ちくたい!(女子だけバージョン)
ちくたい! (全員女子バージョン)               露見良

■ 登場人物
翔子・・・高校3年生女子。演劇部副部長。主人公。漫画家志望。
遙・・・高校3年生女。演劇部部長。
未那・・・高校2年生女子。翔子の幼なじみ。
橋本・・・高校2年生女子。放送部と演劇部を兼部。眼鏡をかけている。

■舞台
基本は高校の演劇部室。後半、地区大会会場の客席に場面展開する。パイプイスに厚手の布をかぶせるなど工夫すれば安価かつ簡単に再現できると思われる。

■照明
地明かりが基本。ホリ幕を使用。通常は夕方の雰囲気で明るめのオレンジ系でホリを染める。途中シルエットの指示があるが、ホリの数値を上げ、地明かり、フロントを消すことでシルエットになる。

■音響効果
BGMは特に指定なし。後半、地区大会のアナウンスを放送で使う。あらかじめ録音したものを使用してもよいし、袖で舞台監督等がマイクを持ってしゃべってもよし。

1 金曜日
 薄暗い部屋。中央に鏡がある。鏡の前にめがねの少女が立っている。鏡にその姿が映っている。

少女(橋本)「あーあ、結局今日も誰からも相手にしてもらえなかった。私って根暗でブサイクでオタクだから、だれからも相手に祖手にしてもらえない。」

 どことなく棒読みっぽいような、練習中のような台詞の言い回し。
 少女はがっくり肩を落とす。鏡の像も同じように肩を落とす。

少女「こんな私生きててもしょうがないよね。死のうかな。」
鏡の少女(未那)「ちょっとまった!」
少女「え? だれ?」
鏡の少女「死ぬことないよ、生きていようよ!」
少女「え? もしかして鏡の中の私?」
鏡の少女「そう、僕は君。鏡の中の君だよ! 君とは正反対の存在なんだ! まずめがねをかけてない!」

 そういって鏡の少女(未那)はめがねを捨てる。さらに踏みつけて破壊。

鏡の少女「性格はネアカでボーイッシュ、一人称は私でなくボク、おまけにオタクじゃないよ。見た目は君と同じだけど、みんなからかわいいと言われる人気者!」
少女「えー! 私そっくりなのに私と正反対の性格!」
鏡の美少女「名前だって正反対だよ、君はこのはでしょ、ボクは、はのこ!」
少女「はのこちゃん! 私のそっくりさんの名前ははのこちゃん!」
鏡の少女「今日から僕が君の代わりに学校に行ってあげる! そして君を人気者にしてあげる!・・・って、もうやだ、こんな脚本!」

 一気に周囲が明るくなる。そこは演劇部の部室。演出の女生徒(翔子)がイスに座っている。

翔子「はい、ストップ。ちょっと、未那、まじめにやって。」
未那「まじめにやれないよ、こんな脚本じゃ。無理無理無理!」
翔子「今さら何? 地区大会まであと3週間あるかないかなのよ。まだいっぺんも通し稽古できていないのよ、大ピンチなのよ」
未那「こんなしょうもない脚本を上演する方が大ピンチだよ! ねぇ橋本さん、なんとか言ってよ、橋本さんもいやでしょ、これ。『ワタシ・イン・ザ・ミラー』。」
橋本「えーと、えーと、なんというか、あの、正確には2週間ちょっとです。」
翔子「未那、わがままはやめて。あと、幼なじみでも部活ではちゃんと敬語使って。」
未那「ふん、わかったよ、敬語使うよ。」
翔子「使ってないじゃない!」
未那「敬語使うよ、です!」
橋本「そういえば部長はどうしたんですか?」
翔子「遙? 遙は顧問の坂本先生に呼ばれて職員室に行ったよ。そういえば、もう1時間になるわね。長いな。どうしたのかな?」
未那「あ、部長帰ってきたよ」

 遙が部室に入ってくる。

橋本「あ、部長、おはようございます。」
翔子「遅かったね。何かあったの?」
遙「そーなんだよ。実は大問題が発生したんだ。」
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