじ開けろ」
H『テスト』
F『私たちにとって最後のテスト』
C「ちょっと、うるさい」
A「そうだぞ」
C「先生が」
A「俺!?え、なんで俺?」

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